ヒッキーはつむじ風!!

ヒッキーが観て気に入った映画を、ブログで紹介します。

「リダクテッド」-真実の価値ー

2009-06-08 12:34:34 | Weblog
                      「リダクテッド」-真実の価値ー

redactを辞書で調べると、「編集する」という動詞であることが判ります。

redacted=編集された、編集済みの~という形容詞的使い方になります。

戦争は恐ろしい。でも本当に恐ろしいのは、そこで行われた真実がredactされてしまうことなんですね。

都合の悪い情報や文書が削除あるいは捏造されて世界に知れ渡る。これほど怖いことはありません。

この映画はドキュメンタリーではありません。
しかし、作品の本題になっている米兵のイラク女性レイプ及び殺害事件は事実に基づいて作られています。

劇中では、自爆テロや狙撃の危険にさらされながら緊張のなかの退屈にむしばまれ、常軌を逸してゆく米兵と、それを止めようと必死になる仲間がまるでドキュメンタリーのように描かれてゆきます。

検問所を強引に通過しようとするイラク人の車にめがけて、フレークという米兵が機関銃を叩き込みます。
中から出てきたのは血だらけの妊婦と付き添いの家族でした。
妊婦が産気づいたので、急いで病院に運ぶところで機関銃を撃ち込まれたのです。

妊婦とお腹の赤ちゃんは病院に着きましたが手遅れでした。

機関銃を打ち込んだフレークはその夜、「人を殺すともっと動揺するかと思ったが、魚を殺した程度だ」と言い放ちます。

結局このフレークと、相棒のラッシュという米兵2人がイラク人宅に押し入り、15才の少女をレイプしてそこにいた一家全員を射殺したのです。

2人を最後まで止めようとしたマッコイという米兵は、後に軍の上層部に真実を話すのですが、軍側の聞き手の方が「君は実際家の中に入って見てはいないんだろう!?」と、まさにredactしてくるのでした・・。

情報操作の恐ろしさを垣間見ました。
我々にできることは、今、眼前にある情報に対して、常に幾分かの“懐疑”の気持ちを持って接することではないでしょうか・・。

監督・脚本 ブライアン・デ・パルマ