黒ウサギ
「え?なんで黒いかって」
「それはね・・・・」
僕はもともと白かったんだ。毛並もよく白ウサギの仲間たちの間でも評判の白さだったんだ。
ただ評判はね・・・ときには悪評もあるんだよ。
なんでだろう。根も葉もないウワサの方が周りに広まりやすいんだよ。
「あの白さ、本当は地元の者じゃないから、あんなに白いんさ」
「ねえねえ聞いた。あの白さを保つために、大金を使っているんだって、どこにそんなお金があるんだろうね」
「いい子ぶってるけど、性格悪いらしいよ。いやだね~~」
・・・・・・あの~~生まれつきなんだけど・・・性格って?どれだけ知っているの僕のこと・・・・
・・・・・・僕は、誰を信用すればいいの?どうしてそんな噂を信じるの?・・・・・
僕は、心を閉ざしてしまった。するとね、毛並が徐々におち、あるときから、生え際から黒いものが見えてきたんだ。
白い毛がみるみる黒くなり、真っ黒になってしまった。
ある晩のことだった。
近所の人たちが笑っている声が聞こえ、それが次第に近づいてきていた。
僕は、東の空に煌々と輝く餅つきウサギをみていた。
遠くの笑い声を気にしながら、月をみていると、月の真ん中に黒い点が見えた。すると、見る間に、その黒い点が大きくなってきた。いや近づいてきたんだ。
「な、な、なんだ?逆かぐや姫か?」
大きな黒い塊の中に、純白のウサギが見えてきた。
「なんて、美しいウサギなんだろう・・」
すると、純白のウサギが僕のそばに舞い降りてきたんだ。
「どうでしたか?地球の環境は。生き物すべてがいがみ合い、ねたみ合い、私利私欲に走り、自分さえよければいいという生き方を多くの者たちが行っているでしょ。」
「あなたが黒くなったのはね、あなたが清いからなんですよ。ほら、笑い声が聞こえるでしょ。あなたの清い心が、知らず知らず皆の悪い心を吸い取っていたのよ。みんながうれしくなってあなたのところに近づいているわ」
「でもね、そろそろあなたは、私と一緒に出発しなければなりません。」
「え?どうして?」・・・・・・
今日も青い地球をみながら僕は団子を作っている。