気ままな遍路人

人生いろいろ…徒然な日記

遍路旅31

2008-02-10 21:57:26 | 遍路旅

お遍路をするとき色々と準備が必要ですがその中に、頭に被る”菅笠(すげがさ)”というものがあります。菅笠には、「迷故三界城(迷うが故に三界は城なり)」・「悟故十方空(悟る故に十方は空なり)」・「本来無東西(本来、東西は無く)」・「何処有南北(どこぞ、南北あらんや)」と書いてあります。

三界とは、「欲の世界」:あれが欲しい・これもしたい・贅沢な生活をしたいと欲の尽きない世界。「色の世界」:性別に関係なく、若いと思っていた自分が歳を重ねる度に変わっていく姿を見て、惜しいとか悲しいとか色んな気持ちになる世界。「無色界」:自分の損も考えず、人の幸せを心配し悲しんだり、同情したりする世界。で、人間はこの三つの世界を彷徨っています。

欲に溺れ、失う若さを惜しむくせに、時が過ぎるのも自分の損も忘れて、人の幸せを祈ってしまう。そんなことを人間は一生繰り返しています。

菅笠に書かれている意味を現代風に言うと、「迷っているからこそ、自分を含め自分の周りのことが見えず、自分自身で勝手に自分の前に壁を作ってしまう。でも、その状況を悟ってしまえば、どんな世界も全てが空なのだ。思えば、初めから東も西もないんだ。それなのにどうして、南や北に人間はこだわるのだろう。」となります。


この菅笠を被って遍路旅をすることは、毎日の自分を戒めてできるだけ”無”の境地で歩くことを実践する修行の一部であると私は考えます。過去3回の遍路旅で最初の時の菅笠は大切に自宅に持ち帰り、いつでもその言葉を見ることが出来るように、自室の壁に飾っています。