両生類を襲うカエルツボカビ、朝鮮半島原産と判明 2018年5月14日 ナショナルジオグラフィック
世界中の両生類の多くが、存続の危機に直面している。その元凶となっているのが、カエルツボカビ症を引き起こす真菌、カエルツボカビ(Batrachochytrium dendrobatidis)だ。200種を超える両生類を絶滅または絶滅寸前に追い込み、地球全体の生態系を急激に改変しつつある。英インペリアル・カレッジ・ロンドンで、カエルツボカビを研究するマット・フィッシャー 「生物多様性への打撃という点では、これまで知られている限り、史上最悪の病原体です」
きっかけは朝鮮戦争か?
世界各国の研究者58人から成る研究チームが、この真菌がどこから広がり始めたのかを明らかにした。学術誌「サイエンス」に5月11日付けで掲載された画期的な研究で、カエルツボカビが現れた最も有力な場所と年代が「1950年代の朝鮮半島」(朝鮮戦争)だと特定される。
カエルツボカビは朝鮮半島を起点に人間の活動によって偶然に移動し、広範囲に散らばって、南北アメリカ、アフリカ、ヨーロッパ、そしてオーストラリア各地での両生類の死滅につながった。
カエルツボカビの由来がわかることで、研究者たちは、多様なツボカビがいるホットスポットを監視し、新たな脅威について調べられるようになる。さらに今回の研究結果は、世界規模の貿易が知らず知らずのうちに生態系の破滅を加速させてしまうという警告も発している。
カエルの死体のじゅうたん
略して「Bd」と呼ばれるカエルツボカビが恐ろしいのは、両生類の透過性が高い皮膚を標的にするからだ。両生類は、皮膚から酸素や水分を吸収する。Bdは、両生類の皮膚に含まれるたんぱく質ケラチンを利用して成長し、皮膚呼吸や体内の浸透圧の調整を阻害すると考えられている。感染した両生類は次第に無気力になり、皮膚がはがれ落ちて、数週間でみるみる弱って心不全で死ぬ。Bdに耐性のある両生類もいるが、感染する可能性のある種は少なくとも695種に上る。
米メリーランド大学の生物学者で、両生類の減少に詳しいカレン・リップス「これほど幅広い種への影響が見られる病気は、かなり珍しいです」。
聖書の大災害を思わせるBd
毎年8月、フランスのピレネー山脈に生息するサンバガエルは成体になり、生まれた湖から初めて岸に上がり、「カエルたちは生涯最後のジャンプをしますが、拾い上げると、間もなく手の中で力尽きてしまいます」「湖岸を歩いてみればわかります。まるでカエルの死体のじゅうたんが広がっているような光景ですから」
同様の大量死が起こり始めたのは1970年代だが、こうした「謎の減少」が地球規模の現象だと研究者たちが認識したのは1990年代。1997年に研究者が初めてBdに関して述べると、10年のうちに大量死と関連づけられた。その間もBdの猛威は止まなかった。パナマでは、2004年から2008年にかけ、現地の両生類の種のうち41%がBdによって失われた。かつて原因不明とされていた両生類の大量死の多くが、今ではカエルツボカビによるものとされている。しかし、この強力な系統はどこから来たのだろう? そして、いつ、どうやって世界中に広がったのだろうか?
カエルツボカビの遺伝情報の「図書館」
研究者たちは10年を費やして、世界中のBdの遺伝情報を集め、科学者たちは6大陸を回った。論文著者の1人ジェニファー・シェルトンは、2017年に台湾の山々をめぐり、感染したサンショウウオを探した。
オハンロン氏とフィッシャー氏らの研究チームは、世界中から集めた177のBdのゲノムを解析。すでに発表されている57の配列と合わせて検討した。合計234のゲノムを比較してBdの系統図を描くと、特徴的な系統が4つあることがわかった。
なかでも朝鮮半島のサンプルは、Bdを採取したほかのどの地点よりも大きな遺伝的多様性を示していた。つまり、ここがBdの「震源地」で、さらに、Bdの変異率を割り出すと、現在のBdGPLの祖先は20世紀初めにアジアで現れたことが判明した。1950年代に世界中に「輸出」されるまで、この真菌は地域の動物相と平和に共存していた。
研究者たちは、感染した両生類が人間の活動によって世界に広まったと考えている。朝鮮戦争の真っただ中に数百万の兵士や大量の装備が地域を出入りした。そこに両生類が入り込む機会は十分あっただろう。
現在、世界規模のペット取引がBdを拡大させ続けているのは明らかだ。研究チームのメンバーが、ベルギー、英国、米国、メキシコのペットショップや市場をしらみつぶしに探すと、感染したカエルやヒキガエルが見つかった。
新たなツボカビ病原菌も
Bdにむしばまれた両生類は、局所投与の抗真菌薬で治すことができ、この方法は野生でも試行され成功している。しかし現時点では、世界規模で野生の個体群を回復させることはできない。差し当たっては、Bdのこれ以上の拡散を防ぐのがベストな選択肢だと研究者は言う。しかし、今ではBd以外にも強力な真菌が出現しており、ツボカビ症を食い止めるのは非常に困難な状況だ。
2013年、イモリツボカビ(B. salamandrivorans)という真菌が確認された。Bdの近縁で、略してBsalと呼ばれる。何らかの理由で両生類の1グループである「サラマンダーを滅ぼす」ことが名前の由来だ。2009年から2012年にかけて、この真菌はオランダに生息するファイアサラマンダーの個体数を99%以上も激減させた。
両生類を守るためにできること
BdGPLはもう米国に入っており、米国魚類野生生物局はその拡大を精力的に監視している。同局の漁業・水生生物保護責任者、デーブ・ミコ「Bd真菌はもう米国の環境に広く存在しており、両生類の輸入規制は、固有種の両生類保護においてほとんど意味がありません。……また、この真菌が州の境界を超え、今以上に広がるのを防ぐうえでも効果は限定的でしょう」「今回の論文は、問題はBdだけではないと述べています」と反論する。「被害をもたらす物が何か1つあったら、それに近い形態のものも入ってこないようにすべきです。そちらの方が、害が大きい可能性もあるからです」
最低限、国際的に取引される両生類にはBd検査をすべきだが今のところ、一貫して実施されてはいない。例えば米国農務省は、ペットとして輸入される両生類に対し、健康状態の検査を求めていない。
何より理想的な最も効く対策は世界中で両生類のペット取引全面禁止
「自然環境の中から採掘でもするように生き物を集めて、金もうけのために世界中に売る必要が本当にあるのでしょうか。リビングルームに飼育器を置いて、『ほら、クールだろ』と言うためだけに」とフィッシャー氏は問う。「一見、無害な娯楽のようですが、実は生態系全体を危険にさらしているのです」
(抜粋)
2018年5月14日 ナショナルジオグラフィック
自然界では必ず宿主と共生する(仲良く共存共栄する)ウイルスの生存戦略
世界の両生類を絶滅の危機に追い込んだ史上最悪の病原体カエルツボカビ(Bd)が日本に侵入して天然記念物のオオサンショウウオや希少種のカエル類が絶滅すると心配されたが、なぜか何時までたってもツボカビの侵入も被害も無い。
良く調べてみると朝鮮戦争の最大の出撃拠点だった極東のアメリカ軍基地が集中する沖縄本島の北部や奄美大島に生息するシリケンイモリがツボカビの本当の宿主だったとのオチ。(★注、未知の恐ろしい細菌(真菌)と思われたが、実は宿主のシンケンイモリとカエルツボカビは長年にわたって共生関係にあったので、日本国内の両生類では実害がまったく無かったのである)
インフルエンザウイルスは夏季にシベリアで繁殖する水鳥の腸菅に寄生していて(水鳥には何の害もないが)冬季に日本列島に渡り鳥として飛来するので寒い冬の間だけインフルエンザが流行る。暖かくなるとともに水鳥がシベリアに帰るのでインフルエンザも自然に収まる。
近ごろ食中毒として恐れられている寄生虫アニサキスの宿主はイルカなので(イルカには何の害もないが)イルカのえさとなるサバやサーモンを刺身にして人間が食うと、アニサキスが体中を動き回るので猛烈に苦しむ。(北海道の地元でサケマス類は新鮮でも刺身にしては食べない)
71年前の1949年8月29日,ソ連が初の核実験「RDS-1」をセミパラチンスクで実施。爆縮型のプルトニウム爆弾で,22キロトンの核出力を発揮した。この実験の成功により、アメリカの核兵器独占は終結した。トリニティ( Trinity)1945年7月16日 から4年と1カ月13日後、ヒロシマナガサキからなら4年弱の出来事だった。(★注、アメリカ合衆国はリトルボーイなどの核開発予算の2倍もの巨費を投じて対日開戦翌年の1942年から無差別絨毯爆撃用のB29戦略爆撃機を開発して大量配備。日本中を焼け野原にした)
科学の驚異的進歩で、最新技術がどんどん陳腐化する現在
何故かアメリカのトランプ政権を除く、WHOや世界中の政府やマスメディア、有識者がSARS2ウイルスの遺伝子組み換え疑惑を必死で否定するのですが、70年以上前なら超大国だけが可能だった核兵器を北朝鮮が持っている時代に、逆に、何とも不可解なのである。当時世界最高の科学力を持っていたドイツが総力を挙げて開発したサリンやVXを日本のオウム真理教の「修行して空を飛べる」と信じていたお馬鹿技術者が制作、東京の地下鉄で1995年使用している。
一昔前なら国家が総力を挙げて取り組む大事業だった「遺伝子組み換え」ですが、今なら大学の研究室レベル程度の設備で院生が普通に行えるほど技術的なハードルは低い。(★注、実行する意思さえあれば誰でも簡単に行える)
技術的ハードルは低く、心理的なハードルは高い
SARS2ウイルスの遺伝子組み換え(人為的操作)を、頭から全面否定するWHOとかメディア、有識者の見解ですが、これは「科学的に不可能」の意味ではなくて、(ヒトのクローン技術と同じで)人間として「道徳的にあり得ない」なのですから恐ろしい。
ミクロな自然科学として正しくマクロな社会科学とそしては間違っている「優生学」と同じ範疇
今のように全員でいくら口先で否定しても、SARS2は自然界での宿主(沖縄のシリケンイモリのようにウイルスと仲良く共存する生き物)が見つからない限り、人為的遺伝子組み換え(ちょい悪の細菌兵器説)疑惑は無くならないのである。(必ずウイルスは「宿主と共生」しない限り生き残れない。数時間で死滅する)
★注、今回のSARS2は2003年流行のSARSとは80%。MARSとは50%ゲノムが一致するが、何れも自然界の宿主の発見には至っていない。(雲南省の蝙蝠を宿主とするウイルスとは90%一致)
2年前のナショナルジオグラフィック記事のカエルツボカビ「朝鮮戦争由来説」以外にも、最近では、直接日本本土からの食用ガエル輸出説が唱えられているが、欧米由来の外来種の食用ガエルが今のよう日本列島に普通に大繁殖したのはごく最近の出来事。1950年代の朝鮮戦争当時は極々限られた範囲にしか食用ガエルは生息していなかった希少種で、そもそも外来種なので日本古来のカエルツボカビとの共生関係にないので生き延びれないのである。
中国からインドネシアにかけての地域では、トラフガエル Rama tigerina 、ヌマガエル Rana limnocharis などが食用に利用。
今回のCOVIDとの類似性有り。