平成元年法律第八十四号
土地基本法
目次
1.所有者の責務及び関係者の役割について
①所有者の責務
○ 土地の特性に鑑み、土地については公共の福祉を優先させるものとされており(土地基本法第2条)、その観点から、土地所有権には利用・管理に係る責務が伴い、土地所有者には土地の適切な利用・管理の実現に一定の役割を果たすことが求められる。
○ 人口減少等に伴う社会経済状況の変化に伴い、利用意向の低下等により適切に管理されない土地が増加している中で、まずは所有者自身による土地の適切な利用・管理を促していくことが必要。
【所有者に求められる役割】
・所有している土地について、第一次的には所有者自らが、土地利用計画に従って、条件に応じて適正に利用する(土地基本法第3条)とともに、周辺に悪影響を与えないように条件に応じて適切な管理(管理委託を含む)を行う。
・所有者に保有意向がない場合には、利用希望者に譲渡・賃貸等をして、適切な利用・管理の実現を図る。それまでの間も、周辺に悪影響を与えないように適切に管理を行う。
・土地を円滑に利用・取引可能な状況におくため、登記手続を適時に行うほか、境界の明確化に協力する。(法的管理)
・利用の見込みがなく、土地の売却等によっても管理費用を賄える見込みがない場合など管理の負担が重い土地については、管理の在り方を近隣住民、地方公共団体等に相談する。(投げ出すのではなく他の選択肢を探すことが求められる。)
○ 所有者が責務を果たさず、周辺の土地や関係者に悪影響(権利関係の不明確化により生じるものを含む)を与える場合には、公共の福祉優先の観点から所有権より地域の利益(生活環境の保全、安全の確保、地域の活性化・持続可能性等)が優先され得るため、悪影響の度合いに応じて土地所有権が制限を受ける場面があると考えられる。
【悪影響の例】
・生活環境の悪化:雑草の繁茂等により、害虫の発生、火災・犯罪の誘発のおそれが生じている場合 等
・保安上の危険:老朽化により木の枝が落下の危険あり、家屋等に損害を与えるおそれがある場合、土砂崩れのおそれがある崖地の場合 等
・権利関係の不明確化:不真正な登記、不明確な境界等により、相隣関係のトラブル解決や、共有者等による利用、処分を困難にする 等
資料2
○ 他方、所有者の責務は無限ではなく、求められる管理の在り方(水準・内容)については土地の置かれた条件によって異なり、また、関係者と協力して行うことが適切な場合も考えられる。
②関係者の役割
○ 所有者不明の場合を含め、所有者が適切に土地を利用・管理しない(できない)場合もあり、生活環境の保全、地域の持続可能性等の観点から看過できなくなっている。
○ これに対処していく観点からは、土地所有者以外の関係者にも役割を担ってもらう場面があると考えられる。
【所有者以外の関係者に求められる役割】
<近隣所有者>
・当該土地の条件、適切に利用・管理されることによる悪影響の除去、受益等を踏まえて必要な場合、当該土地の利用・管理に関心を持ち、協力する。
(所有者からの相談に応じるとともに相隣関係や利害関係に基づき必要に応じて当該土地の利用・管理に関与する。場合によっては自らの受益に応じて負担する。)
<地域コミュニティ(自治会、まちづくり組織等)>
・当該土地の条件、適切に利用・管理されることによる地域全体への悪影響の除去・受益等
を踏まえて必要な場合、地方公共団体等と連携し、当該土地の利用・管理に関心を持ち、協力する。(所有者からの相談に応じるとともに、地域全体の受益や公益の実現に寄与す
る場合には、必要に応じて当該土地の利用・管理に関与する)
<行政>
・土地が適切に利用・管理されず周辺に悪影響を与えている場合に、管理委託等を含め、所有者に適切な利用・管理を促し、支援する。
・手放したいニーズと利用したいニーズのマッチングが、地域の持続可能性の観点から円滑に行われるための支援や環境整備を行う。
・所有者に利用意向がなく、市場でのマッチングも難しい土地について、その利用・管理の
在り方について、地域コミュニティ等と連携し、地域における合意形成を支援する。
・地域コミュティ等の関係者が利用・管理を行いやすい環境を整備するとともに、必要に応じて支援する。
・管理不全による悪影響の度合、緊急性が高い場合等には直接対応を行う。(代執行・取得等)
③求められる管理の在り方
○ 周辺の土地や関係者に悪影響(生活環境の悪化、保安上の危険等)を与えないような管理が求められるが、その具体的内容は土地の置かれた条件によって異なり、例えば、周辺に悪影響を与えず、当分の間利用が見込まれない土地については、将来の事情変更により利用ニーズが生じた際に、利用の障害とならないような最低限の管理(法的管理を行う。必要に応じて見守る。)で足りると考えられる。現時点で誰がどのような水準・内容の利用・管理を行うかは、当該土地の利用・管理により影響を受ける周辺地域で、当該土地に関するステークホルダーが、その在り方について話し合い、合意形成を図って決める必要がある。
○ 将来の利用の障害とならないよう管理することに加え、最低限、上記の話し合いに応じることが求められ、関係者が当該話し合いの申し入れを行うことが可能になるよう、所有者は自らが所有者であることを登記により公示する責務があると考えられる。また、土地の境界画定は当該協議の前提条件にもなり得るため、所有者は土地の境界画定に協力する責務があると考えられる。
④土地を手放す仕組みとの関係
○ 土地の適切な利用・管理を実現する観点からは、第一次的には所有者が一定の責務を果たすことが求められることから、所有者が責務を果たさずに一方的に土地を放棄することを認めることは問題の解決に資するものではないと考えられる。
○ 所有者自らによる利用・管理が困難な場合においても、所有者を含めた関係者が各々の責務や役割を認識し、適切な利用・管理に向けて協力することが求められる。利用ニーズのマッチングや地域における合意形成等を図る中で、生活環境の保全、安全の確保、地域の活性化・持続可能性等の地域の公益に繋がる方向で、新たな主体による利用・管理につなげていくことが重要である。
○ 地域における合意形成を経てもなお、積極的に利用・管理に関与すべき主体が存在しない場合については、一定の条件を満たす場合に、一定の手続の上で公的主体が合意の上で当該土地を譲り受け、最低限の管理を行っていくことも考えられる。
①所有者の責務
○ 土地の特性に鑑み、土地については公共の福祉を優先させるものとされており(土地基本法第2条)、その観点から、土地所有権には利用・管理に係る責務が伴い、土地所有者には土地の適切な利用・管理の実現に一定の役割を果たすことが求められる。
○ 人口減少等に伴う社会経済状況の変化に伴い、利用意向の低下等により適切に管理されない土地が増加している中で、まずは所有者自身による土地の適切な利用・管理を促していくことが必要。
【所有者に求められる役割】
・所有している土地について、第一次的には所有者自らが、土地利用計画に従って、条件に応じて適正に利用する(土地基本法第3条)とともに、周辺に悪影響を与えないように条件に応じて適切な管理(管理委託を含む)を行う。
・所有者に保有意向がない場合には、利用希望者に譲渡・賃貸等をして、適切な利用・管理の実現を図る。それまでの間も、周辺に悪影響を与えないように適切に管理を行う。
・土地を円滑に利用・取引可能な状況におくため、登記手続を適時に行うほか、境界の明確化に協力する。(法的管理)
・利用の見込みがなく、土地の売却等によっても管理費用を賄える見込みがない場合など管理の負担が重い土地については、管理の在り方を近隣住民、地方公共団体等に相談する。(投げ出すのではなく他の選択肢を探すことが求められる。)
○ 所有者が責務を果たさず、周辺の土地や関係者に悪影響(権利関係の不明確化により生じるものを含む)を与える場合には、公共の福祉優先の観点から所有権より地域の利益(生活環境の保全、安全の確保、地域の活性化・持続可能性等)が優先され得るため、悪影響の度合いに応じて土地所有権が制限を受ける場面があると考えられる。
【悪影響の例】
・生活環境の悪化:雑草の繁茂等により、害虫の発生、火災・犯罪の誘発のおそれが生じている場合 等
・保安上の危険:老朽化により木の枝が落下の危険あり、家屋等に損害を与えるおそれがある場合、土砂崩れのおそれがある崖地の場合 等
・権利関係の不明確化:不真正な登記、不明確な境界等により、相隣関係のトラブル解決や、共有者等による利用、処分を困難にする 等
資料2
○ 他方、所有者の責務は無限ではなく、求められる管理の在り方(水準・内容)については土地の置かれた条件によって異なり、また、関係者と協力して行うことが適切な場合も考えられる。
②関係者の役割
○ 所有者不明の場合を含め、所有者が適切に土地を利用・管理しない(できない)場合もあり、生活環境の保全、地域の持続可能性等の観点から看過できなくなっている。
○ これに対処していく観点からは、土地所有者以外の関係者にも役割を担ってもらう場面があると考えられる。
【所有者以外の関係者に求められる役割】
<近隣所有者>
・当該土地の条件、適切に利用・管理されることによる悪影響の除去、受益等を踏まえて必要な場合、当該土地の利用・管理に関心を持ち、協力する。
(所有者からの相談に応じるとともに相隣関係や利害関係に基づき必要に応じて当該土地の利用・管理に関与する。場合によっては自らの受益に応じて負担する。)
<地域コミュニティ(自治会、まちづくり組織等)>
・当該土地の条件、適切に利用・管理されることによる地域全体への悪影響の除去・受益等
を踏まえて必要な場合、地方公共団体等と連携し、当該土地の利用・管理に関心を持ち、協力する。(所有者からの相談に応じるとともに、地域全体の受益や公益の実現に寄与す
る場合には、必要に応じて当該土地の利用・管理に関与する)
<行政>
・土地が適切に利用・管理されず周辺に悪影響を与えている場合に、管理委託等を含め、所有者に適切な利用・管理を促し、支援する。
・手放したいニーズと利用したいニーズのマッチングが、地域の持続可能性の観点から円滑に行われるための支援や環境整備を行う。
・所有者に利用意向がなく、市場でのマッチングも難しい土地について、その利用・管理の
在り方について、地域コミュニティ等と連携し、地域における合意形成を支援する。
・地域コミュティ等の関係者が利用・管理を行いやすい環境を整備するとともに、必要に応じて支援する。
・管理不全による悪影響の度合、緊急性が高い場合等には直接対応を行う。(代執行・取得等)
③求められる管理の在り方
○ 周辺の土地や関係者に悪影響(生活環境の悪化、保安上の危険等)を与えないような管理が求められるが、その具体的内容は土地の置かれた条件によって異なり、例えば、周辺に悪影響を与えず、当分の間利用が見込まれない土地については、将来の事情変更により利用ニーズが生じた際に、利用の障害とならないような最低限の管理(法的管理を行う。必要に応じて見守る。)で足りると考えられる。現時点で誰がどのような水準・内容の利用・管理を行うかは、当該土地の利用・管理により影響を受ける周辺地域で、当該土地に関するステークホルダーが、その在り方について話し合い、合意形成を図って決める必要がある。
○ 将来の利用の障害とならないよう管理することに加え、最低限、上記の話し合いに応じることが求められ、関係者が当該話し合いの申し入れを行うことが可能になるよう、所有者は自らが所有者であることを登記により公示する責務があると考えられる。また、土地の境界画定は当該協議の前提条件にもなり得るため、所有者は土地の境界画定に協力する責務があると考えられる。
④土地を手放す仕組みとの関係
○ 土地の適切な利用・管理を実現する観点からは、第一次的には所有者が一定の責務を果たすことが求められることから、所有者が責務を果たさずに一方的に土地を放棄することを認めることは問題の解決に資するものではないと考えられる。
○ 所有者自らによる利用・管理が困難な場合においても、所有者を含めた関係者が各々の責務や役割を認識し、適切な利用・管理に向けて協力することが求められる。利用ニーズのマッチングや地域における合意形成等を図る中で、生活環境の保全、安全の確保、地域の活性化・持続可能性等の地域の公益に繋がる方向で、新たな主体による利用・管理につなげていくことが重要である。
○ 地域における合意形成を経てもなお、積極的に利用・管理に関与すべき主体が存在しない場合については、一定の条件を満たす場合に、一定の手続の上で公的主体が合意の上で当該土地を譲り受け、最低限の管理を行っていくことも考えられる。
2.必要な措置の方向性について
①土地についての基本理念と責務
土地が適切に利用・管理されていくために、下記の方向性を明らかにすべきと考えられる。
○ 土地所有権の制約と土地所有者の責務
・ 限られた資源であり、その利用が他の土地の利用と密接な関係を有する等の土地の特性に鑑み、土地については公共の福祉が優先されるものとされている(土地基本法第2条) 。
・ この観点から、土地所有者が、周辺の土地を含め、土地を適切に利用・管理できない状況に置く(周辺の土地に悪影響を与える、共有者による利用・管理・取引を困難にする等)ことは適切な所有権の行使とは言えないと考えられる。
・ 所有者が責務を果たさないことにより悪影響が生じている場合には、土地所有権が制限を受ける場面があり得ると考えられる。
○ 土地の利用・管理に関して所有者や関係者に求められる責務・役割
(所有者の責務)
・ 土地所有権には一定の責務が伴い、第一次的には所有者自らの責任で土地を適切に利用・管理(物理的管理・法的管理)することが求められる。
・ それが困難な場合には関係者に相談するなどにより、周辺又は関係者に悪影響を与えないよう土地が適切に利用・管理されるように努めることが求められる。
(関係者の役割)
・ 所有者以外の関係者には、所有者が責務を果たすことを支え、促し、場合によっては補完する役割が期待される。また、状況によっては、関係者が自らの負担や所有者への補償を行う前提で、自らの利益や公益を実現する観点から主体的に関与する場面もあり得
る。
・ この場合に、所有者が責務を果たさない(又は責務を果たすことが求められない)ことにより悪影響が生じている場合において、関係者が行う利用・管理は、所有権を制限し得る場合がある。
②土地が適切に利用・管理されていくために必要な措置(基本的施策)の方向性
土地が適切に利用・管理されていくために、以下のような措置を関係する個別法の改正や行政の施策等により講じていくことが求められる。これらの制度改正や施策の充実の基本となる方向性を土地基本法に盛り込むべきである。
<適切な土地の利用・管理を促す措置>
・土地の利用を促す措置
-立地適正化計画等地域の持続可能性に配慮した土地利用計画に沿った利用促進 等
①土地についての基本理念と責務
土地が適切に利用・管理されていくために、下記の方向性を明らかにすべきと考えられる。
○ 土地所有権の制約と土地所有者の責務
・ 限られた資源であり、その利用が他の土地の利用と密接な関係を有する等の土地の特性に鑑み、土地については公共の福祉が優先されるものとされている(土地基本法第2条) 。
・ この観点から、土地所有者が、周辺の土地を含め、土地を適切に利用・管理できない状況に置く(周辺の土地に悪影響を与える、共有者による利用・管理・取引を困難にする等)ことは適切な所有権の行使とは言えないと考えられる。
・ 所有者が責務を果たさないことにより悪影響が生じている場合には、土地所有権が制限を受ける場面があり得ると考えられる。
○ 土地の利用・管理に関して所有者や関係者に求められる責務・役割
(所有者の責務)
・ 土地所有権には一定の責務が伴い、第一次的には所有者自らの責任で土地を適切に利用・管理(物理的管理・法的管理)することが求められる。
・ それが困難な場合には関係者に相談するなどにより、周辺又は関係者に悪影響を与えないよう土地が適切に利用・管理されるように努めることが求められる。
(関係者の役割)
・ 所有者以外の関係者には、所有者が責務を果たすことを支え、促し、場合によっては補完する役割が期待される。また、状況によっては、関係者が自らの負担や所有者への補償を行う前提で、自らの利益や公益を実現する観点から主体的に関与する場面もあり得
る。
・ この場合に、所有者が責務を果たさない(又は責務を果たすことが求められない)ことにより悪影響が生じている場合において、関係者が行う利用・管理は、所有権を制限し得る場合がある。
②土地が適切に利用・管理されていくために必要な措置(基本的施策)の方向性
土地が適切に利用・管理されていくために、以下のような措置を関係する個別法の改正や行政の施策等により講じていくことが求められる。これらの制度改正や施策の充実の基本となる方向性を土地基本法に盛り込むべきである。
<適切な土地の利用・管理を促す措置>
・土地の利用を促す措置
-立地適正化計画等地域の持続可能性に配慮した土地利用計画に沿った利用促進 等
・所有者に管理を促す措置(管理委託の斡旋等管理を容易にする措置を含む)
-行政が所有者に管理を促す。併せて管理委託の斡旋や費用を徴収した上での管理の代
行 等
・利用ニーズのマッチングなど土地取引の円滑化・促進
-空き地バンクへの登録、相談窓口の設置
-マッチングを有効に機能させるための環境整備
-地域におけるまちづくり活動等を通じた土地の利用価値の向上・顕在化に向けた取組
等
・地域における利用・管理に関する合意形成の促進
-地域における合意形成のコーディネート
-地域として関与する必要性が高いと合意された場合等における、地域の関係者による管理への協力を円滑に行うための制度・支援措置の検討
-地域に与える影響が小さく、関与する必要性が低いと合意された場合に、求められる管理水準が低いなど一定の条件を満たす場合に一定の手続の上で公的主体が合意の上で土地を譲り受けることの検討 等
※留意事項
-これらの適切な土地の利用・管理を促す措置については、それぞれの措置との接続等
を考慮しながら総合的に講じられることが望ましい。
-これらの措置は個々の土地の条件に応じて講じられ、これらの措置を実施するための
体制は地域の実情に応じて整備されることが望ましい。
-行政・地域・専門家が協力して問題に対応していける環境整備も重要。
<所有権の制限を伴う措置>
(放置土地への対応)
・放置土地(所有者が責務を果たさず放置していることにより、何らかの悪影響が生じている土地をいい、所有者の全部又は一部が不明であることによるものを含む。以下同じ。)について、所有者以外の者や一部の共有者が行う悪影響の除去について、それに伴う権
利侵害の度合いが相当程度低いものについては、当該行為を合理的に行うことを可能にする措置
・放置土地について、一定の権利侵害を伴うもの(所有者に費用負担を求めるものを含む)
について、現状より合理的な一定の手続により可能にする措置
・公共的目的のための利用・管理・取得を円滑化するための措置(所有者不明土地法の円滑な施行、活用促進等)
上記は厭く迄個人の私的所有権等との整合性を配慮すべきことは当然である。公共福祉は個人の私権を配慮べきな点を持つことは当然である。
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