松ちゃんの『やりっ放し やられっ放し』

あなたが気になりだしてから 世界が息づいてる(松任谷由実『緑の町に舞い降りて』より)

事後処理は大切って、またあのひとに教えられました。ダメな久子より。

2006-10-28 20:13:51 | dramas
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーー…」

書斎のドアを開いて、信子の目に、まず飛び込んできたのは
【紅】という色彩。部屋中が真っ赤で、それと…瀕死の父・信雄だった。虫の息である。

信子「か、か、かあさん…かあさーーん!と、とうさんが!!!!!」
久子「うるさいわね~、とおさんがどうしたって…おとうさん!あなた!あなた!!」
信子「ど、どうし、どうして…」

久子「とにかく、幸一叔父さん呼びましょ!!電話して!」
信子「…」
久子「何突っ立ってるの!!早く!!!」
信子「は、はい!」

信子、電話に駆けつける。タタタタタタタタタタタタっ…タタタタタタタタタタタタタ…
タタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタっ。タタタタタタッタタタタタタっ…
信子「ん、はぁはぁ、はぁはぁ、んっ、はぁはっは…こ、こんな時に限って、廊下って長く感じる」
タタッタタタタッタッタタタタッタッタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタッタッタ…
信子、ダイヤルを回す。「あっ、幸一叔父さん?」

一時間後。
久子「あなた…」
幸一駆けつける。
幸一「信雄!!!」
久子「あっ、おにいさん!」
幸一「ど、どうして…」

久子「私が駆けつけたら、この人…」
幸一「とにかく、大阪の義男さん、呼ぼう。」
久子「誰ですか?」
幸一「遠い親戚だ。母方の。」
久子「じゃ私電話してきます。何番ですか?!」
幸一「…」
久子「何番ですか!信雄さん!!!突っ立ってる場合じゃないでしょ!」

幸一「すまん…06-****-****だ。」
久子「と、とにかく来てもらいます!」
タタタタタタタタっ…タタタタッタタタタッタッタタタタタタタッタッタッタッタタタタッタっ。
ッッタッタッタタッタタタタタタタタタッタタタタタタタッタタッタタッタタタタタっ。
久子「長いわ…廊下。」
タッタッタタッタタタタタタッタッタタッタタタタっ。
書斎にて、幸一。
幸一「のぶお…なんで…くっ…」

3時間後、義男駆けつける。
信子「おじさん、義男さんが。」
幸一「あっ。」
義男「の、のぶおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…!どうして…」
久子「最初に見つけたのは娘の信子で、私も駆けつけたら、もう酷い状態で…」
義男「の…ぶお……田中さんを呼びましょう…竜久さんの方の。」
幸一「は?」

義男「西宮に住んでおられます。早く!!」
幸一「あの、誰ですか?」
義男「知り合いです、信雄の。東京で会ったとかで…そうか、聞かされてたのは私だけだったか…」
久子「こ、幸一さん、とにかく、ここは。」
幸一「あ、あぁ。(???)」
久子「あの、連絡先は…」

義男「0787-****-****です。」
久子「とにかく連絡してきます。」
義男「来てもらってください。」
久子「は、はい!」
幸一(誰やねん、そいつは)

久子「しかし、廊下長いわ。」

2時間後。
義男「竜久さん!」
竜久「の、の、のぶお…な、なんてことを…どうして…」
幸一(だれ?この人)

久子「あの、私が駆けつけたら、もう…虫の息で…」
竜久「…………父を呼びます!」
幸一(なんで?)
幸一「久子さん、ちょっと。」 幸一、久子を部屋の隅へ引っぱる。

幸一「あの人だれなんですか?なんで、あの人、自分の父を呼ぼうとしてるんですか?」
久子「今は、そんなことを言ってる場合じゃないでしょ、分からないんですか!この状況が!」
久子「何番ですか?早くしないと、この人死んでしまう…」

義男「久子さん!縁起でもないことを…。この人は助かります!死なせはしません!」
と、その時!!!!!!!瀕死の信雄の口から、微かに声が漏れた…

「あ、あの、い、いい加減、警察か救急車、呼んでく、ください…じゃないと、し、しんじゃう…」

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