私は訪問してリハビリを提供する仕事をしています。
昨日はアルツハイマー型認知症を患った高齢の男性のお家に伺いました。
その方は短期記憶が著しく低下しており5分前の事を思い出せません。
奥さんと2人で暮らしています。
訪問すると奥さんが
「主人が散歩に行って、帰ってきたら綺麗な花を持っていたから、人様の花を勝手に摘んできたのかと思い焦りました。」
と言われました。
奥さんは心配して近所の方に聞いて回ったそうです。
結局、その花はそのご夫婦所有の少し離れた土地から採ってきたものだと分かりました。
普段そのようなことをしない方なので、認知症がなければ、ただの良い話ですが、
花をどこで摘んだのか摘んだ事実ごと忘れておられました。
奥さんの介護疲労は相当なものであるのは言うまでもありません。
担当のケアマネジャーも心臓の悪い奥さんを心配してヘルパーの導入を提案されました。
奥さんは半年くらいは、まだ大丈夫だとヘルパー導入を見送られていましたが、
11月から週一回、運動量の多い掃除でのヘルパー導入が決まりました。
昨日、私が冗談で「ヘルパーさんが来るからと家の掃除をしたらダメですよ。」
と奥さんに言うと、奥さんは笑いながら、本当にそんな気分です。と言われていました。
例えば、自宅で雨漏りがしたら、大工さんなどプロの人にお願いして直してもらうのが当たり前です。
しかし、介護になるとプロに任せるのを躊躇する方がかなりおられます。
理由はたくさんあるように思いますが1番の理由は介護は家族で行うものだという固定概念ではないでしょうか。
雨漏りを自分で直すのは無理があるように、
全部の介護を自分で請け負うのは無理があります。
やってあげたい事、できる事と任せる事を分けて考え、介護も当たり前のようにプロに任せる考えがもっと普及する世の中になるようになるべきです。
また、サービス提供者側も安心して任せていただけるようにニーズに合った質の高いサービスを実践してもっと実績を作り拡めていく必要があります。