魂魄の狐神

天道の真髄は如何に?

【2度目の埋め戻しは是だな⁈】

2023-10-29 15:55:37 | 行政は弱い相手を殺すまで追い詰める‼

平成2年の大水害

平成2年7月1日、九州南部に停滞していた梅雨前線が北上して活発化しました。一方、東シナ海の低気圧も北部九州に接近し、熊本県では県北部及び阿蘇地方を中心として、同日の深夜から集中豪雨に見舞われました。この雨は2日の夕方迄降り続きました。7月2日には阿蘇乙姫で448㍉、阿蘇山測候所では338.5㍉(累計4位)の日降水量を記録しました。1時間雨量でみると阿蘇乙姫で7月2日の午前9時に57㍉、10時に67㍉、11時に65㍉と、1時間降水量40㍉以上の豪雨が連続して観測されました。このとき一の宮では1時間雨量が71㍉にも達し、7月1日から2日までの連続雨量も620㍉に達する大雨となりました。
一の宮町(現:阿蘇市一の宮町)が発行した『平成2年7月2日一の宮町大水害の記録』(平成7年3月発行)には次のように書かれています。
「阿蘇地方は6月28日から7月3日にかけての梅雨前線の活発な活動で、記録的な豪雨となり、大きな被害を被ることになった。特に7月2日の午前5時から同8時までの3時間の降水量は、阿蘇乙姫で91ミリを観測した。
2日の大雨は、九州地方が太平洋高気圧の周辺部に当たり、梅雨前線が熊本地方の北部及び阿蘇地方で停滞したこと、これに外輪山の山腹を滑昇する地形効果も加わって起こった。1時間に60㍉前後の激しい雨が数時間も続くという降り方が特徴だった。日降水量は熊本地方の北部から阿蘇地方にかけては230~450㍉となった」
この豪雨によって一の宮町では2日午前9時過ぎに黒川上流の根子岳・高岳の山腹で土石流が発生し、大量の流木とともに下流の坂梨地区などに押し寄せました。この災害によって死者11人、負傷者12人と尊い命が多数失われました。住宅の被害は家屋全壊83棟、半壊61棟、床上浸水157棟、床下浸水は650世帯に及びました。
物的被害は林業関係の約140億円を筆頭に、家屋34億円、公共土木施設29億円、農業関係29億円など総額240億円という額に達しました。この被害額は平成2年度の町予算の約10倍に達します。わずか数時間の雨でこのような大被害が発生したことは、古今未曾有のことでした。

  • 都市的被害・・・国道をはじめ道路や鉄道の冠水・崩壊による交通のマヒが起きた。
  • 土石流災害・・・阿蘇山や東外輪山の山腹の崩壊と土石流による住宅地・耕地の埋没。
  • 流木災害・・・山腹崩壊は流域の林地を巻き込み、流木は古恵川にかかる松原橋の橋げたでせき止められ、たちまち4、5㍍の高さとなりました。このため土石流は橋の東西に流れ出し、国道沿線500㍍にわたって住宅地を襲うことになりました。流木の数は2万本とされ、流木災害の怖さが認識されました。
  • 人的被害・・・水害の発生が午前中で学校の登校後であったため、児童生徒の犠牲者が出なかったことは不幸中の幸いでした。一方、犠牲者は高齢者が多く、今後高齢化社会での災害時対応に大きな問題提起となりました。
    この災害により大きな被害にあった一の宮町は、1日も早い復旧をと当時の市原典太町長を先頭に役場、議会、町民が一丸となって対策にあたりました。特に、生活用水の確保については町の要請により、陸上自衛隊、一の宮警察署、一の宮町消防団が出動し、給水車を使い湧水を水道断水地区に飲料水として配水しました。
    また、町は防災無線で全町民に水の大切さを強く訴え節水を呼びかけるとともに、汚水や汚染による食中毒発生の予防にも努めました。湧水のある阿蘇神社の「神の泉」には、周辺の住民がこの水を汲むためにバケツやポリタンクを手に終日行列を作りました。こうした役場、議会、町民の心を一つにした復旧活動は国、県、防災機関、各種団体などの協力と相まって、予想外に早く進みました。
    一方、熊本県などにより黒川河川激甚災害対策特別緊急事業等が実施されました。黒川の流下能力の増大を図るため河道内の掘削工事、護岸工事、橋の架け替え工事が、また流出抑制対策として遊水池(阿蘇市内牧)、流木対策として多目的貯木池(一の宮町宮地・坂梨)やスリットダムの建設など、治山、治水の復旧工事が進められました。
    災害の後、災害の学術的な調査研究にそれぞれの専門家による現地調査が行われました。特に流木災害が被害を増大させたことから、植林の樹種や場所についての議論が新聞・テレビ等で議論されました。

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿