昭和の高度成長時代からバブル時代まで、日本全国に多くの「ニュータウン」が開発され、戸建てでもマンションタイプでも大人気で入居は抽選、子育てが始まる世代がこぞって入居した。有名なところででは「多摩ニュータウン」「千里ニュータウン」などなど。関東近郊にも多くのニュータウンが建設されたが、報道や書籍で報じられている通り、入居者の高齢化、建物の老朽化、近隣商店街のシャッタータウン化などで、問題点が整理され指摘されているが、解決策は多様でまとまりがない物が多い。単体のマンションであれば、全棟建て替えに踏み切ったり、入居者のコミュニケーション向上や活性化からのマンション自体の魅力向上策で、生まれ変わった実例も紹介されているが、もう少し大きな規模での「ニュータウン」活性化となると問題は単純ではない。「自分のマンションは管理が行き届いていて住みやすいから大丈夫」と考えていた私も、管理組合の理事を経験して考えが変わった。私自身が暮らすマンション管理組合、27年目の大規模修繕を組合理事として担当し多くの問題に気がついた。複数棟で構成されるマンション型ニュータウンで、大規模実際に起きている現象と問題点を整理してみる。
1.入居者の高齢化 管理が行き届いて住みやすく、住替えが少なかったニュータウンでも、30歳代で入居してきた住民たちが、築後40年経過して平均年齢が60歳から70歳代になると、所有者の高齢化、子供世代への相続、管理組合員高齢化に伴う管理組合活動の停滞がおきる。具体的には、昔は活発だったお祭りやコミュニティ活動も参加者が減少することで徐々に規模が縮小され、町内会(自治会)と全員参加の管理組合との協力がスムーズに行かないケースが増える。子供が少ないので町内会への参加率自体が減少する。それでも、意識ある管理組合の役員は、植栽の入れ替えや、大規模修繕の定期的実施、災害対応の充実などで住民のニーズを汲み上げ、活動を続けるケースも多い。管理組合の議決事項での問題は、過半数で実施できる定期的な大規模修繕や植栽の大規模な伐採などなら委任状を集めてなんとかクリアできるのが、入居者の4分の3の賛成が必要な大規模な工事(2階建て駐車場の取り壊しや階段だけの5階建て棟に新規にエレベータ設置などの「変更行為」実施)や、まして5分の4の賛成が必要な建て替えとなると、とてもとてもスムーズに必要数の住民合意を得ることは難しい。もともと、車やエレベータの必要性に差異が大きく、所有者の高齢化から収入が減少してきているため75%の同意を取り付けることは容易ではない。管理費や修繕積立金の小額の変更でも、話はなかなかまとまらない。相続して子供世代が所有者になり、現実には入居せず賃貸しているケースでは、こうした現状はさらに伝わりにくい。
2.建物の老朽化 昭和時代の鉄筋コンクリートは、しっかりした施工なら100年は持つとも言われるが、外壁塗装、シール部分のコーキング、屋根の防水加工再張替え、排水管メンテナンス、上水タンクとポンプ修理、ベランダ防水、不同沈下や地震に伴うひび割れ対応、階段やエレベータメンテナンスなどをこまめに実施しなければ、建物の躯体は大丈夫でも水漏れや排水管など、住みにくいマンションになる。大規模修繕を13-4年毎にしっかり実施したとしても、50-75年で建て替えの議論になるのは、こうした総合的なマンション管理が計画され実際に実施されてきているかどうかがポイントとなるからである。日常の管理が行き届かないマンションや、修繕積立金が不足していて、13年程度に一度の大規模修繕をしていないマンションでは、築後20-30年位から住居の問題が顕在化してくる。人通りが少なくなると安全面、衛生面でも問題が出るケースも有る。そもそも、同じ管理組合内でも階数が異なる棟が含まれていて、5階建てと11階建てではエレベータや修繕のニーズが異なる。今後は棟別会計や隣の管理組合との協力必要性も浮上してくる。
3.近隣商店街のシャッタータウン化 大規模なニュータウンの住民が高齢化すると、近隣商店街の営業活動にも影響が出るため、近隣に別の商業的集積があるような場所でなければ人通りが減り商店街は寂れてくる。これは住民の努力だけでは如何ともし難い部分だが、買い物や食事は近隣でする意識は重要である。そのためには魅力ある近隣商店街の育成に協力する意識と、管理組合自身によるの商業活動への参加も望まれる。
ニュータウンができた頃には存在しなかったSNSなどやメールなどのネットワークがある今の時代においては、これを住民同士の交流に使わない手はない。管理組合や町内会活動、管理組合同士の連絡や住民同士の交流にSNSは大いに活用できるはずであり、ITの知識も経験もある自分には貢献できる部分があるのではないかと考えている。こうした問題意識を持った上で、具体的な解決策を見出し、実際に行動するまでの道のりは結構長い。まずは基本的な知識を得るために、マンション管理のお勉強をしようと考えている。現在進行中の宅建取引士の勉強範囲は宅建業法、民法、借地借家法、不動産登記法、国土計画法、都市計画法、建築基準法、それに税法など。11月25日のマンション管理士試験の試験範囲は、民法、建築基準法、不動産関連などが半分程度重なるので、宅建取引士試験が終わったら、マンション特有の区分所有法、管理規約、マンション管理・修繕などのマンション管理のお勉強にスムーズに移行できるはず。宅建取引士のお勉強は試験日10月21日まであと少し、目標は具体的で差し迫ったほうが良いはず。「ニュータウンの明るい未来」を目指して、もう少しの頑張りである。