汽車の窓から、田舎の風景を眺めるのが好きだ。
特に、山だ。
博多と長崎を結ぶ長崎本線。
下りで言えば、佐賀を過ぎ、肥前鹿島辺りから、左は有明海、右は田んぼや畑の風景が続く。そして、山。
「長里」という小さな駅で、列車が2分程、上り列車との待合で止まった。
そこから眺める山の稜線は、素晴らしく良かった。
JR九州の路線図を見ると、長里駅は長崎県域である。
が、我が故郷長崎県に、こんな見事な美景の山があるとは信じられない。
あれは、佐賀の山だろうと思っていた。
長崎滞在中、佐賀・長崎の地図を買って調べてみた。
山は、経ヶ岳(1075.5m)、五家原岳(1057.8m)、多良岳(982.7m)だった。
多良火山群、長崎県の山域だ。
(長崎本線上りの列車であれば、「湯江」駅から、それを見ることができる)
(その場合、座席は左ですぞ)
*多良火山は、長崎・佐賀の県境をなし、雲仙や阿蘇より古い時代に活動した複合火山で、東が有明海、西が大村湾に臨む、ほぼ円形をなす死火山である。
山頂には、多良火山最高峰の経ヶ岳をはじめ、五家原岳、多良岳に囲まれた直径3キロの爆裂火口があり、西壁は郡川の火口瀬により破られている。
この火山帯は寄生火山が多く平谷温泉や嬉野温泉などはこの火山の所産である。
(吉川満著「九州の山歩き」より)