隆 慶一郎
(日経文芸文庫)
上巻は、日本へ来る直前、アメリカで読んだ。
隆 慶一郎の時代小説は、好きだ。
「一夢庵風流記」や「影武者徳川家康」など。
「花と火の帝」も、上記の作品も、いずれも、歴史上、実在した人物達である。
その史実を元にと言うか、それを参考にしながらも、大胆に、そして、スケールの大きい想像力・創造力で作品を仕上げているのが、面白い。
時に、そこまで外れるか、、という位の凄さ。
でも、私は、嫌いではない。
物語に引き込む筆力は、天才的であるから。
1989年、66歳で亡くなったのは、全く惜しい。
実は、「花と火の帝」は、作者最後の作品であり、未完成なのである。
病に倒れ、痛恨の絶筆である。
だから、小説の最後は、見事な程、突然に終わっている。
物語は、京都を舞台に、修学院離宮を造営した後水尾天皇と徳川幕府との知られざる確執・攻防を描いている。
京都洛北八瀬の里から出た八瀬童子を「天皇の隠密」として登場させている。
天皇の隠密とは、初めて聞きました。
そして、面白い!!