逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

致命的だった2014年4月の消費税増税

2015年07月30日 | 経済
『モノが売れない。消費税でデフレの泥沼に突っ込んだ日本経済』

日本政府(財務省)の発表した統計でもバブル期以後では、消費税を3%から5%に、橋本龍太郎首相が1997年(平成9年)に、たったの2%増税で日本経済が壊滅的な被害が出たことは明らかである。しかも、バブル経済のぬくもりが残っていた1997年当時は日本経済には十分な余裕があった。
ところが安倍晋三内閣による2014年4月の8%への消費税増税では、18年前とは大きく違い日本経済は長年続くデフレで基礎体力を失っていた。
2008年のリーマンショックの打撃を克服出来ない時期の3%もの消費税増税では、18年前の1997年の2%増税による消費不況以上の致命的な影響が出ることは実施する前から予想されていたのである。
日本経済の頂点は1990年(平成2年)であり、消費税を増税した1997年を最後に坂を転がり落ちる石のように凋落が止まらない。
ヘッジファンドのジョージ・ソロスが指摘したように『日本は 25年間穏やかに死につつある』のですが、2年半前からのアベノミクスが最後の止めを刺す。

『幻だった「トリクルダウン」理論』

ヒト・モノ・カネなど全てのものが自由に国境を越えるグローバルスタンダード、悪魔の碾き臼『新自由主義』の最大の特徴は『金持ちをもっと金持ちにすれば消費が拡大し経済成長するので、ビンボウ人も豊かになる』とのトリクルダウンであるが、実施したら予定どうりに小数の金持ちはより大金持ちになった。ところが、対照的に貧しい人々もっと貧しくなる。
『富』は上が独占して仕舞い、格差が極限まで拡大しただけで、予定していたカネが下に滴り落ちることは決して無かった。
しかも全体としての国民消費が、日本社会の格差の拡大と比例して際限なく縮小したのである。
これは当然で、一人当たりの消費額は金持ちの方が大きいが消費比率では逆に小さい。貯蓄する余裕が無いビンボウ人が収入に対するする消費率で見れば一番多くなる。(社会全体の経済成長では正攻法である『底辺の嵩上げ』以外の方法は何処にも無かった)
日本の場合には自民党政府が、一般市民からの消費税の増税分を丸々大企業減税で帳消しなっていたので、結果的に国庫収入は少しも増えない仕組みだった。
1989年(昭和64年/平成元年)に3%の消費税が導入されるがバブル(ハイパーインフレ)の真っ最中だったので影響は何も無かったが、バブルの熱狂が終わると共に日本はデフレに突入してモノが売れなくなり際限なく縮小していく。消費税導入後の日本経済ですが、残ったのは1千兆円もの膨大な債務だけだったのである。



『消費税増税で極限まで冷え込む国内消費』

『トヨタ4年ぶり首位陥落…鮮明になった消費増税の重いツケ』

安倍政権もいよいよ崩壊が近そうだ。安保法案同様、国民の猛反対を押し切って踏み切った消費増税の影響が鮮明になってきた。
28日、トヨタ自動車が上半期の世界販売台数を発表したが、4年ぶりに首位から陥落。独フォルクスワーゲンにトップの座を譲り渡した。
理由はハッキリしている。
昨年4月の消費増税だ。米国や中国、インドなど海外販売は順調なのに、国内が前年同期比9.7%も減らし、足を引っ張った。
消費増税のダメージで販売不振にあえいでいるのはトヨタだけではない。
今年上半期の国内の新車販売は11.0%も減った。バイク(小型2輪)も38.8%減(今年3月の前年同期比)、薄型テレビも7.8%減、(同6月)外食も2.3%減(同)……と、ことごとくモノが売れなくなっている。
経済ジャーナリストの井上学氏が言う。
『トヨタの首位陥落は、今の日本経済を象徴しています。“若者の車離れ”が言われて久しいですが、それは20~30代の非正規雇用が増え、所得が伸びないからです。もともと、“ぜいたく品”である車やバイクを買い控える傾向が強まっていましたが、消費増税がトドメとなりました。
彼らにとっては、薄型テレビもパソコンも外食もすべてぜいたく品です。遠からず、多くの電機メーカーや自動車メーカーが地獄を見ることになるでしょう』。
『株価連動内閣』といわれる安倍政権は、あの手この手で“官製相場”を演出してきたが、日本経済を牽引してきたトヨタにブレーキがかかり、実需を伴っていないことがとうとう露見した。
『いくら政府が公的マネーで株を買い支えても、東芝やシャープみたいに業績不振で株価が急落する企業が続出したら穴のあいたバケツです。不動産バブルの崩壊も近いといわれています』。(井上学氏)
経済がメタメタなのに、安倍政権は1年半後、消費税を10%に再増税すると明言している。
車も家電もますます売れなくなり、失業者が増えるだろう。
安保法案の強行採決で支持率が急落しているが、その前にアベノミクスの崩壊で内閣が潰れるんじゃないか。
2015年7月30日 日刊ゲンダイ

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