ボクのなまえはチャイ。ママもちぃママも、そう呼んでるよ。チャイのくにから来たからチャイなんだって。でも、ボクは静岡うまれなんだけどなぁ。ボクたち文鳥の原産地が熱帯地方で、どうやらチャイのくにもその一つだからという理由らしい。
このウチへボクが来たのは昨日の そのまえの、 もう少し前の……。あれぇ、何時だったかなぁ 忘れちゃったぁ。いま、ちぃママからプラスチックのスポイトで粟玉の御飯を食べさせてもらったところだよ。これは離乳食みたいなので、水分と栄養がたっぷり入ってるんだって。おなかが一杯になったら、眠くなっちゃったぁ。今度はママがボクを木箱にそっと入れてくれたよ。チップとティッシュに埋もれて、あったかぁい ウトウト、スースー ほんとにねむっちゃったぁ
ボクを見て、背中が青くて黒っぽい小鳥たちが太い幹のあちこちで、ピイチクパァチクさえずっている。ボクとおなじスズメの仲間だから、つい群れてしまうんだろうなぁ。
真っ赤な羽の鳥がボクを飛び越すとき教えてくれた。ツバメだよって。ボクもお喋りしたくなってフラフラ近寄って行く。そしたら、みんなが言っていた。瘦せっぽちで、なんて見すぼらしいんだって。とたんに、ボクのハートは粉々さ。バカにされた気持ちになって、ボクはスゴスゴ引き返した。惨めだなぁ 心が冷たくて、寒いなぁ。ボクはしょんぼりしていた。
突然、ママのおっきな声がした。あれっ、どうしたんだろ おかげで、ボクはすっかり目がさめちゃったよ。何ごとかと思って、ボクが弾みをつけて木箱のふちへ飛びあがった。ハァハァハァ なんか、へんだ。いつの間にか、ふたがあいていた。
「変だよ。やっぱ、チャイ、おかしいよ」
携帯電話もって、ママが叫んでいる。箱のふちからカーペットに飛び降りたら、ボクは動けなくなってしまった。うずくまったボクをママがそっと抱きあげ、しずんだ声で話しかける。
「あんた、手足がつめたいねぇ」
ボクは目をとじている。体中が苦しかった。だるくて、何もしたくない。近くのタオルを取って、ママがボクを包んでくれた。それから下におろして、ささやく。
「いま、湯たんぽのお湯、かえるからね」
ママが立ちあがったので、ボクもタオルから抜け出した。そして、テレビの下へよたよた寄って行く。テレビ台の下は暗いんだ。明るいのが苦痛だったから、ボクは這いながらテレビの下へ潜り込んだ。
つづく
このウチへボクが来たのは昨日の そのまえの、 もう少し前の……。あれぇ、何時だったかなぁ 忘れちゃったぁ。いま、ちぃママからプラスチックのスポイトで粟玉の御飯を食べさせてもらったところだよ。これは離乳食みたいなので、水分と栄養がたっぷり入ってるんだって。おなかが一杯になったら、眠くなっちゃったぁ。今度はママがボクを木箱にそっと入れてくれたよ。チップとティッシュに埋もれて、あったかぁい ウトウト、スースー ほんとにねむっちゃったぁ
ボクを見て、背中が青くて黒っぽい小鳥たちが太い幹のあちこちで、ピイチクパァチクさえずっている。ボクとおなじスズメの仲間だから、つい群れてしまうんだろうなぁ。
真っ赤な羽の鳥がボクを飛び越すとき教えてくれた。ツバメだよって。ボクもお喋りしたくなってフラフラ近寄って行く。そしたら、みんなが言っていた。瘦せっぽちで、なんて見すぼらしいんだって。とたんに、ボクのハートは粉々さ。バカにされた気持ちになって、ボクはスゴスゴ引き返した。惨めだなぁ 心が冷たくて、寒いなぁ。ボクはしょんぼりしていた。
突然、ママのおっきな声がした。あれっ、どうしたんだろ おかげで、ボクはすっかり目がさめちゃったよ。何ごとかと思って、ボクが弾みをつけて木箱のふちへ飛びあがった。ハァハァハァ なんか、へんだ。いつの間にか、ふたがあいていた。
「変だよ。やっぱ、チャイ、おかしいよ」
携帯電話もって、ママが叫んでいる。箱のふちからカーペットに飛び降りたら、ボクは動けなくなってしまった。うずくまったボクをママがそっと抱きあげ、しずんだ声で話しかける。
「あんた、手足がつめたいねぇ」
ボクは目をとじている。体中が苦しかった。だるくて、何もしたくない。近くのタオルを取って、ママがボクを包んでくれた。それから下におろして、ささやく。
「いま、湯たんぽのお湯、かえるからね」
ママが立ちあがったので、ボクもタオルから抜け出した。そして、テレビの下へよたよた寄って行く。テレビ台の下は暗いんだ。明るいのが苦痛だったから、ボクは這いながらテレビの下へ潜り込んだ。
つづく
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