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サイバー法案

2025年02月14日 13時26分45秒 | 一言

戦争国家づくりの危険な一環

 日ごろからネット空間を監視し、大きな被害を生む恐れのあるサイバー攻撃のきざしをつかんだら、先んじて相手サーバーに侵入し無害化する「能動的サイバー防御(ACD)」の権限を政府に与える法案が閣議決定(7日)され、開会中の通常国会に提出されています。憲法21条が保障する「通信の秘密」やプライバシーを侵害するとともに、先制的な無害化措置が相手国からの報復攻撃を呼び込む危険を持った重大な法案です。

■通信の秘密を侵害

 法案は、2022年末に政府が閣議決定した「安保3文書」の一つ、国家安全保障戦略がACD実施のための体制整備を打ち出していたのに基づきます。3文書は、敵基地攻撃能力の保有と5年間で43兆円もの軍事費をつぎ込む大軍拡によって「戦争国家づくり」を推進しようとするもので、ACDもその一環です。

 法案によると、政府はサイバー攻撃の兆候を探知するため、ネット上の通信情報を収集・分析します。収集する情報の範囲は、国外から発信し日本国内を経由して国外で受信される通信(外外通信)と国内と国外との通信(外内・内外通信)とされ、国内での個人間などの通信(内内通信)は除くとされています。

 分析の対象も、ネット上の住所に当たるIPアドレスや送受信日時など「意思疎通の本質的な内容ではない情報」(機械的情報)に限り、メールの件名や本文といった情報は自動的に消去される仕組みをつくるとしています。

 しかし、情報を選別する具体的な仕組みについては何も明らかにされておらず、政府の恣意(しい)的な運用が排除される保証はありません。現行の通信傍受法では裁判所の令状が必要とされているのに、そうした司法の判断さえなく、通信が政府の常時監視下に置かれかねません。

■相手国から報復も

 通信情報の収集・分析の結果、サイバー攻撃またはその疑いがあり、そのまま放置すれば、人や財産に重大な危害が発生する恐れのある場合、警察が無害化措置を行います。外国政府を背景とする組織的・計画的なサイバー攻撃であると認められ、特に必要がある場合には、自衛隊が対処します。在日米軍へのサイバー攻撃に対しても、自衛隊は無害化措置を実施します。

 無害化措置は、内閣府の外局として新設される「サイバー通信情報管理委員会」の事前承認が原則とされます。しかし、「承認を得るいとまがない」場合には、事後の通知も可能とされます。同委員会には、国会への報告とその概要の公表が義務付けられていますが、具体的な内容は明らかではなく、措置の対象や内容、程度が妥当だったかを国会や国民が判断できない恐れがあります。

 無害化措置を国外にあるサーバーに行う場合、誤認や行き過ぎがあれば、その国から主権を侵害されたとか、攻撃をされたとみなされ、反撃や報復を受ける危険もあります。それがサイバー上にとどまる保証もありません。

 外国との深刻な国際問題や武力紛争にもつながりかねない法案は、徹底審議の上で廃案にすべきです。



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