高野山の宝亀院所蔵の空海書「座右銘(ざうめい)」だた。宝亀院の巻頭、「無道人之短。無説己之長」-人の短を道(い)う無かれ。己の長をとくことなかれ-で
五行10字、左右106cmの大幅で、この二字でA4判一杯ある。「座右銘」が奔放な大字の草書でかかれているのは、雀瑗が草書の名手だったから、
弘法大師もその向こうを張って草書の真髄を示そうとしたのだ。
この書の驚きは、何といってもその書のどの部分を取ってみても、線が生き、動いている事で、墨の線が動き、走り,飛び、跳ね続け、そしてなお一毫たりと紙に食らいついていない線がないことだ。
「座右銘」は大師が五十歳頃の作品と考えられるから、大師がはしっとこの従(じゅう)連枝(れんし)に筆を落としてざっと1193年、この線はその躍動を止めようとしない。こんなことがあるのだろうか
だが空海は。「芸術」という言葉も無い千二百年も前の時代に、永遠に生き続ける線の芸術を完成していたのである。
大師は天才、大師は天才的芸術家、そう誇りを持って断言したい。世界の誰一人、このような線は引けていないのだから。
引用「座右銘」飯島太千雄(書道家)真言宗智山派「いきる力」より
※筆の流れ、崩し、力の入れ具合、上記文章を熟読くだされ!!
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます