障害があっても、障害のない人と同じ収入を得られる社会に―。聴覚障害のある女児が交通事故で亡くなり、将来得られたはずの「逸失利益」をめぐり争われた裁判で遺族はこう問いかけました。平均賃金の85%とした一審判決を覆し、障害のない人と同額を認めた大阪高裁判決が今月初めに確定しました。
高裁判決は、子どもの逸失利益算定で平均賃金から減額が許されるケースは限定的、との判断を示しました。「公平性が顕著に妨げられる」場合だけだと。
そのうえで言及したのは現在の障害者関連の法整備状況です。障害者権利条約批准にふさわしい法整備をと、障害のある人や家族、関係者が審議会に参加し、法改正など「制度改革」を手がけてきました。
これにもとづき高裁判決は、「障害者」を、段差などの事物や制度・慣行など「社会的障壁」によって相当な制限を受ける状態にある人だと定義しました。障害のある人が求めたら、社会の側が合理的配慮で障壁を取り除かなければならないとする法整備が進んでいるとも。
障害のある人は障害のない人と同等で、劣った存在ではない―。旧優生保護法は違憲だとした最高裁判決は、社会にそのことを明示しました。優生裁判以前には、障害者自立支援法違憲訴訟で全国の障害のある71人が尊厳の回復などを訴えて立ち上がりました。
この原告らが国と基本合意を結び和解、「制度改革」へとつながりました。障害のある人は裁判などのたたかいを通じて確実に社会を変革しています。
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