仕事一筋で家庭を一切かえりみなかった
親父が大嫌いだった俺
その親父への憎しみだけて生きてきた俺が
もっと息子のことを気にかけてやるべきだったのか
この数週間理想の父親を演じ続けた俺のことを
息子は“ASSHOLE”とぬかしやがった
《So what?
お前は俺に自分が完璧な父親だってことを見せつけにきたのか？
Bravo そして 乗り越えろ》
救いを求めてひさびさ訪ねてきた俺に
親父はそう言って俺を再び突き放した
ニコラスが「助けて！」といってすがってきた時
親父のように息子を突き放して
あのまま精神病院に預けておくべきだったのか
息子に憎まれるのが怖くて
中途半端な優しさをみせたのが間違いだったのか
そもそも離婚した時点でこうなることは自明だったのか
わからない わからない 誰か教えてくれ
どうすれば息子を救うことができたのか
《友達なんていない
やりたいことなんてなにもない
なりたいものなんか何もない
ただ生きているのが苦しい
自分を傷つけるとなんだか楽になるんだ》
リストカットをすると脳内麻薬が分泌されるって話
どこかで聞いたことがあったけど
ベスか怖がっていた以上
やめさせないわけにはいかないじゃないか
自分勝手？
自分の幸せを求めて何が悪い
俺には俺の人生があるんだ
MY LIFE
なんて冷たい言葉を息子に
そこにお前の居場所はなかったのに
ああ、俺は親父と同じASSHOLE野郎だ
ニコラス、こんなことになってはじめてお前の気持ちがわかった気がするよ
人生は続くというけれど
こんなにも苦しまなくちゃいけない人生に
生きる意味なんかあるのだろうか？
きっとお前もそう思っていたんだろ？
答えておくれ、息子よ
《お前は俺の誇りだ》
俺の親父にそう言って欲しかった言葉が
お前にはそれが重圧だった
そうだろニコラス
答えておくれ、息子よ
The son/息子
監督 フローリアン・ゼレール(2022年)
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