ニパウイルス。マレーシアで1998-99年に起こった壮絶なストーリーとともに、その死亡率が最近ぐいぐい亢進している話題。
- マレーシアのNipah地区で起こったストーリー。脳炎症状を呈する感染者が続々発生。症状は悲惨で、ある日元気な若者が次の日には脳が腫れあがり昏睡状態になってしまう。当初、当局はこれが蚊媒介疾患によるものだと考えて蚊対策を積極的におこなった。しかし患者発生はやまない。
- よく観察すると、イスラム教徒だけは感染していない。蚊媒介ならイスラム教徒も他宗教も関係なく感染するはずなのに。
- ウイルス検体を機内持ち込みにして、急きょ、米国行きの航空機に飛び乗った。米国で電顕写真が写った画像を見るとパラミクソウイルス。そこからただちにマレーシア当局に電話して、蚊対策を中止してもらった。
- 豚が原因と突き止め、ドラスチックな豚殺処分をおこなった。100万頭を処分。現場は凄惨で、豚の悲鳴は響き渡り、涙を流している豚もいた。しかしこの措置は非常に効果があり、流行はおさまりウイルスは消え去った。
- ニパウイルスの発生は以前からあったが、裏庭農家の時代には小規模発生にとどまっていた。しかし、経済発展とともにマレーシア人は週に何度も肉を食べることが出来るようになり、大規模密集養豚の時代になると、一度発生しだすと「ウイルス工場」のようになってしまう。
- マレーシアの養豚場なこの時に教訓を得て改良されたが、1999年以来アジアでは16回ものアウトブレイクがフィリピン・バングラデッシュ・インドで起こっている。
- さらにウイルス自体の危険度も上がっている。1999年マレーシアでは死亡率40%ほどでありヒトーヒト感染もなかったが、最近では死亡率70%に達し、ヒトーヒト感染も見られるようになってきている。
- 舞台がアジアなだけに、気になる話です。海外勤務者派遣前研修講義の隅っこにでも余裕あればさらりと言及しても良い話かもしれません。休日の田舎ドライブではご注意をと。
A Taste For Pork Helped A Deadly Virus Jump To Humans
February 25, 20178:28 AM ET