福島第1原発:『日本人は政府を信用し過ぎ』伊記者
『日本の政府当局や東京電力、専門家は放射能汚染の危険を過小評価している』
福島第1原発事故で、東京滞在は危険とみて大阪を拠点に報道しているイタリア国営放送RAIの特派員アレッサンドロ・カッシエリさん(50)は毎日新聞の電話取材に『日本人は我々イタリア人と正反対で、政府情報を信用し過ぎる。』と話した。
東日本大震災発生直後に初来日したカッシエリさんは、イタリア外務省やRAI本社から『東京に危険が迫るかもしれない。』と言われ16日に大阪に移った。
イタリア有力紙の記者たちも大阪にいる。
カッシエリさんは『放射性物質の新たな汚染情報が毎日出てくるが、発表は遅い。原子炉内で何が起きているかについても、政府はパニックを防ぐためなのか、真実を隠しているか公表を遅らせているとしか思えない。』と語った。
日本メディアの報道にも不満があるという。
『問題を低く見積もるのは日本だけでなく世界の慣習だ』と断りながらも、
『特にテレビがひどい。感動話を前面に出し、世界が知りたい事故や汚染の状況は後回しの感がある。』と指摘した。
毎日新聞 2011年3月24日
『政府に騙された30キロ圏内屋内退避14万人の日本人』
福島原発の北西30キロ、1日で年間の被曝線量超を検出(文科省)
文部科学省は3月25日、東京電力福島第1原発の約30キロ北西の地点で、約24時間の積算放射線量を調査し、一般人の年間被ばく線量限度1ミリシーベルト(=千マイクロシーベルト)を超える1・4ミリシーベルトを計測したと発表した。
何と、2週間も経ってから政府は30キロ圏の住民に対して自主退避を促した。
開いた口がふさがらない。無責任にも程がある。
屋内退避圏内の14万人の内で既に10万以上は自己判断で避難していて残っているのは1万数千人であろうと見込まれる。
残留している人々のほとんどは何らかの理由で『疎開したくても出来ない』避難弱者であり、政府に言われなくても『自主退避』出来るくらいなら今までの2週間の間に避難している。
安全が担保されないにもかかわらず『自主退避』が出来ないから、物資が入らない実質的な隔離状態でも2週間もの間、日本政府の言葉を信じて未だに30キロ圏の危険地帯に止まっているのです。
物資の途絶した自宅退避の市民には、もはや自主退避(自助努力)は無理である事に、何故政府は気が付かないのか。
今からでも少しも遅くない。
今のような曖昧な『自主退避を促す』ではなくて、政府の責任での『避難勧告』に切り替えて困窮する市民に即刻『救援の手』を差し伸べるべきである。
住民に自己防衛の判断を『丸投げ』している様は無残である。
これでは今の日本国は、正統な政府が何処にも存在しないソマリアのような破綻国家か、無政府状態であると言わざるを得ないでしょう。
『日本を信用せず、独自に情報を収集するIAEA』
それにしても今回は政府や東電の情報管理が酷すぎる。
基本的に何もなしですね。
日本政府は国民だけではなく国際原子力機関(IAEA)など国際機関にも情報を隠蔽して出していないので、仕方なく、IAEAは追加の第二陣の放射線量の計測チームを派遣して福島県と東京都で活動しているのです。
第三世界の低開発国でもあるまいし、世界に冠たる先進技術大国日本で測定出来ないなんてことは絶対に無い。
今起きている事態は、この『日本』では有り得ないのですよ。
日本が隠して発表しないからIAEAがわざわざ独自調査する必要が出てきた。
ところが、『非常に深刻』の表現を『深刻な懸念が残る』と表現を緩和しているのですね。
IAEAの天野事務局長が政治的に大活躍したのでしょうが、調査団の第二陣の派遣した事実との間には大きな乖離があり、技術問題よりも宣伝広報(政治問題)化している証拠です。
日本政府は正しい情報を提供する(人命)よりも政治責任の回避の為に『パニックを防止する』ことを最優先しているのですよ。
『2週間遅れで外国で出されて嫌々出す日本』
政府の原子力安全委員会の放射性物質の拡散を予測した模擬計算「SPEEDI(スピーディ)」の結果などは、そもそも事故以前の原発建設時に出すべきものである。
最低でも福島第一原発事故直後に出さないと話にもならない。
この日本政府の態度が原因して、普通の正常な常識や知識が有れば日本人全員が『今回の原発事故が長期化するにつれ、ニュースや報道、政府の発表に不信感をつのらせる』今の状態は当然である。
今のテレビでは『想定外だった』などと言う学者しか放送に出さず、少しずつ確実に事態は悪くなっているのに、何の根拠も無く『安全だ』『安全だ』と念仏をとなえるだけ。
原発ですが想像以上に実に複雑な構造物であり、福島第一原発事故の問題点は今のようなテレビ用の学者連中よりも原発メーカーの東芝や日立などの原発技術者に聞くのが一番です。
学者は原理は良く知っているが複雑な配管などの内部構造には素人で現物は良く知らない。
ところが現役の原発技術者は口が堅く何も喋らないので困ります。
3号機ですが1万倍の390万ベクレルの放射性物質が検出されたが、これは金属に覆われていた(MOX)核燃料棒が熱で崩壊して溶け出しているのです。
『馬鹿と鋏は使いよう。大前研一が役にたつ』
3月19日収録『地震発生から1週間 福島原発事故の現状と今後』(大前研一ライブ579)が一見に値します。
大前研一は以前は電力会社のお先棒を担ぎ原発推進の旗振り役だったし、小泉純一朗と同じ新自由主義に被れて勝ち馬に乗ろうとしてお馬鹿をやっていますが、テレビに出てくる学者もどきや自称専門家よりも1万倍は正しいでしょう。
大前研一は理科系出身の元原発技術者で、マサチューセッツ工科大学大学院原子力工学科で工学博士を取得している。しかも高速増殖炉を設計していた過去まである。
世の中に『専門馬鹿』という言葉もあるが『餅は餅屋』で原発の構造(弱点)に詳しく、今度の福島第一原発事故についての発言内容は十分に参考になります。
ただ、最後の方に少しだけ出てくる『復興に消費税を増税して当てる』には真底脱力する。
葛飾柴又の寅さんではないが、『それを言っちゃ~あ、御仕舞~よ』である。
専門の原発問題だけに限定しておけば良いのに、この人物は畑違いにもほどがある経営コンサルタントなる肩書きで規制緩和と民営化、消費税増税の市場原理主義を主張してウソ八百を垂れ流していたのです。
原子力発電所の構造には詳しいが、経済学とか政治では悪魔の碾き臼である『新自由主義』を推進している竹中平蔵の同類なのですね。
郵政民営化の議論が始まる少し前ぐらいに郵便貯金は財政投融資制度の資金源でみんなが郵便貯金しちゃうからいらない箱もの造っちゃうんですなんていうプロパガンダをやってました。
私もそうなのでしょうが、日本人って民族性でしょうか、政府(お上)は絶対って考えがどこかにあるのでしょう。なので政府の発表をすんなり信じてしまう。政府が間違った事を言う訳が無いって。震災直後、各国が「非常時でも日本人は冷静で略奪などが全くなかった」と褒めちぎっている記事を目にしました。多少は最低限の教育の賜物かも知れませんがそれ以上に政府(お上)は絶対、政府が何とかしてくれるみたいな甘い考えがあり結果的に冷静に行動できたのでは?と思うのは私だけでしょうかね。
大前研一は悪賢く中曽根康弘以上の風見鶏であり、時流に乗ってその時々の勝ち馬に乗る作戦ですね。
これは昔から日本国に伝わる伝統的な武士の道徳である洞ヶ峠の日和見の筒井順慶なのです。
負けるほうに組したのでは一族郎党が今まで続いていない。
ですから今も続く武士の家系とは全てがこの『洞ヶ峠』を上手くやり遂げたからにほかなりません。
勿論『武士道とは死ぬことと見つけたり』の葉隠れ精神の主君や自分の信じる信念に殉じたサムライもいたのですが、一族諸とも亡ぼされるか宇喜多秀家のように追放された結果、日本国では完全に絶滅してしまったのです。
太平記の記述の通りで二大勢力が争っているときに、勝ちそうな有利な方へ味方しようと日和見していて、勝敗が明らかに一方に傾いた時には、今までの立場や態度は無かった事にして恥じも外聞も憚らず、『義によって助太刀いたす』と今までの仲間(味方側)を裏切って敵方に寝返る。
歴史上正統な天皇が日本に2人も同時に存在していた後醍醐天皇や大塔宮護良親王が大活躍した乱世中の乱世の南北朝の世界を彷彿させられる変わり身速さには感心させられる。
最後まで精細に見たが、本人が原発を推進する立場だったことは絶対に判りませんよ。
元々反原発の立場から危険性を告発していたと、多くの視聴者は誤解させる内容でした。
しかし、大前研一が誰よりも原発を良く知っていることだけは間違いないでしょう。
阪神大震災当時でも、
『日本政府の対応は実にひどいものだった』が対照的に、『日本の人たちは忍耐強く、ストイックで端然としていて、実に気高かった』と報道されていた。
今回も全く同じで、中国韓国や欧米のメディアで大震災後の日本人の被災者の態度を賞賛している。
『日本人の強靭さと忍耐力には、何か崇高で勇敢なものを感じる』とか、
『日本社会の緊密な形、 そのしぶとい強靭さが、光る』とか、
災難に対して『日本人はおおむね、一致団結して協力する』など手放しで賞賛する。
『日本人は疲れ切っているが毅然としている』ことや略奪が起きない日本社会と、
これとは対照的な日本以外での世界の国での、こうした大災害が起きると必ず頻発する略奪や暴動や、あからさまに悲憤慷慨する人々との大きな違い。
思い出したのが韓国人ボランティアがアフガン武装勢力に殺害された時に一目も憚らず(マスコミのカメラがあったので余計にエスカレートしたかも知れないが)大声で『政府の人殺し~い。』大声で泣けわめいて自国政府を詰っていた世界基準の韓国の被害者家族と、
『ご迷惑をおかけしました』と謝罪した日本人の被害者家族。余りにも正反対で違いすぎる。
日本のように、『人々は静かに数本の水を手に入れるためにじっと我慢して整然と何時間も並んでいる』事実は脅威的な驚くべき事柄なのですね。
出る釘を常に叩き一体性を重視する日本社会では『悲しみは静かに自分の内側で噛みしめる』ことを美徳として『常にみんなと一緒に行動する』事が奨励される。欧米的な個人主義とは別の世界ですね。