ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

三本木農業高校、馬術部

2008年11月01日 | 激辛こきおろし篇
同監督の前作品『夕凪の街 桜の国』がなかなかだったので上映最終日にわざわざ映画館に足を運んだのだが、久々に大ハズシを食った1本だ。最近「事実に基づく映画」でロクな作品にめぐりあった試しはなく、コンプライアンスに対する昨今の神経質すぎる風潮が、本来は虚構であるべき映画作品をつまらなくしているような気がしてならない。ちょっとでも事実と異なる“演出”をしようものなら、ネットでたたかれることは必至で、製作側もビクビクしながら映画を撮っているというのが実情ではないだろうか。

しかもこの作品には、盲目の馬の世話をする三本木農業高校のみなさんをはじめ、馬術障害競技の審判員などに、あきらかに素人の地元エキストラがたくさん登場している。“村おこしムービー”へのはりきってのご参加なのだろうが、馴れ合い臭がプンプン漂う作品を見るのに、一般観客が緊張感を2時間保つのはかなり難しいだろう。

子別れの後コスモのために子馬がつけていた鈴を鳴らすシーンにはホロっとさせられるが、最大のみどころである競技会の切り方をみると、おそらく事実は香苗(長渕初音)が「コスモの目」になれなかったことを想像できてしまうのだ。これがハリウッドだったら強引に事実を捻じ曲げて、みんなで大騒ぎして大団円というラストなのだろうが、日本人の奥ゆかしさがにじみ出ている脚本が作品を大いにつまらなくしてしまっているのである。

三本木農業高校、馬術部
監督 佐々部 清(2008年)
〔オススメ度 〕 

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