卓越したギターの腕を持ちながら帰国後忽然と姿を消してしまったサントス。サントスを探す漆田は、彼の息子と思われるパコというギタリストをてがかりにサントスの行方を追うが、やがてラモスがサントスを探す理由の一つに行き当たり、巨大な事件の波に飲み込まれていく。漆田は相当なの切れ者、ギターに由来する人探しから、スペインの反政府運動対治安警察の争いに巻き込まれていく。前半では「カディスの赤い星」の正体とそれに込められた目的が明らかに、後半のスペインの描写を読んでいるとスペインに行きたくなってくる。ライバル会社太陽楽器のPRマン理沙代との恋、「全日本消費者同盟」槙村との対決など楽しく読ませてくれる。
1975年、スペインがまだフランコ総統の独裁政権下にあり、日本も過激派によるテロの懸念を抱えていた時代を背景に、日本とスペインを舞台にしたストーリー展開で、面白い読み物、スペインに興味がなくてもおもしろく読める。
新装版 カディスの赤い星(上) (講談社文庫)
新装版 カディスの赤い星(下) (講談社文庫)