Super Bowl LIVの第4Q、残り1分20秒の2nd Down 10、SF陣内38ヤードからKCのRBであるDamien Williamsが左サイドを駆け上がり、SFに2ポゼッション差をつけるTDを決めました。このプレイによって、WilliamsはSuper Bowlで100ヤード以上のRushingをして、しかもRushingとReceivingの両方でTDを挙げた初めての選手となったそうです。
Damien Williams Turns on the Afterburners to Extend Chiefs Lead | Super Bowl LIV
しかしよく考えると、その時点でSFのTime Outは残り2つでした。First Downを取ったあとにゴールラインの手前でWilliamsがTDせずにスライディングするなりしてDownしていれば、この瞬間にSFはTime Outを一つ使わざるを得なくなります(時計を止めないと40秒を消費されてしまう)。この時点で1分12秒が残ったとしても、KCは次のFirst DownでRunを使ってさらにSFに時計を止めさせられます(仮に1分10秒で止まったとしましょう)。
Second DownではSFにTime Outがなくなっていますから。1分10秒は2回のKneel Downで消費完了。SFに攻撃のチャンスを与えないまま、Andy ReidはGatorade Showerを浴びていたはずです。
つまり次のSFの攻撃でKendall Fullerのインターセプトもないまま、Patrick Mahomesがカニ歩きをして後ずさってからDownするという芸を2回も見せることもなく、24-20でKCの勝ちとなっています。日テレG+の解説の有馬さんもこのTDの後に、「私ならRBに走り抜けないように注意する」と言っていました。
長々と書きましたが、筆者はWilliamsを責めるつもりはありません。これで2ポゼッションにしたんだから間違っていたわけじゃないでしょ(MCの近藤さんも有馬さんのコメントにそうフォローしていました)。
そういえばTEN@NEのDivisional Playoffの終盤で、残り15秒でTom BradyのPassをInterceptしたLogan RyanがそのままTDしたときも(14-13だった試合が20-13になった)、TDはしない方がよかったという声もありました(Kneel Downして終わりだから)。しかしこういうときって、分かっちゃいるけどやめられない状態ですよね。かつてNEに在籍したRyanとしても、ここは止まれなかったんでしょう。
さてWilliamsに話を戻して2018年シーズンからKCに加入したDamien Williamsは、(KCのRBにDarrel Williamsがいる関係で以下では「Dam Williams」と表記します)、2018年は16試合に出場し3試合に先発したものの、2019年は11試合の出場で6試合の先発にとどまっています。
2019年シーズン開幕時はエースRBの座を手に入れていたはずですが、前半の欠場は膝、後半の欠場は脇腹(rib)の故障と病気(illness)が理由でお休み。エースRBがこの状況では、代わりのRBを確保しなくてはなりません。
Week03にDam Williamsに代わって先発RBとなったのは、シーズン直前にBUFから加入していたLeSean McCoyでした。McCoyをサポートしているのがDam Williamsと名前が似ているDar Williamsと新人のDarwin Thompsonでした。
McCoyはBUFからリリースされた8月末日にKCに加入しました。実はこの同じ日にKCはKarlos HydeをHOUにトレードに出しています。McCoy加入とHyde放出のどちらの発表が先かは覚えていませんが、どちらも8月末日に決まっているので、McCoy獲得のめどがついたからHyde放出に踏み切ったというのが筋でしょう。
Week03と04を欠場したDam WilliamsですがWeek05には復帰。Week10と11には先発を務めるところまで復帰しました。しかしBye Week明けのWeek13から3週間のお休みになります。
しかもそのWeek13にDar Williamsがハムストリングの怪我でIR入りします(つまりシーズンエンド)。さすがにMcCoyとThompsonだけでは荷が重いということで、KCはかつてチームに在籍し、シーズン始めにINDを解雇されていたSpencer Wareを呼び寄せました。
WareはWeek14から16まで出場し、Week16は先発を務めました。しかしWeek16の試合で肩を痛めIR入りします(これまたシーズンエンド)。Week16ではDam Williamsが試合に復帰していましたが、McCoyが病気を理由で欠場していました。
McCoyはその後、Playoffで1回だけスナップに参加しましたがそのときもRushingすることはなく、Super Bowl LIVでもInactiveでした。
KCの5人のRBの出席表をまとめたのが下の表です。見て分かりますように、それまでのKCはRB3人体制(多いときは4人)でしたが、Week17からはDam WilliamsとThompsonの2人体制で試合を戦っています(Pro Football ReferenceのWeek16と17のデータは2人のWilliamsを混同したのか、誤ってDar Williamsも出場したことになっています)。
Sは先発、SCはスナップ数、RはRushing回数、Yはヤード数、TDはTD数。各集計結果の下のパーセンテージ背は5人の中でのシーズンシェア。例えばMaCoyは16試合中9試合に先発したので、先発シェアは56%となる。
しかしここからDam Williamsが爆発します。Week17はRBとして先発し、Rushingで2回のTDを奪います。Super Bowlを含むPlayoff3試合では、Rushingで4回、Receivingで2回の計6回のTDを挙げます(表が複雑になるのでReceivingについては省略しました)。スナップ数にして9割、Rushing Yardにして97%をDam Williamsが占めています。
Dam Williamsは2016年のMIA時代にもPlayoffに1試合の出場経験があり、そのときはReceivingで1回のTDを挙げています。2018年はKCで2試合に出場しRushingで2回、Receivingで2回の計4回のTDを挙げました。Playoffで都合11回のTDは、現役選手としてはMarshawn Lynchの12回に次ぐ回数とのことでした(Super Bowlの中継の字幕にでました)。しかも6試合で11回ですから、これは効率が高いといえるでしょう(Lynchは13試合で12回)。
Patrick Mahomesの勝負強さが話題になりましたが、Dam Williamsの勝負強さもなかなかのもの。しかもRushingだけでなくReceivingでもTDが奪えるという長所も持っています。
ただFantasy Teamのオーナーとしては、Dam Williamsがコンスタントな成績を残していないことが心配です。2019年の Rushingで498ヤード5TD、Receivingで213ヤード2TDというのがキャリアハイ。ぜひ1年しっかりコンスタントな成績を残せる選手となって、Fantasyで心置きなく指名できるような選手になってほしいものです。
最後に、「KCのRBはよく代わるなあ」「Dam Williamsはよく休むなあ」などと漠然と思っていましたが、裏を見ると5人のRBを使い回して自転車操業をしていたことが分かりました。今だから言えますが、もしDam WillamsがPlayoffのどこかの試合で怪我を負って出場が困難になったていたら、KCはどうなっていたのでしょう。WRのMecole Hardmanなどをつかったジェットストリームを増やしていたのかもしれませんが、それでもDarwin Thompson一枚では薄すぎます。
よく考えるとKCの攻撃陣の主力で全試合に出場していたのはTravis Kelceくらいで、MahomesもTyreek HillもSammy Watkinsもレギュラーシーズン中にお休みがありました。RBはギリギリながらもうまくやりくりをつけて、Super BowlにピークをもってこられたのがKCの勝因の一つだったのかもしれません。
2015年シーズンからアメリカンフットボールのFANTASY FOOTBALL を楽しんでいるトーマスといいます。NFLだけでなく、MLBやNBAについても語ります。
AFC東 | BUF | バッファロー・ビルズ | NFC東 | DAL | ダラス・カウボーイズ |
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MIA | マイアミ・ドルフィンズ | NYG | ニューヨーク・ジャイアンツ | ||
NE | ニューイングランド・ペイトリオッツ | PHI | フィラデルフィア・イーグルス | ||
NYJ | ニューヨーク・ジェッツ | WAS | ワシントン・レッドスキンズ | ||
AFC北 | BAL | ボルティモア・レイブンズ | NFC北 | CHI | シカゴ・ベアーズ |
CIN | シンシナティ・ベンガルズ | DET | デトロイト・ライオンズ | ||
CLE | クリーブランド・ブラウンズ | GB | グリーンベイ・パッカーズ | ||
PIT | ピッツバーグ・スティーラーズ | MIN | ミネソタ・バイキングス | ||
AFC南 | HOU | ヒューストン・テキサンズ | NFC南 | ATL | アトランタ・ファルコンズ |
IND | インディアナポリス・コルツ | CAR | カロライナ・パンサーズ | ||
JAX | ジャクソンビル・ジャガーズ | NO | ニューオリンズ・セインツ | ||
TEN | テネシー・タイタンズ | TB | タンパベイ・バッカニアーズ | ||
AFC西 | DEN | デンバー・ブロンコス | NFC西 | ARI | アリゾナ・カーディナルス |
KC | カンザスシティ・チーフス | LAR | ロサンゼルス・ラムズ | ||
OAK | オークランド・レイダース | SF | サンフランシスコ・49ers | ||
LAC | ロサンゼルス・チャージャース | SEA | シアトル・シーホークス |