人類はいかにして立ち上がったか、食料提供説がある。つまり、二足歩行で餌を沢山運べるオスが勝ち残った人類が自然に任せると出産間隔は2-4年、その時にパートナーになるオスが餌を運ぶのに有利だったのが二足歩行であまった手による食料運搬であった。
これ以外にも多くの変化が原人の時代にはあった。
1. 石器の使用
2. 肉食の効率化
3. 脳の大型化
4. 現世人類並みの体格
5. 行動範囲の拡大
6. 体毛の喪失
7. 成長がゆっくりに
これらの進化のきっかけは気候の草原化であったという。この原人がその後旧人を経て現世人類に進化するプロセスで、アフリカでは頑丈型人類が出現したという。対比される現在の人類は華奢型人類。頑丈型人類は強力な顎を持ち、現世人類の3-4倍の噛む力を持っていた。これが270万年前。華奢型人類とは共存したが、脳の大きさは最後まで500ccを超えず、120万年前に地上から姿を消した。しかし50万年も生き続けたのである。人類の歴史は知力の歴史なのである。
3万年前には有名なネアンデルタール人がいた。ネアンデルタール人は滅びるのだが、現世人類が滅ぼしたのではないという。当時は農業は始まっておらず財産や領土の考え方もなく、争って奪うものがないのだから争いもないはずだから、戦争はなかったはずだというのである。18000年前にはジャワ島付近フロース島に身長1メートル、体重も20-30キロという小人人類がいたとも言われている。島嶼化と呼ばれる現象で、この島では象も小型化していた。この小人人類も12000年前にこの島を襲った大噴火で死滅したのだという。人類にもいろいろなバリエーションがあったのだ。
遺伝を説明するときに出てくる単語、DNA、塩基、ゲノム、遺伝子など。人の細胞に必ずあるのが核、その中には23対の染色体があり、染色体に記録されている情報全体をゲノムという。染色体の中に格納されているのがDNAであり、DNAを構成する塩基にはATGCの4種類の塩基がある。4種類の塩基の並び方で遺伝情報が伝えられる。チンパンジーと遺伝子情報を比較するとその違いは1.23%、ゴリラより、オランウータンよりもチンパンジーが人類に近い存在だという。そして遺伝子情報からも現世人類はすべてアフリカから出てきたあるひとつの人類から生まれてきたということが確かめられている。
しらみは、取り付く種が決まっている。チンパンジーに取りつくシラミは人類にはとりつかない。しらみのDNAを調べると人類の祖先が分かるというのである。それによるとチンパンジーと人類が別れたのは560万年前。新たな発見は2000年以降も続々とあり、人類史は次々と書き換えられているらしい。結構ワクワクするはなしである。
人類進化の700万年 (講談社現代新書)
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