先日、米国のCincinnatiに旅行に行った友人から、Ohio State Buckeyes(オハイオ州立大学バッカイズ)の深紅のTシャツをお土産にもらいました。Wikipediaによると、Buckeyeとは「トチノキ」の意味で、オハイオ州を別名“Buckeye State”と呼ぶことからこの名がついているのだそうです。
Buckeyes 出身で有名どころの現役NFL選手にはA.J. Hawk(ATL)やMike Nugent(CIN)、Ryan Shazier(PIT)そして2016ドラフトでRBとして最初に指名されたEzekiel Elliott(DAL)などがいます。ちょうどTシャツをもらった直後のWeek03にこの大学出身のNFL選手が活躍したので、今回はその選手を取り上げます。
その選手とはTerrelle Pryor。Pennsylvania州西部、Pittsburghの郊外にあるJeannette(ジャネット)という町の出身です。地図で見るとわかりますが、Jeannette はOhio StateのあるColumbusから200㎞程度のところにあります。Clevelandからも近いので州は違えど地元といってよいでしょう。
PryorはBuckeyesでパスによるTDでチーム記録の57を持っています。2008年から10年まで大学で過ごし、2011年の2011 Supplemental Draft(補足ドラフト)でOAKに指名されました。この指名は長年OAKのオーナーを務めていたAl Davisの最後の指名になります。
補足ドラフトとは何かとか、なぜ補足ドラフトで指名されたのか気になる方はこちらをご覧ください。つまり、まっとうな理由ではありません。通常の新入社員とはちょっと違う、ちょっと訳ありの半年遅れで入ってきた第二新卒といったところでしょうか。
入団1年目の2011年シーズンは1試合しか出場機会がなく、そのときは自身が反則を犯したため記録はナシ。2012シーズンは3試合に出場し、最終戦はQBとして先発しています。
そして2013年の開幕を先発QBとして迎えたPryorは、Jersey Numberを#6から#2に変更します。なんでもBuckeyesのときにつけていたのが#2だったとのこと。大学時代の輝きをNFLにも持ち込みたい。3年目の決意の表れだったのでしょう。
ただし、この#2はOAKではQBには着けさせてはいけない番号でした。そう、2007年ドラフト全体1位でOAKが指名し、史上最大のBUSTと呼ばれているJaMarcus RussellのJersey Numberでしたね。
「よせばいいのに」と敏いとうとハッピー&ブルーの歌が聞こえる中、あえてこの番号に変更したPryor。しかし周りの忠告を聞かなかった罰が当たったのか、このシーズンはQBとして先発した9試合で3勝6敗でした。
Pryorは高い身体能力を持ち、入団前のテストでは195センチで109kgながら40ヤードダッシュを4.38秒で走ったとのこと。196センチ110kgで40ヤードが4.51秒のCam Newtonとほぼ同じ(足の速さでは上回る)となります。
実際、2013年の初戦となるWeek01では、IND相手にQBとして112yardsを走り、チーム新記録を打ち立てました。さらにWeek08のPIT戦では、93yardという、NFLのQBとしては最長距離のRushing TDを挙げています。当時の「モバイルQB」の一人にも数えられていました。
しかし問題はパスの成績が悪いこと。2013年シーズンは11INTを献上し、パッサーレイティングは69.1でした。たまに凄いことをするけど、ムラがある選手。かつて阪神タイガーズなどにいた新庄剛志を思い出しますね。しかしこれではNFLでQBは務まりません。
結局2014年シーズンを前にSEAにトレードされます。しかし残念ながら、SEAの最終Rosterには残れず、CINやNYG、PHI、WASなどでワークアウトを受けたものの採用には至りませんでした。
2015年に入ってからもKCとCINと契約するもリリースされ、ついにQBとしてではなくWRとして次のチームを探すことなります。そしてやっと契約したのがCLE。この年は2試合に出場し、RushingとRecievingで1回ずつ記録を残しただけでした(Jersey Numberは#87だったらしい)。
そしてJersey Numberを#11に変えて臨んだ2016年シーズン、Week03についに爆発します。この試合CLEはOTでMIAに敗れたのですが、PryorはRecievingで144ヤードを獲得しました。
さらにこの試合で先発したルーキーのCody Kesslerに代わって何回かQBの位置でスナップを受け、Rushingでは21ヤード1TD、5回中3回のPassing成功で35ヤードを獲得という結果を残しました。Fantasyでは1試合で23.90ポイントを獲得してます。
エース(RG III)とその控え(McCown兄)QBが怪我で出場できない中、RecieverとしてルーキーQBを助けながら、自身もパスを投げ、そして走るという八面六臂の活躍でした(動画はこちら)。その活躍は、McCown欠場で急きょ雇ったCharlie Whitehurstの存在を忘れてしまうほど。
本職をWRとしたPryorがMcCownやRG IIIの復帰後も、スナップを受けたりする役回りを担うのかはわかりません。しかしサイズがあって走って速いので、たまにQBのポジションで使ってみるのはありでしょう。場面によってはNewton並みのQBが出てくるような使い方ができるといいですね。そしてWRとしてもこれだけの成績を残せるなら十分でしょう。
気を付けてほしいのは脳震盪(Concussion)。OAK時代の2013年シーズンも脳震盪を負ったことでせっかく勝ち取った先発を逃した経験があります。身体能力があるからといって過信せず、いまや緊急事態のCLEをしっかり支える役を担ってほしいものです。
CLEはいきなりの開幕3連敗でいいところがありません。前にも言いましたが、ClevelandのチームがNBAとMLBでは結果を残している2016年、CLEには市民から痛いほどの視線が注がれているでしょう。そんなCLEでQBというポジションにこだわらず、何とか生き残ろうとするPryorにはちょっとだけ応援したい気持ちが芽生えました。果たしてClevelandでトチノキの花は咲くのでしょうか。
でもムラがある選手だけに、きっと次の試合の成績はぱっとしないんだろうなあ。さすがにFantasyのFAで獲得する気には、今のところなれません。
2015年シーズンからアメリカンフットボールのFANTASY FOOTBALL を楽しんでいるトーマスといいます。NFLだけでなく、MLBやNBAについても語りますのでよろしくお願いします。
AFC東 | BUF | バッファロー・ビルズ | NFC東 | DAL | ダラス・カウボーイズ |
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MIA | マイアミ・ドルフィンズ | NYG | ニューヨーク・ジャイアンツ | ||
NE | ニューイングランド・ペイトリオッツ | PHI | フィラデルフィア・イーグルス | ||
NYJ | ニューヨーク・ジェッツ | WAS | ワシントン・レッドスキンズ | ||
AFC北 | BAL | ボルティモア・レイブンズ | NFC北 | CHI | シカゴ・ベアーズ |
CIN | シンシナティ・ベンガルズ | DET | デトロイト・ライオンズ | ||
CLE | クリーブランド・ブラウンズ | GB | グリーンベイ・パッカーズ | ||
PIT | ピッツバーグ・スティーラーズ | MIN | ミネソタ・バイキングス | ||
AFC南 | HOU | ヒューストン・テキサンズ | NFC南 | ATL | アトランタ・ファルコンズ |
IND | インディアナポリス・コルツ | CAR | カロライナ・パンサーズ | ||
JAX | ジャクソンビル・ジャガーズ | NO | ニューオリンズ・セインツ | ||
TEN | テネシー・タイタンズ | TB | タンパベイ・バッカニアーズ | ||
AFC西 | DEN | デンバー・ブロンコス | NFC西 | ARI | アリゾナ・カーディナルス |
KC | カンザスシティ・チーフス | LA | ロサンゼルス・ラムズ | ||
OAK | オークランド・レイダース | SF | サンフランシスコ・49ers | ||
SD | サンディエゴ・チャージャース | SEA | シアトル・シーホークス |