本日はシャレードの新刊で

早瀬亮さん『お掃除します!愛のレールはどこまでも』
祖父から引き継いだ小さな清掃会社と自宅の往復するばかりの
受様のもとに突如現れたのは、今どきを絵に描いたような大学生。
祖父の意向で彼を家に入れて働かせることになるが?!
今回は父の会社への就職が決まっている大学生と
祖父の起した掃除会社を引継した二代目社長のカップリングで
人に無関心の攻様が受様と出会うことで
回りに対する関心と優しさと恋を手に入れるまでのお話
受様には祖父の病気をきっかけに
小さな会社清掃会社を引継ぎ、
体力的に忙しくても
精神的にはのんびりとした日々を送っていましたが、
ある冬の日、
大企業の会長をしている祖父の友人の頼みで
彼の孫を預かってからはハラハラな日々を送る事に
会長の孫は会長の会社に就職が決まっていて
頭も悪くなく勉強も出来ますが、
人付き合いが全くなっていないらしく、
受様の元で少しこき使って欲しいと言うのです。
そしてやって来た孫は長身で金髪、
シルバーのリングピアスを連ねた軽薄な気配の青年。
彼が今回の攻様です
攻様の父は後継者としての攻様にしか興味がなく、
攻様自身、あんな大人になりたくないとは思っても
彼には他に選ぶ道はなく・・・。
攻様の唯一の救いは祖父だったので
言われるままに受様の会社にやってきますが
そこで出会った受様は
攻様の周りにはいた金に群がるタイプではなくて
勝手が違いすぎる受様に途惑うばかり
ゴミの分別も出来ず、
下着すらクリーニングに出そうとし、
物事や相手の気持ちを何でも金で済まそうとする攻様。
自分自身の行動に疑問を持たない姿に
彼の人としての問題点を知り、それを悲しいと思う受様。
果たして人は短期間で変われるのでしょうか?

そして二人の間に生まれるモノとは
人の成長を促すきっかけは色々有りますが、
本人が変わりたいと思わなければ難しいものです。
本作の攻様も受様の会社に来るまで
父の描いた未来を歩く事しか考えられませんでしたが、
受様と出会った事で他人を信頼する事を覚えます。
終盤近く、
攻様の父が受様の取引相手の会社から横槍を入れ
二人の道は草々に別れることになりますが、
攻様は受様のためばかりではなく
自分の為にも父の元に戻る事を選択します。
そして受様も攻様との出会いにより、
現状を維持するだけではなく
自分の力で新たなレールを延ばす事を誓います。
二人の未来にはまだまだ山有り、谷有りですが、
爽やかな読後感の有るお話でした
早瀬さんは前から気になっていた作家さんですが、
既存の作家さんの本で一杯一杯で
手が出ていなかった作家さんの一人でした
最近やっと中古で安い本を見つけて挑戦したら
とっても良くて慌てて前作も買いました
目を引く出来事より人との出会いで
人が変わって行く様を描くのが上手ですね。
鳩村衣杏さん系かな。
次のお話もとても楽しみです