ヒッキーはつむじ風!!

ヒッキーが観て気に入った映画を、ブログで紹介します。

「忠臣蔵外伝 四谷怪談」

2012-05-21 20:21:52 | Weblog

                            「忠臣蔵外伝 四谷怪談」

1994年の深作欣二監督作。

読んで字の如く、忠臣蔵と四谷怪談が合体したホラー・ロマンス時代劇(??)

公開当時から観よう、観ようと思いながら、苦節18年(?)やっと観てみました。

ストーリーはさておき(?)やはりお岩役の高岡早紀がイイっす。
「バタアシ金魚」の頃から、素敵な女優さんだとは思っていたのですが、本作、もっと早く観とけばよかった。
この映画に関するインタビューで「深作監督のキビしさに、何度も泣かされた」と彼女が語っていたのを思い出します。

その高岡氏に負けず劣らず異彩を放っていたのが、吉良方、伊藤喜兵衛(石橋蓮司)の孫娘・お梅を演じた荻野目慶子です。
“子供の頃の病により言葉を失った”という設定なので、セリフが一言もなく、発するのは笑い声と叫び声だけという、狂気さえ感じる“怪演”でした。
おそらく、この作品以前の自分のイメージを、良い意味で“ぶち壊した”演技だったのではないでしょうか。

さて、ご紹介する女優さん三人目は、お梅の乳母(側近??)・お槇を演じた渡辺えり子(現・えり)さんです(なぜか敬称)
白塗りした顔に不気味な微笑み・・・存在感有りまくり(笑)
本作のキャラクターで、渡辺さんを知ったという方も多いのでは(私もそうです)

男優さん。
伊右衛門を演じた佐藤浩市さんもよかったのですが、
私的には、湯女宿の番頭・宅悦を演じた六平直政さんにシビれました。
湯女宿の番頭らしい、下卑た物腰や言い回し・・それでいて実はお岩さんに下心があるという件などの演技は、まさにハマリ役。
何か賞をあげたいくらいです。

という訳で、ストーリー的には、ネタバレになりますが
伊右衛門とお岩の出会い。時同じくして元禄十四年、赤穂浪士たちの苦難の道のりには、松の廊下の二か月前に召し抱えになった伊右衛門も加わっていた・・。
伊右衛門の前に現れる吉良方の孫娘・お梅・・。
伊右衛門の裏切りとお岩の死。

そしてクライマックスの吉良邸討ち入りに、なんとお岩と伊右衛門が・・・。

思ったのは、これだけ盛り沢山のストーリー及び豪華なキャストの割に、正味100分くらいでジ・エンドなのは何故かしら??
まあ、コンパクトで中身が濃いと言えなくもないが・・。

討ち入りのシーンだけでも、もうちょっと長く観たかった感じがしました・・。



ひきばっち的満足度★★★






「どついたるねん」

2012-05-18 22:36:24 | Weblog

                           「どついたるねん」
監督・脚本 阪本順治

20年以上前に観た本作を、なんとなくまた観たくなってDVDを借りました。

ボクサー現役時代は「浪速のロッキー」と呼ばれた赤井英和の初主演映画ですな。

ネタバレあります~・・。と言っても、ストーリー自体はとてもシンプルなのですが・・。

ストーリー冒頭で赤井演じるボクサー安達英志がノックアウトされる。
そのまま病院で開頭手術を受け一命を取り留める。
奇跡的に殆んど後遺症は残らなかったが、頭に“爆弾”をかかえた安達は、二度とリングには上がれなくなった・・。

このあたりのストーリーは、赤井英和が実際にたどった道程に近いのではなかろうか(というかそのものか)。1985年2月5日に行われた“世界タイトルの前哨戦”。
対大和田正春戦で赤井は7ラウンドKO負けを喫した。その際「急性硬膜下血腫」及び「脳挫傷」で意識不明の重体となった。
なんでも、「搬送時生存率20%」だったというから、まさに奇跡的な回復だ。

映画では退院してその後が描かれる。
それまで世話になったナショナル・ジムには恩返しもせず、勝手に自分のジムを作り、あくまでも自分がやってきたような“ファイター”型の選手を作ることに固執し、その結果、安達のジムは崩壊する。

すべては安達の復活劇への布石なのだが、ボクシング好きの私にとっては、興味深いシーンが盛り沢山。

カムバックが決まった後のロードワークのシーンは、見ているこちらも心拍数が上がる(笑)まさに「ロッキー」と同じパターンなのだが、単細胞な私は、つい拳に力が入ってしまう・・。

この作品を魅力的な物にしているのは、やはり赤井英和の存在感だと思うのだが、私的にすごく魅かれたのが、ナショナル・ジムの貴子(相楽晴子)のキャラクターだ。
男まさりで気が強く、いつも安達とケンカばかりしているのだが、実は安達のことが好きで、心配でならない・・というキャラクターに相楽晴子がとってもハマっている(^^♪
ベリー・キュートだ。

映像の色調が「やまぶき色」とでもいうのか、とても暖かみがある(ファイトシーンは別として)。

私は二十数年前に、確かにこの作品を観たのだが・・・あれ??・・終盤のファイトシーンこんなに迫力あったっけ・・??すぐ終わったような記憶があるのだが・・。
すごい迫力でした・・。エンディングもカッチョイイ。

エンドロールに原田芳雄(佐島トレーナー役で出ています)が歌う「Don't Worry」がかぶる。CD買ったのを思い出した。なくしてしまったのが残念・・。



ひきばっち的満足度★★★★












「華の乱」

2012-05-13 16:14:28 | Weblog

                             「華の乱」

松田優作つながりで、前から観たかった本作をやっと。

「ヨコハマBJ~」にくらべると、こちらはかなり大作ですな。
「オールスター・キャスト」という感じです。

明治、大正の激動の時代を舞台に、歌人・与謝野晶子(吉永小百合)を中心とし

て、女優・松井須磨子(松坂慶子)、「婦人公論」記者の波多野秋子(池

上季実子)、婦人解放運動家である伊藤野枝(石田えり)、歌人・山川登美子(中田喜子) らの女性たち、

そして作家・有島武郎(松田優作)、アナキスト・大杉栄(風間杜夫)、新劇の演出

家・島村抱月(蟹江敬三)、晶子の才能を見い出し開花させた歌人・与謝野寛(緒形拳)らが繰り広げる愛憎と人間の物語・・・かな・・??

とりあえず思ったのは吉永小百合さん綺麗・・((;゜Д゜))!

吉永さんの比較的“昔”の作品としては「青い山脈」や「キューポラのある街」を観たこと

があったが、本作での美しさは格別だ・・。これだけで観たかいがあったというものだ(そんなんばっか(゜∀。)
晶子が執筆の合間にタバコをふかすシーンがある。吉永さんが煙草を・・イケナイものを見てしまったようで、私もすぐにタバコを吸いました^^。


物語は、晶子と寛(鉄幹)の出会いから始まり、晶子と有島との恋を軸に描かれてゆく。

そこに波多野秋子が加わり、微妙な“三角関係”へと・・。それを中心に須磨子と抱

月、大杉栄と伊藤野枝のエピソードが交錯してゆく。

フィクションであるにしろ、“恋多き女”与謝野晶子の情熱的な恋愛の一端が垣間見れたようで、とても興味深い。

代表作「君死にたまふことなかれ」の一節が劇中に出てくる。知っている文章であったが、なぜか胸が詰まるシーンだった。

緒形拳が与謝野寛の俗物的な面を上手く演じていた。さすがだ。

優作さん演ずる有島武郎も生真面目だが時にコミカルで素敵だったが、私的には「それから」の代助さんの方が好きかなぁ・・。

そして画面の色なのですが、
深作欣二監督の作品独特の艶やかな色調。有機的な画質。好きです(^^♪

細かい人物設定が判らなくとも、明治と大正の時代の雰囲気を味わうだけで、結構楽しい。

ラスト近くで描かれる関東大震災のシークエンス。短いシーンだが、心に残るものであった。

私的に、とても楽しめた作品であった。



ひきばっち的満足度★★★★




















「ヨコハマBJブルース」

2012-05-10 14:05:03 | Weblog

                               「ヨコハマBJブルース」

好きな俳優、松田優作の主演作品なのに、今まで観たことがなかった本作。

ネタバレあります・・。

劇中に流れるブルージーなナンバーを優作さんが歌っている。
優作さんの歌はこれ以前に何曲か知っていたが、こんなにカッコイイとは・・!

なかでも、オープニング直後のライブハウスのシーンで歌われる「灰色の街」はイカしている。
甘えのない声が渋くてタマラナイ。
松田優作ファンならば、これだけでOKかも。

優作さん演じる主人公BJは、売れないシンガー。
食うために、私立探偵もやっている。

“探偵”。松田優作にはなぜか“探偵”がよく似合う。
今回は“工藤ちゃん”ほどコミカルではなく、渋い探偵さんだが、それでも所々にファニーなシークエンスがあり、つい笑ってしまう^^。

ストーリーは、麻薬密売に絡む「ファミリー」とそれを阻止しようとする警察との攻防に
BJが巻き込まれて・・・。という感じなのだが、出てくるキャラクターが一癖もふた癖もある連中ばかり。

BJの親友の警察官ムク(内田裕也)、同じ警察官だがBJを目の敵にしているベニ(山西道広)、ファミリーのスナイパーアリ(蟹江敬三)、同じくファミリーのメンバー安永(安岡力也)、これだけ並べただけで十分怖い(笑)

そしてファミリーのドンである牛宅麻(財津一郎)である。
男色の気がある牛がとてもコミカルで、観ている方がほっとする(^^♪財津一郎ってすごいなぁ。

他にも、ムクの妻、民子を辺見マリが、ライブハウスのオーナーを宇崎竜童が、牛に雇われているアキラ(田中浩二)の母を馬渕晴子が、といったぐあいに、思わぬところで懐かしさを感じたりする・・。

そしてストーリーのクライマックスは、え、(゜∀。)それあり~・・・!?
まるで「スティング」を観た時のような・・・。

優作さん見たさだったので、このストーリーはありがちかもだけど、びっくりしました・・・。



ひきばっち的満足度★★★☆







「THE WALL」

2012-05-04 18:52:04 | Weblog

久しぶりの投稿です。

ピンク・フロイドの「THE WALL」です。

全編にわたってピンク・フロイドの曲が流れ、観ていて不思議な感覚に襲われる作品です。

1979年発表のピンク・フロイドの大ヒットアルバム「THE WALL」を、鬼才アラン・パーカーが“そのまま”映像化したものです。

あくまでも“曲の持つ世界”を表しているため、「物語」的なものを期待して観ると、少々拍子抜けするかもです(迫力が無いということではありません。迫力ありすぎのシーン満載です!)

管理された教育に対するアイロニーや、反戦のメッセージが強く感じられます。

“君も壁のレンガの一つになるのか”

なるほど、レンガにはなりたくないが、レンガになってるなぁ・・。
というかレンガになっているのか・・?いや、レンガになれればまだいいのか??う~~む、何回観ても難解な映画じゃ(??)

ストーリー後半で、主人公ピンク(ボブ・ゲルドフ)がヤク中になってしまうシーンに、「コンフォタブリーナム」という曲が使われております。私的にピンク・フロイドのなかの数少ない「知っている」曲だったので、“今、気持ちが良い~♪”っちゅうニュアンスが感じられたシーンでした。

アラン・パーカー監督は、「ミシシッピー・バーニング」と「フェーム」の二作が大好きなのですが、本作はかなりカラーが異なります。
本作はもしかして私未見の「エンゼル・ハート」寄りの一本なのかしらん。

本作のDVDを貸してくれた友人曰く“決して夜中に観たりしないように”・・・。

不思議体験なさりたい方は、一見の価値ありかも・・。


ひきばっち的満足度★★★☆







「借りぐらしのアリエッティ」

2010-08-26 10:38:18 | Weblog
                           「借りぐらしのアリエッティ」
J-MAX上越にて。
企画・脚本・宮崎駿
脚本・丹羽圭子
監督・米林宏昌

ようやく「アリエッティ」の登場であります(^^♪。
“人間に見られてはいけない”というキャッチコピーが意味深長です・・。

実は私、いわゆる「ジブリ物」を劇場で観るのはこれが初めてという不届き者でございまして、というか今までに観たのはテレビ放映されていた「火垂るの墓」のみという、江戸時代なら市中引き回しの上貼りつけ獄門並みの食わず嫌いなのであります(火垂る~はボロ泣きでしたが(T_T))。

なんと、あの「となりのトトロ」も見てないっちゅう親不孝(?)者です。
そんな「食わず嫌い自慢」はいいとして、ついに劇場で観て参りました!

あらすじは多方面で書かれておるので、割愛いたしますが、
観終わって思ったのは、この作品は大人向けなのだな、ということでした。
言い方を変えれば、小学校低学年くらいのお子さんには、ちょっとつまらないのかな(派手な戦闘シーンも、着飾った少女の魔法も出てこない)と、思いましたな。

他のジブリ作品をほとんど見ていないので、比較はできませんが、本作はストーリーの根底に何か作り手のメッセージが流れているのが感じられましたな。

人間と、人間に見付からないように床下で暮らす小人たち・・。

病気療養に一週間だけその家にやって来た12才のという男の子は偶然、床下に住む13才の小人の女の子アリエッティと出会ってしまうんですな・・。

父・ポッドと2人で、人間の「角砂糖」を「借り」に出かけたアリエッティは、再び翔の姿を目にして、あわてて角砂糖を落としてしまいますな・・。

しかし、アリエッティと翔の間の、とても淡い恋心は、ある意味とても悲しく感じられました・・。滅びゆく種族と、残ってゆく種族・・・。いったいそれがどちらなのか。作品は観る者に問いかけます。

この映画を見て、何故か「ブレードランナー」を思い浮かべている自分に気が付きました。
「ブレードランナー」では労働用に作られた寿命の短いレプリカント(アンドロイド)が人間に対して反乱を起こすのですが・・。
両作とも劇中で使われている音楽のメイン・テーマがほぼ「マイナー・キー」オンリーであることも手伝って、不思議とイメージが重なるのであります。

お手伝いのハルさんに捕らえられた母・ホミリーの救出作戦は無事成功しますが、人間に見られたアリエッテイら家族3人は引越しを余儀なくされます。

翔とアリエッティの淡い恋にも別れの時が訪れます・・。
このストーリーで救いだったのは、翔の祖母である貞子が、小人の存在を認識して、静かに喜んでくれた事でしょう(^^♪とてもステキなシークエンスでした。

作品全体としても、約90分とコンパクトにまとめながら、人間への静かなる警鐘を感じることも出来て、好きな映画となりました。

これを機に、過去の「ジブリ物」を観てみようと思いましたです(^^♪。食わず嫌い返上すんでね(上越弁でしめくくり、と)。




ひきばっち的満足度★★★☆





「ソルト」

2010-08-20 20:21:44 | Weblog
                              「ソルト」
J-MAX上越にて。
監督・フィリップ・ノイス
脚本・カート・ウィマー
音楽・ジェームズ・ニュートン・ハワード

ひっさしぶりに、劇場で見て参りました^^。

郷里に唯一あるシネコンで、スクリーンがあまり大きくないのがちょっと残念でしたが、
この夏、アンジェリーナ・ジョリーが仕掛けるというキャッチコピー通りに、仕掛けられちゃいました^^!

以前から常々、「女性主演のかっこいいアクション映画(洋画、邦画問わず)をみてみたいな~・・。」と思っていたので(あったのかもしれませんが、スルーしてしまったようです(TT))、この「ソルト」はとても楽しみにしておりました。

「My name is Evelyn Salt.」このセリフからアンジーの逃走&アクションが始まりますな!

ストーリーは、書いていると自分でも訳が解らなくなるので、とりあえず映画を観てください(なんじゃそりゃ!?)

CIAの秘密工作員であるエヴリン・ソルト(アンジェリーナ・ジョリー)は、かつて北朝鮮の軍部に捉えられ、危ういところで九死に一生を得た過去があるのですな・・。

アメリカ副大統領の葬儀の前日、CIA329分署に、いかにも胡散臭そうなオッサンがやってきて、「ロシアよりの亡命」ということで取調べが行われますが・・・。

いや、難しいことはさておき、アンジーカッコいいっス!^^

監視カメラを下着で封じちゃうのは、SO COOL!
しかし、トラックやトレーラーの上に飛び移り、オートバイまで乗りこなす彼女は「私は誰かにはめられているの!!」と言って逃げ去るのですな・・。観ているこちらも考えが錯綜してきます・・。いったい彼女は何者なのか・・!そして彼女が愛する夫は何処へ・・!?

アメリカ副大統領の葬儀に参加しているロシア大統領をソルトは計画通り暗殺しますな。
「な~んだ、やっぱりアンジー、ロシア過激派のスパイじゃ~ん」
と、それでは身もふたも蓋もない訳でして、
CIAのピーボディ(キウェテル・イジョフォー)いわく「あの時、俺たちを撃てたはずなのに、なぜ撃たなかったんだ・・!?」
そう、ソルトはロシア大統領を倒したあと、両手を挙げ、投降してきたのであります。

このあたりから、ストーリーが重苦しくなりそうでいやだな~・・という心配も束の間、
黒髪のアンジーが護送途中から反乱を起こしてくれます^^!カッコいいっす!
私、ポッキーを手に持ったまま、呆然と見惚れてしまいました(笑)

そこからもストーリーが二転、三転してゆきます。
そして、全てが明らかになり、最後に用意された「ある男」との大統領司令室でのまさに血みどろの対決があります!

最後の対決のシーンでのアンジーは、髪をバッサリ短くして、「ある男」と戦います。
She IS cool!

オーラスでポトマック河に飛び降りたソルトが岸辺に上がって走り出してEND・・・。
これは続編の予感ありですな・・・^^。




ひきばっち的満足度★★★★☆










「インセプション」

2010-07-28 19:51:35 | Weblog
                           「インセプション」
ユナイテッドシネマ豊島園にて。
監督・脚本・クリストファー・ノーラン

久しぶりに映画館へ行って参りました。
平日だったのでお客さんはまばら・・。しかし左のほうに携帯を光らせている年配のご夫婦がいらっしゃいまして、「さすがに始まったら切るだろうな~・・」と、思っていたのですが・・(汗)。

本作のあらすじは~、え~、夢のまた夢、そのまた夢の中で繰り広げられるアクションで、一見荒唐無稽なようで実は結構計算されているという「夢を操作する犯罪サスペンス」とでも申しましょうか・・。

レオナルド・ディカプリオ演ずる主人公コブは、他人の夢の中に入り込んで「情報」を盗むことで生業をたてておるのですな。
この「夢に入り込んで情報を盗む、或いは操作する」ことは、犯罪なのですな。

コブは過去の犯罪歴のために、アメリカへは帰れず、最愛の妻・モル(マリオン・コティヤール)や二人の子供とも二度と会えないっちゅう状況なんですな・・。

そんな時現れたのがこの「情報(感情?)植え付け」の依頼人であり国際的な大企業のトップ、サイトー(渡辺 謙)であります・・。
依頼内容は、競争関係にある大企業トップの夢に入り込み、自らの意思で企業解体へもっていかせるような「情報(感情)を植え付ける」こと・・。
この極めて難度の高い仕事「インセプション」と引き換えにサイトーが約束したのは・・コブの犯罪歴の抹消、つまり祖国アメリカへの切符なんですな。

この作品は、夢の中でさらに夢をみてさらに・・という具合にストーリーが二重、三重・・となってゆくので、途中まで正直???みたいな感じでした。
CG(VFX?)が凄いのには目が点になっちゃいましたが・・!

そこにさらにコブとモルの内輪話が入り込んできて、「実はオレとモルは・・」って過去を振り返ってる場合じゃないでしょ!爆発しとるがな!みたいな・・(苦笑)。

そこへ前述のお客さんが携帯で何と話し始めて「今、映画みてるの!」って・・(T_T)。
通話だけは止めて欲しかったっす・・。

スクリーンでは、凄まじい銃撃戦やカーチェイスが繰り広げられるのですが、「ってこれ、夢だもんね・・。」という気分になると、何だかいま一つ乗れなかったりはしましたが・・。

ワゴン車(バン?)が橋から落ち始めてからは、結構緊迫感ありましたな。
無重力の中で冷静に粛々と任務を遂行するアーサー(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)はCOOLでしたな。

そして、キック!・・へ~、な~るほど、そこへ終結して・・・そしてオーラスにもう一味と・・!ほ~・・なーるほど・・!

なんだかキツネにつままれたような不思議な気分の映画でした。
知能犯が成功してエンディングというのは、「スティング」的で個人的には好きですな(^^♪。
天性の素質を買われてコブの右腕となるアリアドネ(エレン・ペイジ)。マリオン演ずるモルに比べると身長も低いしセクシー系ではない・・。

しかし彼女の少しいたずらっぽい笑顔と、機知に富んだ行動は本作の大きな魅力の一つではないでしょうか(^^♪。




ひきばっち的満足度★★★★










「必死剣 鳥刺し」

2010-07-12 19:10:48 | Weblog
                               「必死剣 鳥刺し」
ユナイテッドシネマ豊島園にて。
原作・藤沢周平
監督・平山秀幸

わたしも歳なのでしょう。こういう作品を観るといいな~・・!としみじみ思うようになりました。

本作は藤沢周平原作の短編の一つです。「武士の一分」「隠し剣 鬼の爪」などのこれまでの藤沢作品と同じく、東北にある“海坂藩”が舞台となっています。

あらすじ的には・・海坂藩のいわゆる殿様である右京太夫(村上淳)が、側室である連子(関めぐみ)に骨抜きにされまして、藩の政事、財政などは実質上この連子様の言うがまま・・・勤勉に仕事をこなしている何の罪も無い勘定方になんくせをつけ、切腹を命じたり、民百姓からの年貢を吊り上げて自らの目的に使い、逆らう農民を打ち首に処すなど・・天下のご政道はこの連子様のおかげで荒む一方でした・・。

右京太夫とは「別家」の立場にある帯屋隼人正(吉川晃司)は農民の藁にもすがる思いを聞き、右京太夫直々にご政道を正すべく参ずるも、何と右京太夫のすぐ横には連子が不敵な笑みを浮かべていました・・。

右京太夫の側近の一人である兼見三左ェ門(豊川悦司)はそういう事態を静かに、しかし憂いて見ていました・・。
そして、ある日、お能の舞台が終わり、廊下を引き揚げる連子様を、三左ェ門は刺殺します・・

前の歳に、妻・睦江(戸田菜穂)を病で亡くし、生きる意味を失った三左ェ門にとっては、連子刺殺は打ち首覚悟の最期のお務めのつもりでした・・。

しかし、中老・津田民部(岸辺一徳)が読み上げた殿よりの御沙汰は、少しの禄減らしと、自宅での閉門蟄居という、いたって軽いものだったのです・・。

そして閉門蟄居が明けた三左ェ門は、なんと殿のたっての命により、近習頭取に召し上げられたのです・・。

とある夜、三左ェ門は津田民部の屋敷に招かれ、「そなたの“天心独名流”の腕前で殿をお守りするのだ・・。」
そう、三左ェ門は“天心独名流”のきっての使い手であり、「鳥刺し」という彼にしか出来ない技の持ち主なのでした・・。

まあ、ここまでで、あとは是非観て欲しいです(^^♪。
亡くなった睦江の妹で、三左ェ門を支え、思慕の思いを寄せる理尾役を、池脇千鶴が好演しています!私は彼女の他の出演作は「ジョゼと虎と魚たち」しか知らないんですけれど、好きな女優さんです~(^^♪。


本作は、オープニングから途中までは、「画面の感じ」が「あ~、東映だな~・・。」とでも申しましょうか、TVの時代劇の雰囲気がそこはかとなく漂っていて、「う~ん、いまひとつなのかな~・・。」と、心配になっていました・・。

しかし、農民の一揆を、別家・隼人正が止めに入るシーンあたりから、ビリビリして来ました!私は吉川晃司の隼人正役、イメージに合っていたと思います(^^♪。

三左ェ門と理尾が結ばれるシーンは、正直のところ、「えっ?こうなるの??」と思いましたが・・・。

隼人正と三左ェ門との一騎打ちからラストまで、シビレました・・!
決してスマートな殺陣ではありません。まさに“斬り合い”です。でも、だから、凄いんです・・。
映画を観て 鳥肌が立ったのは久しぶりです・・!



ひきばっち的満足度★★★★★ 5/5






「ロストクライムー閃光ー」

2010-07-10 18:25:49 | Weblog
                            「ロストクライムー閃光ー」
角川シネマ新宿にて。
原作・永瀬隼介「閃光」
脚本・長坂秀佳・伊藤俊也
監督・伊藤俊也

1968年12月10日に起きたかの有名な「三億円事件」(未解決)の謎に踏み込んだ「クライム・サスペンス」と言ったらいいのだろうか・・。

私が物心ついた頃にはすでに「超有名な過去の事件」になっていた「三億円強奪事件」・・。
子供心に、新たに起きた事件(といっても子供の知る範囲ですが)は次々と解決してゆくのに、なんであの「三億円事件」って、犯人が解らないんだろうな~??と、この事件に関するTVとかを見ると、子供のくせに何となくケツの座りが悪い感じがしていました。

しかし日本経済の高度成長と共に、小学生になった頃には「あれはもう解決しない事件」という認識が自分の中に出来上がっておりました。
以後、諸説紛々あったのでしょうが、大人になり、あの事件は「時効」となります・・。
日常の所持万端に忙殺される自分がこの事件に再び関心を持つきっかけとなったのが、2006年に公開された映画「初恋」(主演・宮崎あおい)です。

この「初恋」では、三億円強奪の白バイに乗った実行犯を宮崎あおいさんが演ずるという「ええっ!そうきたか・・!!」的な、「思い切った発想の転換」と「ほのかなラブ・ストーリー」、ラーメンに例えれば、「ダシ」「返し」が絶妙のバランスで(笑)混ざり合ったという感じでした(どんな感じや(笑)!

                              『初恋』

え~、思い切り引っ張って、本作「ロストクライムー閃光ー」なのですが、単純に「映画としての面白さ」で言えば「初恋」にはかなわないと、私は思います。

しかし、作品を作るスタンスが本作と「初恋」では微妙に(というかかなり?)違っていると、思うわけです。
本作は“くくり”としては「クライム・サスペンス」に入るのでしょうか。

確かに、ストーリー随所で見られる拳銃による殺人シーンなどや、不必要とも思える濃厚なベッドシーンなどは「エンタメ」的要素充分でしょう。

しかし、伊藤監督(ひいては原作者の永瀬さん)以下この作品のスタッフ、キャストの皆さんの、「これだけは・・!」というような執念のようなものを私はこの映画から感じるのです。

作品がミステリーの要素もあり、これからご覧になられる方もいらっしゃるかと思いますので、ストーリーにはあまり触れませんが、
武田真治演ずる宮本の子供の頃の出来事や、夏八木勲演ずる緒方耕三の苦しみ、
かたせ梨乃演ずる「真山恭子」の存在。

滝口(奥田瑛二)と片桐(渡辺大)が命懸けで開けようとした真実の蓋
捜査一係管理官・藤原(矢島健一)が滝口に言い放った「その名前は劇薬です。」という言葉・・。

確かに「映画の出来」或いは「作品の造り」という面から見ると、拳銃で撃たれるシーンひとつとっても、「これ火サス?土サス??」みたいな感じで、先に書きました“ベッド・シーン”も「え~っ!今どきこれはないだろう!?(T_T)」といった、突っ込みどころが随所にあります。

そうなのですが、『花いちもんめ』で千秋実を得て、アルツハイマー患者と、それを看護する家族の問題を20年以上も前に描き、『プライドー運命の瞬間ー』では津川雅彦を主役に東京裁判における東条英機を描き賛否両論の渦を巻き起こした「伊藤俊也監督」の作品であるが故、“ただでは、すまんぞ”なのだろうなぁ、という気がしています・・。



ひきばっち的満足度★★★☆



「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」

2010-07-05 12:02:46 | Weblog
                       「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」
新宿ピカデリーにて。
監督・脚本・大森立嗣

「私たちの望むものは」
  私たちの望むものは 生きる苦しみではなく
  私たちの望むものは 生きる喜びなのだ
エンディングでを吐き捨てたカヨ(安藤サクラ)のアップにこの歌がかぶる。
映画に感動したのか、この歌の登場に感動したのかは判らないが涙が出た。

松田翔太高良健吾もよかったが、私的にはカヨちゃんを演じた安藤サクラがイイのだ!
「俺たちに明日はないッス」に出ていたのは「あ~!あの子!?」という感じで憶えているが、「愛のむき出し」は未見なのでDVDを借りなくては。
と言っても、彼女はこの映画の設定にもあるように、それほど“カワイイ”訳ではない(本作のカヨちゃんは、ブスで、バカで、脇ガであるという設定がなされている)。

彼女の演じる“カヨちゃん”のようなキャラクターは、今まで私が見たことのある映画、TVドラマ等を思い返しても、見当たらないかもしれない。(「スローなブギにしてくれ」で竹田かほりが演じたキャラクターは知識はないが竹田かほり自身が美形だった。)
それほど“カヨちゃん”というキャラクターが立って“活きて”いるのだ

ケンタ(松田翔太)とジュン(高良健吾)は同じ施設で育った。親がいないのだ。
ケンタには兄がいるが、問題を起こし、網走刑務所に入っている・・。

中卒のケンタとジュンは「電動ブレーカー」でコンクリートの壁を壊す毎日・・。。ジュンの指先は毎日の電動ブレーカーの職業病で、緊張すると血流が滞り、真っ白になってしまう・・。

ケンタは同じ職場の先輩である裕也(新井浩文)から陰湿なイジメを受けていた・・。その上、「兄が起こした問題の慰謝料」と銘打って毎月5~6万裕也にたかられている状況であった・・。

ジュンは言う。世の中には、自分の人生を自分で選べる人と選べない人がいる・・。ボクたちは選べない人だね・・。

ある夜、ナンパに出かけたケンタとジュンは、一人の女の子と知り合う。カヨちゃんである。

ジュンとセックスするカヨちゃんの顔が映し出され、彼女の心の声が聴こえる・・・私は誰とでもセックスをする・・自分が可愛くないのを知ってるから・・抱かれている時が一番落ち着く・・愛されたい・・愛されたい・・

すごいセリフだなと思った。男の人(大森監督)が書いたセリフとは思えない。参りましたという感じだったm(__)m

この後、職場の事務所をぶち壊し、裕也の車をハンマーでぶち壊したケンタとジュンは、“すべてをぶち壊した先に何かがある・・・”、カヨちゃんと3人で、兄のいる網走を目指すのだった・・!


私には両親がおりました(というかまだ存命しておりますが)。幼い頃は間借りでしたが、とりあえず帰る家はあった訳です。
1960年代中盤に生を受けた私は、とりあえず“ひもじい”という思いをした記憶はありません。なんらかでも取りあえず食べるものはありました。

なので、この映画のケンタとジュン、そしてカヨちゃんの「全てをぶち壊した先に何かがあるはずだ」という思いは、本当のところ私は「想いをめぐらす」ことしかできません。

しかし、多部未華子演ずるゆみかの「将来の夢」を聞かされて、茫然となっているジュンの表情にはせつないほどに魂を揺さぶられました・・。

ラスト、車から道に落とされて、うずくまるカヨちゃん・・。
少しずつ起き上がった時の表情は、それまでの彼女のものではありませんでした・・
この時の安藤サクラの、何かはりつめていた糸がプツンときれたような表情が、まっすぐに空を見る目線が、私の心に残りました・・。

私たちの望むものは 社会のための私ではなく
私たちの望むものは 私たちのための社会なのだ・・

私たちの望むものは あなたと生きることではなく
私たちの望むものは あなたを殺すことなのだ・・。この岡林信康の曲の発売が1970年ですから、リアルタイムで知っているはずもなく、20才を越えた頃に初めて聴いた覚えがあります。
本作では阿部芙蓉美さんが歌っておられるのですが、エンディングに流れるとやはり感無量で胸が詰まりました・・。

今ある不幸にとどまってはならない
まだ見ぬ幸せに今跳び立つのだ・・。



ひきばっち的満足度★★★★









「ザ・ウォーカー」

2010-06-30 20:21:46 | Weblog
                              「ザ・ウォーカー」
ユナイテッドシネマ豊島園にて。
監督・アレン&アルバート・ヒューズ

その名の通り、「歩く」映画でしたな(^^♪。
歩くといっても「夜のピクニック」は一晩だけでしたが(笑)こちらは何と30年以上歩き続けている男“ウォーカー”(デンゼル・ワシントン)が主人公です。

戦争で全世界が滅亡し、僅か残った人々が散在するアメリカを、その“ウォーカー”は、1冊の「本」を持ち、ひたすら「西へ、西へ・・・」歩き続けるのであります・・。

ということは、その“ウォーカー”は元はすいぶん東に住んでいたんでしょうな(苦笑)。
まぁ、それはいいとして(^^♪、

本作でまず、いいな~と感じたのが、映像の色調なのですが、ストーリー全般を通して、「カラーなんだけども何となくセピア色がかった色調」なのですよ。
この、独特の色調が、「最終戦争で全世界が滅亡した後」という設定に「それっぽさ」を与えていると感じましたな。

“ウォーカー”とくもすけ(って今時言わないか、しかもアメリカだもんね(苦笑)たちとのバトルは、「これ絶対日本の時代劇の殺陣だよ!」って思わず叫びそうになっちゃいました!カッコよかったなぁ・・。「寄らば斬る!」の世界でした。

独裁者カーネギー(ゲイリー・オールドマン)が仕切る街での銃撃戦は西部劇さながらでしたが、何と言ってもマーサおばあちゃん(フランシス・デ・ラ・トゥーア)とジョージおじいちゃん(マイケル・ガンボン)の家での顛末は思いもかけず笑わせていただきました(^^♪。

ソラーラ役のミラ・クニス、素敵な女優さんですね。サングラスが良く似合います。
盲目のクローディア役のジェニファー・ビールス、私にとっては久しぶりでした。

その“ウォーカー”の持っている1冊の本をめぐって争いが起きてゆき、ついにはその「聖書」はカーネギーの手に渡ってしまうのですが・・。

この作品は、キリスト教圏(というかキリスト教徒)の方たちが観ると、そうでない私などには解らない深い感動があるのでは・・と思いました。

そういった意味深長な面を持ち合わせているので、銃撃戦やサーベルでの殺陣はありますが、いわゆる「アクション大作」にはなっていないし、作り手の狙いもアクションにフォーカスを合わせている訳ではないと、私は思いました。
しかしデンゼル・ワシントンの殺陣はカッコよかったです(^^♪。



ひきばっち的満足度★★★☆




「告白」

2010-06-29 08:29:39 | Weblog
                                 「告白」
ユナイテッドシネマ豊島園にて。
原作・湊かなえ
監督・中島哲也

かなり物議をかもしている本作をやっと観て参りました。

私は「原作既読」だと、ダメなのかもしれません(T_T)。本作も原作は読んだことがありました。
「原作既読」で“ダメ”と、大雑把な表現をしたのは、以前公開された「ゼロの焦点」の時は、原作を何度も読んだことがあったので、映画と原作の「ズレ」が気になってしまい、個人的に“ダメ”だった訳ですが・・。

本作ではどちらかといえば逆でした。
原作の感覚が見事にスクリーンで蘇り(それ以上かも)ました。

「ルナシー」に影響されている女子生徒と少年Aとのくだりは、かなり前に読んだことと、原作を人にあげてしまったので、正確に確認は出来ませんが、
その他のエピソードはほぼ原作のイメージ通りに出来ていたのではないでしょうか。

かなり前、「告白」が映画化されると聴いて「えっ!・・。」言葉を失いました。
この小説を映画にしてしまうのか・・・。ゾッとするとはあんな感じでしょうか・・。

原作を読み終えた時点で、よもやこの小説を映像化するなど考えも及びませんでしたので、驚きとともに、どうアレンジするのだろう・・・と、想像もつかなかったくらいです。
たしかに原作は、本をあまり読まない私ですらグイグイ引き込まれる小説でした。
それだけに、「映像化」は・・・ええっ!マジで!?って感じでしたよ。

「嫌われ松子の一生」「下妻物語」の中島監督だから、もしかしたら思いっきしコメディにするとか・・・。あらぬ期待をしてしまいましたが、
ほぼ原作のイメージを忠実に・・・でしたね。



ひきばっち的満足度★★☆




「Flowersーフラワーズー」

2010-06-23 17:50:43 | Weblog
                            「Flowersーフラワーズー」
ユナイテッドシネマ豊島園にて。
企画・製作総指揮・大貫卓也
監督・小泉徳宏

蒼井優、竹内結子、田中麗奈、仲間由紀恵、鈴木京香、広末涼子、という日本を代表する(?)6人の女優さんが織成す“命”の系譜・・。

ネタバレありますのでご注意を・・。
冒頭、白黒の画面に、蒼井優さん演ずるが登場します・・。昭和11年の桜の季節です。
この「凛さん」からの命の系譜を、時代が行きつ戻りつしながら辿ってゆく、そんな作品でした。

この映画は、企画・製作総指揮の大貫卓也さんが「日本の女性のために」作られた作品だということで、確かに、男の私が観るのでは、おそらく女性の方がご覧になって感じるニュアンスの半分もワカラナイのだろうなぁ、と思いました・・。

劇中では、凛さんのエピソードの次にいきなり平成21年の(鈴木京香)と(広末涼子)の姉妹の時代にお話が飛ぶのですが・・。

奏がとった田舎の父(平田満)からの電話は・・おばあちゃんが、いよいよいけないみたいだ・・。

この辺りで、もしかすると、おばあちゃんというのは、「凛さん」なのでは・・という予想はついてきますが・・。

エンドロールの「写真」を見て、ようやく合点がいったので、一人で頷いてしまいましたが(しかし、パーマネントを当てた姿で3人の娘と写真に写っている蒼井優さんは、見事に“昭和の母親”のオーラを放っていました!)、凛さんの娘は三人でしたね。事故で夫(大沢たかお)を亡くした悲しみから、少しずつ立ち直ってゆく長女・を演じたのは竹内結子さん。

勝気でいわゆる“ウーマン・リブ”の走り、でもその実はたおやかな女心を持つ次女・を演じたのは田中麗奈さん。

そして奏と佳の母親であり、佳を産んだときに亡くなってしまう三女・を演じたのは仲間由紀恵さんでした・・。このエピソードは私もしんみりしてしまいました・・。

この映画の見所の一つとして、「それぞれの時代に使われていた画面の色彩や音響、髪型やファッションなど」があります。凛さんの登場シーンはモノクロの画面にモノラルの音声。題字「Flowers」の出し方も、何となくその時代を感じさせてくれます。

薫や翠が登場する昭和30年代後半~40年代中盤は、「黄色」が際立つ独特の映像で、私も懐かしさを感じてしまいました。何なんでしょうかね。使っているフィルムのメーカーとかの違いなんですかね。総天然色って感じですね(笑)。翠がうさ晴らしに行くのは<トリスバー「裏窓」>(笑)。飲んでいるのは近頃あまり飲む機会がなくなった「水割り」「ハイボール」!

昭和52年に登場する慧の着ているセーターの柄が何とも懐かしさを覚えます。映像の色は温かみがありますね。岩崎宏美懐かしいっす(^^♪!

そして奏と佳が登場する平成21年はどうなんでしょう??。今っぽいですね(当たり前だ(笑)。映画にもよるんでしょうけれども。音楽はいきなりジャズが流れていました。

そんな楽しみ方をした私でしたが、エンドロールが終わり明るくなると、ハンカチで涙を押さえる女性がたくさんいらっしゃって、やはり、そうなのだろう(なにがそうなのだ!)なぁ・・と、思う次第でした・・。



ひきばっち的満足度★★★



「アウトレイジ」

2010-06-19 13:42:18 | Weblog
                               「アウトレイジ」
ユナイテッドシネマ豊島園にて。
監督・北野武
音楽・鈴木慶一

OUTRAGE=非道<無法、乱暴>、憤慨させる、法を犯す・・・。
まぁ、そんな感じの映画でしたね(笑)

しかし、こういう教育上よろしくないバイオレンス・ムービーなんですが、正直なところ、私すごく楽しんで観てしまいました!!

元々ハード・ボイルド系(?)は大好きなので(この作品がハード・ボイルドか否かという話は置いておいて)、冒頭のシーンからビリビリ来てしまいました・・・!

オープニングから黒いネクタイの男、男、男・・・まぁよくこれだけコワそうな若い衆を集めたものだ・・と感心してしまいました!

物語りとしては非常にオーソドックスというか、「暴力団の内部抗争」を骨子にストーリーが進んでゆくのですが、その面々を見てみると、
北村総一郎、三浦友和、國村隼、杉本哲太、ビートたけし、椎名桔平、加瀬亮、石橋蓮司、中野英雄、塚本高史・・。
これだけのツワモノたちが一堂に会して抗争を始めるのですから、難しい芸術論はさておき
、私にとっては面白くないわけがない!

なかでも、山王会大友組組員・石原を演じた加瀬亮の“カミソリ”のようなカッコよさには男ながら惚れボレしてしまひました・・!オレも生まれ変わったら加瀬亮になりたい(笑)!

大友組若頭・水野を演じた椎名桔平もカッコイイっす!不敵な笑みがたまらないっす。
ラーメン屋に入っていくシーンがあるのですが、桔平さん怖いから!

ストーリーにコミカルな味わいを与えているのが山王会村瀬組組長・村瀬を演じた石橋蓮司さんでございます(^^♪
蓮司さんはスゴい役者さんですな。普通にしていると充分コワい(失礼)のに、困惑している演技をするとなにかとてもユーモラスで、この作品の緩衝剤の役割を果たしているのですよ。
しかし石橋蓮司さんを見ると、どうしても“おかまの文ちゃん”「今度は愛妻家」より)を思い浮かべてしまうのは私だけでせうか??

山王会池本組若頭・小沢を演じた杉本哲太さんは貫禄、威圧感、そして頭のキレ、全てを表現して見事でした。以前から(「おくりびと」よりもっと前からかなぁ)しっかりした演技をする、わたしのとっても好きな俳優さんです。

大友組組長・大友(ビートたけし)に小判鮫のように取り付き、裏で金をもらっている悪徳刑事・片岡を演じた小日向文世さんも、彼独特の粘着質的で軽薄な笑顔(ホメているんですよ!)と、その裏に見え隠れする凶暴な顔を演じ分けて小気味良かったです!小日向さんは演ずる役の振り幅がとても広いですね~。
私が憶えているだけでも、「7月24日通りのクリスマス」では優しい喫茶店のマスター(中谷美紀演ずる主人公のお父さん役でした)を、周防監督の「それでもボクはやってない」では主人公(加瀬亮)側の発言をにべも無く却下する事務的で体制的な裁判官を。そして今年公開された山田洋次監督の「おとうと」では人間味溢れるホスピスの館長を・・そして今回は悪徳刑事・・・改めてスゴい俳優さんだと思いました。

さて、肝心の本作については・・まぁ、暴力団の間でちょっとしたことで内輪もめが始まり、最初は若い組員の指で済ます予定が、実はトップの方は傘下の弱小組同士を戦わせて“潰し合い”させような~んて魂胆で、しかし、さらにその上には“下克上”を企む奴らが・・・。

といったような感じで、私としては、ストーリー云々よりも、これだけの男たちがしのぎを削って闘い、撃ち合う姿に“ハード・ボイルド”を感じ、単純に「男臭さに酔いしれ」たのでした・・。

特筆すべき点としては、音楽(鈴木慶一)が、必要最小限にだけ使われているというのが、私的には非常に好ましく感じました。
またその「ここぞっ!」という時に流れる音楽が「ハード・ボイルド」なのですよ・・!

まぁ、内容は残虐なシーンが多いですから、R15+が当然だと思います。R18+でもいいくらいだと思います。「大人が観る」映画でしょうな・・。

そして、映像的には「キタノ・ブルー」が何故か心地よく、この作品に合っていたのでは、と、私は思いました・・。



ひきばっち的満足度★★★☆