絵画指導 菅野公夫のブログ

大好きな絵とともに生きてます

Sさんの絵

2009-10-26 | 絵画指導
Sさんの制作です。

県展出品で、落選してしまいましたが、とても良い絵なので、もう少し描きこんで、麓原展に出してみましょうという流れで、指導しています。

県展の時に、明暗の対比が強すぎると審査員からアドバイスをされたということで、暗く潰したようになっているところを描いてみましたが、今度は明るくしすぎて、明暗の対比が弱く、ぬるま湯のような状態になってしまいました。

この絵は、明暗の対比が強いからいい感じなので、それが無くなったら弱い絵になってしまいますよと話して、もう一度明暗の対比を元に戻してくださいと話して、この段階に入ってきました。

直しながら、前回紹介したように、左上の布の表現がとてもリアルに描けてきたので、それがいいから、他の部分もそれと同じようにリアルに描いてみてくださいと話しましたが、なかなかそのように描けなくて苦労しています。

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実は、石膏デッサンをしていても、同じ問題があります。
全体を明暗で大きく分けて、捕らえます。その後に、明るい部分の微妙な変化を描きます。そして、暗い部分の明るい部分を描きます。そうすると、初めの大きな明暗の組み立てが無くなってしまうことがあります。
これは、明るい中の暗いところを暗くしすぎて、暗い中の微妙に明るいところを明るくし過ぎるからなのです。これと同じことを今回のSさんはしてしまったのです。これは、良くあることです。

先生がもう少し明るくと言った時に、どのくらい明るくなのかが分からないと、明るくし過ぎてしまうのです。

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今の状態は、最初のインパクトの強い状態までは、戻りませんが、また別の良さも出て来たので、このまま完成に向かってほしいと思います。

いまは、右の箒の部分がお化け状態です。これをしっかりさせないと、左上の布の表現と合いません。バランスの問題でも、これを描きこむ必要があるでしょう。
右奥の暗さはなかなか良いと思います。柵のようなものを作りましたが、その中に更に暗い部分を描きこめば、もっと奥行きを感じて、重さも増すでしょう。
地面に葉を描きこみましたが、大きさを考えないと、役者が増えすぎてうるさくなるでしょう。もう少し小さい葉なら邪魔にはなりませんが。
今は、右の地面が水のように見えるので、それをしっかり陽が当たる部分を作って、地面の質感を求めてほしいと思います。


完成させて、額に入れて持ってきました。アドバイスをしたところは、かなり頑張って直してくれました。特に、右側の部分の表現を頑張りました。もう少し、箒が強くなっても良いのですが、まあ、表現がプロっぽくなったので、いいかなと思います。




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