続きです。
手術する方が良いと、伊藤病院で言われて、大学病院に行きました。
そして、外科の先生に診てもらいました。
すると、意外なことを言われました。
やはり、「手術してもしなくても良いけれど、するなら命がけだよ」と。
「お腹の手術なんかよりもよっぽど危険があるんだから」と。問題は手術後の出血だそうです。
手術中は血を止められるけれど、術後の出血は再手術になるそうです。
また、大量の出血が予想されるので、輸血の用意は欠かせないし、出血多量でショック死もありうる。
神経が麻痺したとき、片方の神経だけなら声が掠れる程度で済むけれど、両方が麻痺したら、気管に穴を開けて呼吸をさせることになると言われました。
恐ろしい話です。そして、最低二日間は集中治療室に入るのだそうです。
これは、超ヘビー級だからなあとなんだか手術の遣り甲斐がありそうな笑顔で言われました。
大分脅かしたけど、95パーセントは大丈夫だから、よく考えて見てくださいとのこと。
でも、95パーセントはバカにならない数字です。大抵は大丈夫と見るか、20人に1人は危険と見るかです。
20人に1人という確率は当たってしまいそうな気がしたりします。
このまま、一生メルカゾールで生きるのも構わないし、手術をしてもいい。
ただ、問題は、他の病気になった時、メルカゾールが邪魔になることがある。使えないときが困る。
それと、大きくなればなるほど手術は難しくなるし、あなたも年をとるほど、体力的に大変になる。
だから、若い時に手術をしておく方がいい。
ただ、今すぐ決断しなくてもいい。慌てることじゃないから、じっくり考えて結論を出してください。と言われた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
この話を聞いて、私はビビりました。
手術と言っても、以前お腹を切ったときのような大変な思いはしないだろうと思い、嫌だけどまあ大したことはないだろうと考えていたのです。しかし、この説明を聞いて、怖くなりました。
だから、してもしなくてもとか、自分で選んでいいという話をされていたのかなと思いました。
がんなら、何が何でも直ぐに手術だけれど、そうではないから、選んでいいというのです。
大学病院では、別の日にもう一人の先生のアドバイスも受けましたが、やはり似たようなお話でした。
ただ、言われたことは、お医者さんが自分の家族なら手術を受けさせると言ったことでした。
その言葉は少し救われました。ある意味で手術に自信があるのだと思ったのです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
しかし、私の不安は消えません。そうか命がけの手術なのかと。考えれば考えるほど、ここで命が終わるとしたらということを考えてしまいます。そのためには、何をどうしておく必要があるのか?
預金は、保険は、投資信託は、携帯やパソコンの契約は、図書館の本を返すことまで、いろいろです。
通帳やカードの暗証番号を誰に知っていてもらうのがいいかまでも。
自分のことを書きだした重要なものをまとめておこうか、誰に何を書き残そうか?
絵も、卒業生の顔を描く約束が果たしてないなあとか、誰に絵をプレゼントしようと思っていたのに、まだできていないなあとか。御線香をあげに行きたいと思いつつできないでいるなあ、手術の前に行こうか?
こんなことが、次々と浮かびました。
しかし、これらのことをやればやるほど、死に向かう事を強めるような気がして、やらない方がいいのではないかと考えてしまいます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
大学病院では、一応、仮予約だけと勧められて、手術の予定を10月14日という日に抑えてもらいました。
いつキャンセルしてもいいから、一応入れておきましょうとなりました。
ただ、どうしても不安なので、やはり伊藤病院で手術をしてもらう方が良いのではないかと思い、三回目の通院に行ってみました。
ーーー―ーー 伊藤病院三回目の通院 ------
そして、手術を再度勧めてもらい、予約を入れたのが、1月でした。
以前の先生は8カ月先とおっしゃいましたが、予約の部屋で言われたのは、4カ月先の1月でした。
大学病院には、キャンセルの連絡を入れました。そちらでは不安なので、伊藤病院にしましたとは言えません。
もう少し考えたいので、このまま内科で続けてみますと言う事にしたのです。
伊藤病院で大学病院で言われたことを話すと、「リスクのことばかり言っていたら、手術なんてできないですよ」と言われました。
手術は危険が伴うのですから、一応はそういうこともないとは言えませんが、こちらは100パーセントを目指しますと言ってくれました。それと、あなたより大きい人の手術は何人もやっていますからとも言われました。
それを聞くと、こちらの方が慣れているんだなと思います。
万全の準備で臨みますからねとも。
聞いてみると、ここでは毎日10人の患者さんが手術を受けているそうです。
先生方も一流の方たちばかりで、本当に専門病院として日本一なんだなと思いました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それで、手術を待つ日々が続きました。
ときどき、圧迫感が強くなり、このまま待っていて大丈夫なんだろうかと思い、予定より早くやってもらう訳には行きませんかと電話してみたり、あまり圧迫感が感じられない日々が続くと、またキャンセルしようかなと思ったりしました。
勝手なわがままです。
今までのことがいろいろと浮かんできます。そして、寝ていてうなされるようになりました。どうしても大学病院で言われたことが頭に浮かんでしまうのです。
手術後の自分が出血で苦しんで、窒息死する夢です。
昼間起きている時は、何でもないのですが、目覚めの頃の気持ちが緩んでいる時に見る夢でうなされるのです。
手術をしなければならないということが夢ならいいなあと思う甘い気持ちがあるからです。
断ろうかなとも思ったり、そうしたらまた手術の日程が白紙に戻って、予約の取りなおしになるとか。そんなことで待っていたら、どんどん腫れて、自分で自分の首を絞めることになるなど、つまらないことを次々と考えてしまうのです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そのとき、自分を励ましたのは、何のための手術なのか?死ぬためじゃない。
95パーセントは大丈夫だ。100パーセントを目指すと言ってくれた。日本一の病院である。
私より大きい人を何人も手術している。
これらの言葉でした。
これは、重要です。いかに自分を励ますかです。
私はつくづく弱いなあと思いました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
もう、全身麻酔の手術は3回受けています。今度が4回目になります。それでも、慣れるものではありません。
人からは、「平気そうでいるので、すごいなと思います」と言われましたが、とてもとても、そんなではありません。
入院前日のデッサン会にも休まず参加して指導しましたら、入院前なのに、すごいねと。
以前、私はこう言って自分を励ましたことがあります。
手術は嫌だけど、その日になったら嫌だと思えばいいや。その前から暗くなっていなくもいいじゃないか、笑って生きるのも人生、暗く下を向いて生きるのも人生。好きな方が選べるよ。と。
そう思ったら、そうだなと思えたので、そうすることにしたのです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
つづきます。
手術する方が良いと、伊藤病院で言われて、大学病院に行きました。
そして、外科の先生に診てもらいました。
すると、意外なことを言われました。
やはり、「手術してもしなくても良いけれど、するなら命がけだよ」と。
「お腹の手術なんかよりもよっぽど危険があるんだから」と。問題は手術後の出血だそうです。
手術中は血を止められるけれど、術後の出血は再手術になるそうです。
また、大量の出血が予想されるので、輸血の用意は欠かせないし、出血多量でショック死もありうる。
神経が麻痺したとき、片方の神経だけなら声が掠れる程度で済むけれど、両方が麻痺したら、気管に穴を開けて呼吸をさせることになると言われました。
恐ろしい話です。そして、最低二日間は集中治療室に入るのだそうです。
これは、超ヘビー級だからなあとなんだか手術の遣り甲斐がありそうな笑顔で言われました。
大分脅かしたけど、95パーセントは大丈夫だから、よく考えて見てくださいとのこと。
でも、95パーセントはバカにならない数字です。大抵は大丈夫と見るか、20人に1人は危険と見るかです。
20人に1人という確率は当たってしまいそうな気がしたりします。
このまま、一生メルカゾールで生きるのも構わないし、手術をしてもいい。
ただ、問題は、他の病気になった時、メルカゾールが邪魔になることがある。使えないときが困る。
それと、大きくなればなるほど手術は難しくなるし、あなたも年をとるほど、体力的に大変になる。
だから、若い時に手術をしておく方がいい。
ただ、今すぐ決断しなくてもいい。慌てることじゃないから、じっくり考えて結論を出してください。と言われた。
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この話を聞いて、私はビビりました。
手術と言っても、以前お腹を切ったときのような大変な思いはしないだろうと思い、嫌だけどまあ大したことはないだろうと考えていたのです。しかし、この説明を聞いて、怖くなりました。
だから、してもしなくてもとか、自分で選んでいいという話をされていたのかなと思いました。
がんなら、何が何でも直ぐに手術だけれど、そうではないから、選んでいいというのです。
大学病院では、別の日にもう一人の先生のアドバイスも受けましたが、やはり似たようなお話でした。
ただ、言われたことは、お医者さんが自分の家族なら手術を受けさせると言ったことでした。
その言葉は少し救われました。ある意味で手術に自信があるのだと思ったのです。
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しかし、私の不安は消えません。そうか命がけの手術なのかと。考えれば考えるほど、ここで命が終わるとしたらということを考えてしまいます。そのためには、何をどうしておく必要があるのか?
預金は、保険は、投資信託は、携帯やパソコンの契約は、図書館の本を返すことまで、いろいろです。
通帳やカードの暗証番号を誰に知っていてもらうのがいいかまでも。
自分のことを書きだした重要なものをまとめておこうか、誰に何を書き残そうか?
絵も、卒業生の顔を描く約束が果たしてないなあとか、誰に絵をプレゼントしようと思っていたのに、まだできていないなあとか。御線香をあげに行きたいと思いつつできないでいるなあ、手術の前に行こうか?
こんなことが、次々と浮かびました。
しかし、これらのことをやればやるほど、死に向かう事を強めるような気がして、やらない方がいいのではないかと考えてしまいます。
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大学病院では、一応、仮予約だけと勧められて、手術の予定を10月14日という日に抑えてもらいました。
いつキャンセルしてもいいから、一応入れておきましょうとなりました。
ただ、どうしても不安なので、やはり伊藤病院で手術をしてもらう方が良いのではないかと思い、三回目の通院に行ってみました。
ーーー―ーー 伊藤病院三回目の通院 ------
そして、手術を再度勧めてもらい、予約を入れたのが、1月でした。
以前の先生は8カ月先とおっしゃいましたが、予約の部屋で言われたのは、4カ月先の1月でした。
大学病院には、キャンセルの連絡を入れました。そちらでは不安なので、伊藤病院にしましたとは言えません。
もう少し考えたいので、このまま内科で続けてみますと言う事にしたのです。
伊藤病院で大学病院で言われたことを話すと、「リスクのことばかり言っていたら、手術なんてできないですよ」と言われました。
手術は危険が伴うのですから、一応はそういうこともないとは言えませんが、こちらは100パーセントを目指しますと言ってくれました。それと、あなたより大きい人の手術は何人もやっていますからとも言われました。
それを聞くと、こちらの方が慣れているんだなと思います。
万全の準備で臨みますからねとも。
聞いてみると、ここでは毎日10人の患者さんが手術を受けているそうです。
先生方も一流の方たちばかりで、本当に専門病院として日本一なんだなと思いました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それで、手術を待つ日々が続きました。
ときどき、圧迫感が強くなり、このまま待っていて大丈夫なんだろうかと思い、予定より早くやってもらう訳には行きませんかと電話してみたり、あまり圧迫感が感じられない日々が続くと、またキャンセルしようかなと思ったりしました。
勝手なわがままです。
今までのことがいろいろと浮かんできます。そして、寝ていてうなされるようになりました。どうしても大学病院で言われたことが頭に浮かんでしまうのです。
手術後の自分が出血で苦しんで、窒息死する夢です。
昼間起きている時は、何でもないのですが、目覚めの頃の気持ちが緩んでいる時に見る夢でうなされるのです。
手術をしなければならないということが夢ならいいなあと思う甘い気持ちがあるからです。
断ろうかなとも思ったり、そうしたらまた手術の日程が白紙に戻って、予約の取りなおしになるとか。そんなことで待っていたら、どんどん腫れて、自分で自分の首を絞めることになるなど、つまらないことを次々と考えてしまうのです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そのとき、自分を励ましたのは、何のための手術なのか?死ぬためじゃない。
95パーセントは大丈夫だ。100パーセントを目指すと言ってくれた。日本一の病院である。
私より大きい人を何人も手術している。
これらの言葉でした。
これは、重要です。いかに自分を励ますかです。
私はつくづく弱いなあと思いました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
もう、全身麻酔の手術は3回受けています。今度が4回目になります。それでも、慣れるものではありません。
人からは、「平気そうでいるので、すごいなと思います」と言われましたが、とてもとても、そんなではありません。
入院前日のデッサン会にも休まず参加して指導しましたら、入院前なのに、すごいねと。
以前、私はこう言って自分を励ましたことがあります。
手術は嫌だけど、その日になったら嫌だと思えばいいや。その前から暗くなっていなくもいいじゃないか、笑って生きるのも人生、暗く下を向いて生きるのも人生。好きな方が選べるよ。と。
そう思ったら、そうだなと思えたので、そうすることにしたのです。
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つづきます。
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