通称使用不利益残る
国会での議論推進に期待
選択的夫婦別姓制度を今国会で導入するよう求める声が高まる中、日本弁護士連合会主催のシンポジウム(6日)ではパネリストから「通称使用では不利益は解消されない」「夫婦別姓を導入すれば働く現場の生産性は高くなる」などの意見が出されました。
![]() (写真)日弁連主催のシンポジウムに登壇したパネリストら=6日、衆院第1議員会館 |
「第三次選択的夫婦別姓訴訟」弁護団長の寺原真希子弁護士は旧姓の通称使用の問題について、病院での受診や役所の手続きなど「公的な場面では通称のみの使用はできず、(戸籍の姓を確認される)そのたびにアイデンティティーを喪失している」と指摘。事実婚や子連れで再婚した家族など姓の異なる家族が数多く存在し、子どもを含めて家族としての一体感を共有している中で、「(反対派が主張する)『同姓でなければ家族の一体感が失われる』ということにはならない」と述べました。
夫婦同姓を義務としている民法と戸籍法の規定を「合憲」とした2021年の最高裁大法廷判断で、「違憲」とする意見を書いた判事(当時)の宮崎裕子弁護士が登壇しました。9割超の女性が婚姻に際して改姓していることは「男女不平等と解するのが合理的だ」と述べました。
東京大学大学院の宍戸常寿教授(憲法学)は、同姓を強いる現行の法制度は「多様化しているライフスタイルに特定の価値観を強制しているようなものだ」と批判。その上で2度の最高裁「合憲」判断は「国に(同姓制度のままでいいと)お墨付きを与えているわけではない。むしろ『国会できちんと議論して』という意味で捉えるべきだ」とし、国会での制度導入に向けた議論を進めることに期待を寄せました。
経済同友会の新浪剛史代表幹事は、仕事をする女性から「通称使用ではキャリアが分断される」などの訴えがあったことにふれ、「別姓を認めることで自分らしく気持ちよく仕事ができ、生産性も上がる」と強調。1月に開かれた世界各国の首脳や経営トップが出席する世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)で、人権の話が出た際に、同姓を強いる日本の仕組みについて「世界から後れを取っていてビジネスリーダーの一人として恥ずかしい思いをした」と述べ、法改正を求めました。
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