2020年東京オリンピックの国家事業への変質 - 宇都宮大学 学術情報 ..
「2020 年5 月から同年9 月までの4 カ月間は、2020 年東京オリンピック・パラリンピック大会(東京五輪)の準備
が本格化するまでの過渡期と位置づけられる。ネットワークガバナナンスをめぐる近年の研究におけるキーワードは、
①政策変更、②PPP、③協働ガバナンス、④協働メカニズム、⑤参加型ガバナンス、⑥スペシャリスト・ジェネラ
リスト、の六つである。また、この間の東京大会準備の経緯には、①開催都市である東京都の存在が霞んだこと、②
IOC(会長や調整委員長)による促し・チェック・監視というべき複数の声明や発言が相当な影響力を及ぼしたこ
と、③その背景にはIOCと契約し五輪資金の大口の「出資者」である放映権者やスポンサー企業の存在があること、
④現段階では開催の可否はもちろん、開催する際の運営の中身は打ち出せないという考え方が前提にあったこと、⑤
東京五輪の1 年延期での開催が国家の約束事となったこと、といった特徴がある。さらに、①政策変更において政府
のコロナ対策調整会議は下部組織の内部・外部から揺さぶりを受ける可能性があること、②IOCなど東京五輪関係
組織はコロナ禍という歴史的な難題に直面していること、③コロナ対策が分野や管理の境界を超えた複雑なマネジメ
ント課題の解決に至る可能性があること、④調整会議には官僚的価値と民主的価値との間の緊張緩和が求められるこ
と、⑤中止回避を大前提とした「ウィズコロナ」の東京大会の実現という東京五輪のメタ政策そのものに問題がある
可能性があること、を指摘しした。
中略
第5 に、東京五輪の招致活動開始時から強調された「オールジャパン」の招致体制、開催が決定
したIOC総会での首相による福島第一原発事故をめぐる「アンダーコントロール」発言、新国立
競技場建設の白紙撤回をめぐる政治主導パフォーマンス、リオデジャネイロ五輪閉会式において人
気ゲームキャラクターに扮して登場した首相の政治利用、1 年延期決定の同意取り付けで見せた政
権主導のPRなど、東京五輪は節目において前首相が要所を押さえてきた。加えてコロナ禍が出現
したことで東京五輪開催は国家の約束事に変質したのである。五輪開催の可否やその運営の中身は、
コロナ禍の行方と対策次第となり、国家事業そのものとなってしまった。これまでの準備における
開催を見込んだ関連投資の大きさや中止となった場合の経済的打撃の大きさを理由に、中止回避が
大前提として固定された形での、国家の責任と威信をかけた一大国家事業となったのである。
以下略」
開催都市契約(ホスト・シティー・コントラクト)は、名前の通り国際オリンピック委員会(IOC)と大会開催都市、そして開催地のオリンピック委員会の間で結ばれる契約だ。近年の五輪では透明性の観点から公開されており、東京大会の契約内容も、都庁のサイトなどで容易に見ることができる。組織委員会には、菅義偉はじめ政権与党の政治屋が名を連ねているが、日本国政府自体が契約の当事者では無いのだ。更に。組織委員会がIOCと交わしたのは、解散権には関係ない運営を任ずる付帯契約である。国民は、本来、商業化した五輪の契約を交わわした契約当事者では無いのだ。
.東京五輪の国民1人あたりの負担額「都民10万3929円」「国民1万408円」(マネーポストWEB) - goo ニュース
国家プロジェクト は、 政治 主導・ 行政 主導により、新興分野・新規事業に 投資 (非経済的分野にも)される活動の俗称である。 日本では一般的には、 国会 の予算承認を得た大型プロジェクトに対し使われる呼称である。 国家の繁栄、利潤確保を目的とし、民間では成し得にくい事業を主に取り扱う。☜五輪は国家プロジェクトには馴染まない‼
日本国憲法第八十五条国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。
財政法第4条 国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。
2 前項但書の規定により公債を発行し又は借入金をなす場合においては、その償還の計画を国会に提出しなければならない。
3 第1項に規定する公共事業費の範囲については、毎会計年度、国会の議決を経なければならない。
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