先日、映画『日日是好日』の話をした。
それで、こんどは去年読んだその原作本をちょっと覗くつもりで読み始めたらやめられなくなり、全部読んでしまった。
去年読んだ時、自分は一体何を読んでたのか?・・・と後悔するほど、これは凄い本であった。
昔読んだことのある、沢庵和尚が書いた『剣禅一致』の書『不動智神妙録l』を思い浮かべながら、『免許皆伝』という
本来であれば、『秘伝』とされるような事柄を今風のタッチで『茶道』の体験から得られた境涯を淡々とを綴っている
この本のことを、去年評価できなかった自分に呆れたが、とにかく遅まきながらAmazonの電子書籍のレビューコーナーに
この本を絶賛の言葉を書けないものかと、著者の森下典子氏で調べると、去年2021年11月発行の新刊『青嵐の庭にすわる-日日是好日物語』
と題した、映画化が決まった経緯から映画が公開されるまでの制作過程にまつわるエピソードを書いた本に出会い、それも読んでしまった。
この新刊本『青嵐の庭にすわる』を読んでから映画を見ると、その深さたるや全く違って観えた。
映画『日日是好日』を観る人は、事前にこの本を読むことをお勧めしたい。
森下典子氏の著書『日日是好日』に感銘を受けた映画プロデューサーがなんとしても映画化したい…と発心したのは良いが、
彼を始め、監督もスタッフも誰一人として『茶道』を知らない素人であった・・・という出だしからして笑えた。
最後の方のエピソードとして、表千家の師匠から著者に電話があり、『お茶に携わる者としても見どころがたくさんあって、いい映画』であった事と
質問として『先生役の樹木希林さんはずいぶん長く、お茶をなさっていらしたんですか?』と聞かれ、そうではない旨をつたえると
『いやぁ〜信じられません、あの佇まいといい、お手前の間といい・・・どう見ても、お茶の先生にしか見えなかった』と、言ったそうだ。
茶道界の頂点にいる師匠にそう言わしめた、この映画のクオリティーがただモノではないこと『証』している。
この本の最後の一節に
『湯の沸いた釜が『しー』と音を立てている。その静かな『松風』に、私はじっと耳をすます』・・・とあり
彼女もまた自在に形を変えた響音、『観音』を聴く人なのだと納得した。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます