第3回 SCM
SCM(Supply Chain Management)
サプライチェーンとは原材料の調達から消費者に届くまでの工程(調達、生産、物流、販売)に関わるすべての企業を指す
SCMは、サプライチェーンに属するすべての企業が情報を共有することで在庫を減らし、最終的に消費者に対して最適なタイミング(ジャスト・イン・タイム)でコストを削減して提供できる仕組み
SCMの仕組み
情報ネットワークを用いた情報の共有化
デルコンピュータのSCM
•デル・ダイレクト・モデル(通称“デル・モデル”)
•サプライヤは常にデルへのオーダー状況を把握でき、自社への生産計画を立てることができる。パートナーの製造プロセスとデルの製造プロセスが合理的に効率化するバリューチェーン
•現在在庫日数4日間を達成(NECは17日、富士通13日)
販売、社内業務、SCMと3分野でインターネットを利用することにより、販売管理費を10%以下に抑えている。
•デル・モデルは、9月11日の米テロ多発事件でも強さを実証した。事件発生後の航空機輸送停止による部品調達の遅れは、ほとんど同社のビジネスに影響を与えなかった。支援活動でもデル・モデルを駆使し、3万5000台のシステムを出荷して顧客や援助団体をサポートした
パソコンのSCMに30億円を投資
(NEC)
•大手販売店から収集した週次の販売・在庫実績を基に、販売や生産、調達計画の立案作業を自動化。最新の販売実績を把握してから最短4日と、従来に比べ1週間早く製品を出荷できる。
•海外の部品メーカーなどやEMS(エレクトロニクス・マニュファクチャリング・サービス)企業も、インターネット経由でVCMに接続する。サプライチェーン全体の進ちょくやボトルネックが、素早く把握できるようになる。
•システム投資額は30億円。需要予測の精度向上による余剰在庫の削減や、パソコンの完成品在庫の「鮮度」低下による価格ロスの削減などで、年間40億円分のコスト効果を見込む。
サプライ・チェーン投資で期待通りの成果を上げていない企業は45%
•米国の調査会社は,企業のサプライ・チェーン投資に対する満足度について調査した結果を,5月20日に発表した。サプライ・チェーンの世界市場は190億ドル規模に成長しているものの,45%の企業がサプライ・チェーンに対する投資の成果に不満を感じている
•技術が大きな進歩を遂げたとはいえ,サプライ・チェーンの導入コストは依然高い。またサプライ・チェーンを導入しても,必要以上の在庫を抱えてしまう企業がある。その根本的な原因は,この20年間変わっていない。企業が型にはまったまま,表面的な改善策しか講じないからだ
•サプライ・チェーンの向上に,企業のCEOが果たす役割が大きいことが明らかになった。サプライ・チェーン管理をCEOレベルの課題とみなす企業は,年間の顧客対応コストを8%,購買コストを5.9%削減していた。一方,より低いレベルの役職がサプライ・チェーン管理を行う場合は,それぞれ4.4%と5.0%の削減にとどまった。
•サプライ・チェーン管理に対する投資額と,企業の満足度は比例している
SCM導入における問題点
•流通慣行 –日本のメーカーは量販店、販売代理店経由の販売が多い –常に正確な売れ行き状況をメーカーに示しているか不明 –販売計画が現場の販売スタッフの勘に頼っている
•正確な販売予測とそれに沿った販売計画の作成、その情報の共有化がSCM成功のポイント –在庫処分のため量販店に「在庫補填制度」という補填金を支払う –インターネットでの販売など直販比率を高めると量販店からの反発 –いくら高度なSCMを構築しても、効果が少ない
SCMで成功する鍵
•企業戦略に沿ったSCMの構築
•企業の内外を結ぶ標準化
•専門人材の開発
•製品のライフサイクルも考慮した社内の各部門を結ぶSCMの構築
•SCMを原動力とする企業全体の改革
•(アクセンチュア)
サプライヤー・リレーションシップ・マネジメント (SRM)
•電子調達システムを軸に、情報技術(IT)を活用することで部品や原材料の供給メーカー(サプライヤー)との関係を最適化する手法
•独SAPや米ピープルソフトなどの大手統合基幹業務システム(ERP)向けソフト会社が提案
•ERPやサプライチェーン・マネジメント(SCM)などの他のシステムと連携させることで調達に関連する様々な業務を対象。SCMと組み合わせることで予想外の需要が発生した場合に、供給能力を備えているメーカーをデータベースから探し出したり、データを分析するビジネスインテリジェンス(BI)システムを取り入れて購買実績から部品メーカーの供給能力を評価したりできる。
ヤフー、ベネフィット・ワンと福利厚生受注
•ヤフーは福利厚生代行のベネフィット・ワンと共同で、中小企業、個人事業主向けの福利厚生サービスを始めた。従業員1人あたり月額315円からの料金を払うことで、ホテルやフィットネスクラブなどを割引料金で利用できる。ヤフーは今後もインターネット経由で受注する法人向けサービスを拡充、収益源の多様化を狙う。
• サービスの名称は「ヤフー!福利厚生」。月額315円のコースでは、約4100の宿泊施設を10―30%引きで利用できたり、フィットネスクラブを1回2100円で利用できたりする。利用施設数が多く、割引率が高い月額840円のコースもある。利用できる施設、サービスは計1万5000になる。
•[2006年7月4日/日経産業新聞
パートナーシップの比較
流通業と製造業の主導権争いの激化
長期的には両社の利益を求めているが、短期的には不利益となる場合がある
主導権をどちらが握るか、が重要となる
3種類のパターンが存在
小売業主導型
製造業主導型
卸売業主導型
その他の電子商取引
CALS(Commerce At Light Speed)
部品産業と組み立て産業のパートナーシップ
顧客企業と製造企業との共同開発
航空機産業などで盛んに利用(コンカレント・エンジニアリング)
lIR(Investors Relationship:投資家向け情報発信)
政府による情報発信(G to C)
企業間電子商取引、標準化へ協議会
・マイクロソフトや日立製作所、野村総合研究所、セゾン情報システムズなど電機、情報、流通大手83社は、企業間電子商取引の手法標準化を進める協議会を設立した。企業や業界でシステムの仕様などが異なり、情報交換に手間取っている現状を改善。企業間商取引全体の数%程度で足踏みしている電子商取引の普及を後押しする。
設立したのは「ドットネット流通システム協議会」。マイクロソフトやNTTデータ、日立など15社が幹事となり、各社の技術、営業企画、市場調査の実務担当レベルで詳細を詰める。異仕様のシステム間の情報交換を容易にするマイクロソフトの「ドットネット」というインターネット技術を応用する。
[12月21日/日本経済新聞]
SCM(Supply Chain Management)
サプライチェーンとは原材料の調達から消費者に届くまでの工程(調達、生産、物流、販売)に関わるすべての企業を指す
SCMは、サプライチェーンに属するすべての企業が情報を共有することで在庫を減らし、最終的に消費者に対して最適なタイミング(ジャスト・イン・タイム)でコストを削減して提供できる仕組み
SCMの仕組み
情報ネットワークを用いた情報の共有化
デルコンピュータのSCM
•デル・ダイレクト・モデル(通称“デル・モデル”)
•サプライヤは常にデルへのオーダー状況を把握でき、自社への生産計画を立てることができる。パートナーの製造プロセスとデルの製造プロセスが合理的に効率化するバリューチェーン
•現在在庫日数4日間を達成(NECは17日、富士通13日)
販売、社内業務、SCMと3分野でインターネットを利用することにより、販売管理費を10%以下に抑えている。
•デル・モデルは、9月11日の米テロ多発事件でも強さを実証した。事件発生後の航空機輸送停止による部品調達の遅れは、ほとんど同社のビジネスに影響を与えなかった。支援活動でもデル・モデルを駆使し、3万5000台のシステムを出荷して顧客や援助団体をサポートした
パソコンのSCMに30億円を投資
(NEC)
•大手販売店から収集した週次の販売・在庫実績を基に、販売や生産、調達計画の立案作業を自動化。最新の販売実績を把握してから最短4日と、従来に比べ1週間早く製品を出荷できる。
•海外の部品メーカーなどやEMS(エレクトロニクス・マニュファクチャリング・サービス)企業も、インターネット経由でVCMに接続する。サプライチェーン全体の進ちょくやボトルネックが、素早く把握できるようになる。
•システム投資額は30億円。需要予測の精度向上による余剰在庫の削減や、パソコンの完成品在庫の「鮮度」低下による価格ロスの削減などで、年間40億円分のコスト効果を見込む。
サプライ・チェーン投資で期待通りの成果を上げていない企業は45%
•米国の調査会社は,企業のサプライ・チェーン投資に対する満足度について調査した結果を,5月20日に発表した。サプライ・チェーンの世界市場は190億ドル規模に成長しているものの,45%の企業がサプライ・チェーンに対する投資の成果に不満を感じている
•技術が大きな進歩を遂げたとはいえ,サプライ・チェーンの導入コストは依然高い。またサプライ・チェーンを導入しても,必要以上の在庫を抱えてしまう企業がある。その根本的な原因は,この20年間変わっていない。企業が型にはまったまま,表面的な改善策しか講じないからだ
•サプライ・チェーンの向上に,企業のCEOが果たす役割が大きいことが明らかになった。サプライ・チェーン管理をCEOレベルの課題とみなす企業は,年間の顧客対応コストを8%,購買コストを5.9%削減していた。一方,より低いレベルの役職がサプライ・チェーン管理を行う場合は,それぞれ4.4%と5.0%の削減にとどまった。
•サプライ・チェーン管理に対する投資額と,企業の満足度は比例している
SCM導入における問題点
•流通慣行 –日本のメーカーは量販店、販売代理店経由の販売が多い –常に正確な売れ行き状況をメーカーに示しているか不明 –販売計画が現場の販売スタッフの勘に頼っている
•正確な販売予測とそれに沿った販売計画の作成、その情報の共有化がSCM成功のポイント –在庫処分のため量販店に「在庫補填制度」という補填金を支払う –インターネットでの販売など直販比率を高めると量販店からの反発 –いくら高度なSCMを構築しても、効果が少ない
SCMで成功する鍵
•企業戦略に沿ったSCMの構築
•企業の内外を結ぶ標準化
•専門人材の開発
•製品のライフサイクルも考慮した社内の各部門を結ぶSCMの構築
•SCMを原動力とする企業全体の改革
•(アクセンチュア)
サプライヤー・リレーションシップ・マネジメント (SRM)
•電子調達システムを軸に、情報技術(IT)を活用することで部品や原材料の供給メーカー(サプライヤー)との関係を最適化する手法
•独SAPや米ピープルソフトなどの大手統合基幹業務システム(ERP)向けソフト会社が提案
•ERPやサプライチェーン・マネジメント(SCM)などの他のシステムと連携させることで調達に関連する様々な業務を対象。SCMと組み合わせることで予想外の需要が発生した場合に、供給能力を備えているメーカーをデータベースから探し出したり、データを分析するビジネスインテリジェンス(BI)システムを取り入れて購買実績から部品メーカーの供給能力を評価したりできる。
ヤフー、ベネフィット・ワンと福利厚生受注
•ヤフーは福利厚生代行のベネフィット・ワンと共同で、中小企業、個人事業主向けの福利厚生サービスを始めた。従業員1人あたり月額315円からの料金を払うことで、ホテルやフィットネスクラブなどを割引料金で利用できる。ヤフーは今後もインターネット経由で受注する法人向けサービスを拡充、収益源の多様化を狙う。
• サービスの名称は「ヤフー!福利厚生」。月額315円のコースでは、約4100の宿泊施設を10―30%引きで利用できたり、フィットネスクラブを1回2100円で利用できたりする。利用施設数が多く、割引率が高い月額840円のコースもある。利用できる施設、サービスは計1万5000になる。
•[2006年7月4日/日経産業新聞
パートナーシップの比較
流通業と製造業の主導権争いの激化
長期的には両社の利益を求めているが、短期的には不利益となる場合がある
主導権をどちらが握るか、が重要となる
3種類のパターンが存在
小売業主導型
製造業主導型
卸売業主導型
その他の電子商取引
CALS(Commerce At Light Speed)
部品産業と組み立て産業のパートナーシップ
顧客企業と製造企業との共同開発
航空機産業などで盛んに利用(コンカレント・エンジニアリング)
lIR(Investors Relationship:投資家向け情報発信)
政府による情報発信(G to C)
企業間電子商取引、標準化へ協議会
・マイクロソフトや日立製作所、野村総合研究所、セゾン情報システムズなど電機、情報、流通大手83社は、企業間電子商取引の手法標準化を進める協議会を設立した。企業や業界でシステムの仕様などが異なり、情報交換に手間取っている現状を改善。企業間商取引全体の数%程度で足踏みしている電子商取引の普及を後押しする。
設立したのは「ドットネット流通システム協議会」。マイクロソフトやNTTデータ、日立など15社が幹事となり、各社の技術、営業企画、市場調査の実務担当レベルで詳細を詰める。異仕様のシステム間の情報交換を容易にするマイクロソフトの「ドットネット」というインターネット技術を応用する。
[12月21日/日本経済新聞]