逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

消費税で25年間ゆっくりと、穏やかに死につつある日本

2014年11月22日 | 経済

(財務省が発表している一般会計税収、歳出総額及び公債発行額の推移のグラフ)

『原因と結果を逆さまに描くマスメディア』

IPCCやゴア副大統領らの人為的CO2温暖化説の根拠とは大気中の炭酸ガス濃度と気温上昇との間に相関関係が有るとするものですが、グラフにすると確かに両者は連動しているのすが、良く見ると半年程度のずれが有る。(気温の上昇後、CO2上昇が半年遅れで現れる)
海水温が上がると大気中に炭酸ガスを放出するので、 温暖化すれば半年遅れでCO2濃度が上がるのは当然だった。IPCCですが詐欺ですね。
原因の気温上昇と結果のCO2濃度の上昇の関係を逆さまに描いて真面目で善良な人々を騙したのが人為的CO2温暖化説ですが、良く似たものにニホン国の財政再建策(財政赤字)と消費税増税が有る。
原因と結果が180度逆さまなのである。 
財政赤字を解消しようとして消費税を増税すると(消費税額は多少増えるが)国税収入全体では減少する。
日本の場合には、財政赤字の原因とは消費税の増税だったのである。 

ところが原因と結果を逆に描いて、日本経済新聞を筆頭に産経読売は言うに及ばず朝日毎日など全ての新聞が、『消費税率10%への引き上げが1年半延期されれば、財政健全化目標の達成は一段と厳しくなる。』『財政再建の「黄信号」 増税延期 赤字半減目標厳しく』などと全てのマスメディアが同一の主張を繰り広げている。
毎日新聞では社説で何回も消費税増税の先延ばしで財政再建が破綻すると主張しているのです。
ところが産経ニュース(ウェッブ版)には紙の新聞とは180度逆の『消費税率10%に引き上げたら税収総額ガクッと減る』事実を指摘する記事が掲載されていた。
我が日本国では財政赤字が100億円を越えるあたりから異口同音に『財政健全化』が叫ばれていた。
ところがである。何故か日本政府が努力すればするほど財政赤字が増えて今では1000兆円にも膨れ上がる。
何と、今までの日本の財政再建策こそが、実は日本の財政赤字の元凶(主犯)だったのである。 


『民主党は「消費増税」をわびるべきだ 官僚の言いなりだった菅、野田両氏』
2014.11.14

安倍晋三首相は消費税率10%への引き上げ実施を先送りしたうえで、衆院解散・総選挙に踏み切る情勢になってきた。アベノミクスが4月からの消費増税のために、瀕死の状態に追い込まれたことから、再増税見送りは当然だが、現役世代に対する所得税減税などの景気対策も必要だ。安倍政権は増税に応じたために、ずいぶんと回り道をする羽目になったものだ。
政治面では、消費増税のとばっちりを最も強烈に受けるのは、どうやら野党第1党の民主党のようである。
態勢がまったく整っていない中での解散総選挙で民主党は壊滅的打撃を受けるとの恐れが同党内部で出ている。

民主党の没落は今に始まったわけではない。
菅直人、野田佳彦の両氏が首相時代、増税を仕掛ける財務官僚の思惑に飲み込まれて以来、党は増税賛成、反対派の対立で分裂した。
野田氏は自民、公明との「3党合意」で8%、10%への消費税率2段階引き上げを強行した揚げ句、2012年12月の総選挙で惨敗した。

その教訓とは、財務官僚の言いなりになることが、命取りになるということだ。
菅氏は「増税して財政再建しないと、日本はギリシャみたいに財政破綻する」という財務官僚の脅し文句を唱和した。
野田氏は、「増税すれば景気は良くなる」という財務省御用の学者の虚偽論法を信じ切った。

1997年度の消費税増税後、消費税収は確かに増えたが、法人税と所得税の税収合計額は消費税増収を上回る幅で減り続けた結果、財政収支は大幅に悪化した事実を民主党の指導層は直視しようとしなかった。
増税すれば、家計の実質所得が減るので消費を減らさざるをえない。
需要は減退するので、企業は国内生産・投資、さらに雇用を減らし、経済は萎縮するという悪循環に陥る。(デフレスパイラル)
このことは、経済学を勉強しなくても分かる常識なのに、御用学者のデマゴギーを野田氏はうのみにした。
安倍首相の場合は、いったん与党の自公が野田氏が敷いた増税路線に乗ったが、恐るべき災厄を招きつつあることに気付いた。
消費税増税で全体の税収が増えるとはかぎらない点や、脱デフレのゴールが遠のく現実を憂慮するようになった。
消費税増税後の需要反動減後について、「消費がV字型に回復する」という日経新聞やエコノミストたちの楽観論も現実のデータが吹き飛ばしたので、最近ではさすがに増税派も口ごもるようになった。
それでも、与党内には、予定通りの増税推進派が多数を占めているが、各種世論調査は圧倒的多数が否定的だ。
首相の「増税延期で国民に信を問う」決断はタイムリーだ。
安倍路線に対し、民主党側は「増税ができないのは、アベノミクス失敗のせいだ」と打ち返すつもりだが、責任逃れだ。
有権者を引きつけたいのなら、率直に「わが党推進の増税は間違っていた」とまずわびよ。そして、「再増税反対」へと大転換すべきなのだ。 (産経新聞特別記者・田村秀男)

 『産経新聞特別記者・田村秀男「お金」は知っている

あまりにも素晴らしい出来上がりなので全文を掲載したウェッブ上にある「お金」は知っている』シリーズの今回の14日付け記事ですが、何と田村秀雄産経新聞特別記者の主張とオルタナティブな政治ブログを標榜する当『逝きし世の面影』の長年の主張とが『同一』なのです。
(産経新聞らしい)無意味な安倍晋三首相へのヨイショ部分以外、日本のデフレ経済に対して完璧に同じ現状認識(主張)なのですから驚きだ。
本来『科学的な正誤』とは
客観的普遍的であり、思想信条や宗教、道徳など個人の内心とは無関係なので、ファシストでもリベラルでも『同一』なのである。
記事は夕刊フジ(産経ニュース)として書かれているのであるがピカソが言ったように靴職人が打つ釘はナチス党員でも共産党員でも同一。少しも違いが無い。
『お金は知っている』 の2014.09.19記事、消費税率10%に引き上げたら税収総額ガクッと減る恐れ』でも同じで、消費税の増税でのデフレ発生を論じているのです。
論旨を抜粋すると、

・・安倍晋三首相の14日のNHK『経済がガクッと腰折れしたら思惑通りに税収は上がらない。』消費税増税しても、国の一般会計税収総額は増えるどころか、「ガクッと」減ってきた。
1997年度の消費税増税以降、増税前の96年度と比べて税収がどうなったか。
所得税収と法人税収は大きく落ち込み、その減収分が消費税増収分をはるかに超えて財政が悪化し、98年度からはデフレ局面に入り、消費税を含む全体の税収は96年度を下回り続けている。
消費税増税で財政収支は好転しない。
消費税率を引き上げた結果、慢性的なデフレ不況に陥ってしまったために、財政収支が悪化の一途をたどってきた。
仮に安倍首相が来年の10%への税率引き上げを見送る決断をしたとしても、すでに今年4月からの増税に伴って、4~6月期の家計実質消費は戦後最大級の落ち込みを示している。
企業在庫は増える基調にあり、雇用や設備投資の下方修正に向かえば、まさに97年度増税の繰り返しだ。
(消費税率引き上げ「3党合意」当時の党首である)自民党の谷垣禎一幹事長、公明党の山口那津男代表、民主党の野田佳彦元首相が来年10月の消費税率10%への引き上げを再確認。麻生太郎財務相兼副総理、二階俊博総務会長も増税派。(産経新聞特別記者・田村秀男)

『日本の国税収入と歳出の推移』

我が日本国では、税収と歳出との関係が乖離するのは25年前からなのです。 
財務省の『一般会計税収、歳出総額及び公債発行額の推移』のグラフを見れば一目瞭然であるが、我が日本国の収入(税収)と支出(歳出)は25年ほど前までは連動していた。
国としての支出が増える分、収入も増えていた。税収と歳出の10兆円ほどの差額(支出の先食い)を国債の発行で誤魔化していたのである。
では、日本国の25年前に何が起きていたのか。
1989年(平成元年)4月消費税(3%)が導入される。当時はバブル経済の真っ盛りで日本全体が浮かれ騒いでいた。
1990年(平成2年)日本国の税収は史上初めて60兆円を超えるが、まさにバブルは絶頂期を迎えていた。以後の国税収入は一度も1990年の値を超えていない。
1997年(平成9年) にはバブル崩壊から日本経済はゆっくりとながら立ち直り、国税収入は54兆円弱にまで復活する。
ところが1997年の再度の消費税増税(2%増の5%)の影響は凄まじく、
それ以後の日本経済はデフレスパイラスで、坂道を転げ落ちる石の如くであり、以後1997年値を一度も超えられない。
2014年4月には3度目の消費税3%(合計8%増税のGDPショックが発生して、日銀の異次元の金融緩和(インフレ策)にもかかわらずデフレに落ち込み、 大慌てで年末総選挙に打って出る。

消費税による日本経済の縮小(デフレスパイラル)がこれ程明らかになっているのに、財務省やマスメディアが絶対に認めないのですが、もちろん消費税と日本のデフレの因果関係は全員が熟知しているのですよ。もちろん一般庶民も薄々は全員が知っている。
ただ、敗戦直前の70年前の日本と同じなのです。
全員が『空気を読む』絆社会である特殊なニホン国ムラでは、周りからKYだと思われたくないので真実を良く知っている有識者は、自分が隠している恐ろしい真実(実は全員が知っている事実)を誰も口に出さない。表では180度逆のことしか喋らないのです。


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