禁止条約実現した力揺るがぬ
国連総会第1委員会(軍縮・安全保障問題)は10月27日、核兵器禁止条約に未参加の国々に署名と批准を呼びかける決議案を賛成多数で採択しました。同決議案は今後、12月上旬の総会で採択に付されます。
「核抑止」からの脱却を
禁止条約の署名国は93へと増え、国連加盟国(193カ国)の半数に近づいています。批准は69カ国にのぼっています。
第1委員会で採択された決議案は、オーストリア、ブラジル、インドネシア、南アフリカなど36カ国が共同提案しました。賛成は124カ国です。
決議案は、昨年6月にウィーンで開かれた禁止条約第1回締約国会議が政治宣言と行動計画を採択したことを歓迎しています。行動計画に基づき、核兵器使用と核実験の被害者への支援を進める作業部会がつくられ、同条約を運用する具体的活動が始まっています。
第1委員会では、この支援活動を巡る決議案が171カ国の圧倒的多数の賛成で採択されました。今月27日からニューヨークの国連本部で開かれる第2回締約国会議で、さらに具体化される予定です。禁止条約は国際法として規範力と実行力を高めつつあります。
第1回締約国会議の政治宣言は、ウクライナ侵略を続けるロシアに対する立場の違いを超え、核兵器のあらゆる使用とその威嚇を非難しました。その精神は9月にインドで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議にも受け継がれ、首脳宣言で核兵器の使用も威嚇も許さない立場が表明されました。禁止条約を実現した力は引き続き世界を動かしています。
禁止条約への参加を呼びかける決議案に反対したのは、全ての核保有国と、アメリカの「核の傘」に依存する日本など43カ国です。ロシアは包括的核実験禁止条約の批准を撤回して核兵器を対抗手段とする姿勢をとり続け、米英仏や北大西洋条約機構(NATO)も、「核抑止力」への固執を強めていることは重大です。ガザへの攻撃と殺りくをエスカレートさせているイスラエルの閣僚が核兵器使用に言及したことは断じて許されません。
第1委員会の討論で、非核保有国は「核抑止」政策を強く批判しました。禁止条約を推進してきたオーストリアの政府代表は、「核抑止力」論から脱却する「パラダイムシフト」(固定観念の転換)を求めました。核兵器廃絶を求める世論を広げることが急務です。
岸田文雄政権が提案した核兵器に関する決議案は第1委員会で145カ国の賛成で採択されました。同決議案は禁止条約を支持せず、核兵器を「究極的に廃絶する」努力を核保有国に指摘するだけです。非核国から「核保有国の義務を曖昧にする」と批判が上がりました。核保有国に追従する恥ずべき姿勢を改めなければなりません。
早急に参加し役割果たせ
日本政府は一刻も早く禁止条約に参加すべきです。非核の流れをアジアと世界に広げていくことこそ、核兵器の脅威を根絶する道です。条約に参加する前にも、第2回締約国会議にオブザーバー参加し、被爆者をはじめ市民社会とともに、核使用と実験の被害者への支援などに協力すべきです。唯一の戦争被爆国の責務を果たすための行動を強く求めます。
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