私のガイド時代(1991〜2001)、40代の頃はインターネットもなく、移動の多い仕事の合間は、もっぱら読書していた時期で
それも小難しい本ではなく、ストーリー性のある犯罪小説、例えばパトリシア・コーンウェル・シリーズなどを読んでいた。
Netflixでもその手のシリーズものに興味をひかれるのはそういった背景があるからだろうか。 この半年間に色々観た。
Netflix『マインド・ハンター』はデヴィッド・フィンチャー監督、 J・ ダグラス&M・オルシェイカー共著
『マインドハンターFBI連続殺人プロファイリング班』を原作としたドラマ化である。
コーンウェル小説にも、FBIが犯人を割り出す手法として『プロファイリング』という言葉が頻繁に出てくるが、その手法確立の
経緯となったFBI内部の様子がこの『マインドハンター』で観られ、各俳優の演技も見事で大いに引き込まれる。
私は20歳から写真に打ち込み、自称『撮人家』として『人間観察』を旨として長年活動してきたこともあり、
一見何の関わりもないような『坐禅』とFBIの『プロファイリング』は、自他の煩悩の深奥まで見据えた観察の末見えてくる
『色即是空空即是色』の方程式から割り出す、人間『欲望の行動パターン』であるように思う。
Netflix『ダーマー』というタイトルのドラマは、Jeffrey・Dahmerの連続殺人事件をドラマ化したシリーズもので
ウィキペディアに『 1978年から1991年にかけて、主にオハイオ州やウィスコンシン州で17人の青少年を絞殺し、屍姦、死体切断、人肉食を行った。
その突出した残虐行為は、1990年代初頭の全米を震撼させた。』・・・とあるとおりの、本当に恐ろしい実話であった。
ダーマーは、両親から愛情を受けていなかったようで、『親』という字が『木の上から子を見守る』・・・というように、
幼児期に『親』が愛情を持って『観守る』こと、つまり『愛でる』事の重要さを、このドラマによってしみじみ思い知らされた気がした。
また、ダーマーはいつの日からか、狙った獲物に睡眠薬を溶かし飲ませて体を自由にできなくさせる・・・という手法を常習するが、
その場面を見ていると、『伊藤詩織』さんの事件が思い出され、その卑劣さに思いがいき、彼の逮捕を改めて願った。
そしてつい先日、Netflix『フルニレ連続殺人事件、共犯者モニク・オリビエの心の中』というフランスとベルギーの国境付近のシリアルキラー
のドキュメントを観た。 1987〜2003年の間にわかっているだけで、12人(9〜30歳)の女性をレイプして殺した。
それ以前、フルニレという男はレイプの罪で7年間刑務所に入っていた際、新聞広告でペンパルを募集し、それに答えた女性、モニクと出所後結婚した。
出所後、フルニレは再び『レイプ+殺人』を繰り返し、ようやく2003年、彼が61歳のとき誘拐と強制わいせつの罪で逮捕。
その後、妻のモニクを根気よく調べた結果、8件の少女殺人を自白、さらに後、モニク自身も共犯者であったことが判明した。
この夫婦は夫婦であることで、相手に安心感を与え、犯行に及んでいたが、後に子供ができると、その子供の住み込みベビーシッターとして
少女等を家に招き入れて、殺害するという躊躇のない犯行はフランス、ベルギーを震撼させた。
フルニレは2021年、認知症と心臓病を患い刑務所病院で79歳で死亡した。
妻のモニクも共犯の罪で刑務所に入っていたが、夫の死を知って気が緩んだのか、新たな自白により
昔フルニレが刑務所にいた時、同室のギャングの申し出で、墓場に隠した金銀財宝をギャングの妻と一緒に発掘するように頼んだが
財宝発掘後、ギャングの妻を殺害し、その金で城館を買って住み込み、金銭の心配なしに夫婦で犯罪に勤しんだことがわかった。・・・
妻のモニクはいまだに服役中で、これから他の犯罪を告白する可能性もある・・・じつに凄まじい話だ。
このフルニレ&モニク夫婦の事件は、当時のベルギー警察?(orフランス警察)の怠慢を、責めても責めたりないだろう。
1980年代にはアメリカFBIでプロファイリングというシリアルキラー犯罪取り組み方法が確立されていたのであるから
ヨーロッパにおいて、それが研究されていたなら、早期のうちに沢山の犯罪を未然に防げていたことを考えると、残念だ。
また、このような極悪人をいくら終身刑といっても、ただ淡々と刑務所で暮らさせることに私は疑問を抱く。
あくまで罪を償うという前提であるならば、禅寺の坐禅修行と作務を取り入れた厳しい規律の中で獄中生活をしてもらいたいと思う。
そうでもなければ、レイプされたうえ、殺害された少女達も、残された親族も、そしてなにより犯罪者自身が納得いかないだろう。
そういった意味でも、禅僧はこれから活躍する場として『世界中の刑務所』を念頭に入れておいてほしい。
私も普段、他人を信じ込んで生活しているが、もし年頃の子供がいたら心配のあまり、『危険な人間も稀ではあるが、
案外身近な所に必ずいることを誰よりも早く察知する能力を身につけ、油断しないよう』口を酸っぱくして説くに違いない・・・。
先日、電車で3時間かけスイスドイツ語圏の街サン・ガレンへ行き、有名な中世の修道院図書館を訪ねた。
昔みた映画『薔薇の名前』のション・コネリー扮する名探偵を気取ってみた図
もしも生まれ変わることが出来るならば、次は刑事になって、こういった犯罪を一つでも防ぎたい・・・かも?
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