Fantasy Football(ファンタジーフットボール)戦記

NFLのFantasy Football(ファンタジーフットボール)のほかMLBやNBAについて語ります

KCのRBはSuper Bowlは二人体制だった、5人のRBによる自転車操業の末に

2020年02月16日 13時42分49秒 | NFL2019
Super Bowl LIVの第4Q、残り1分20秒の2nd Down 10、SF陣内38ヤードからKCのRBであるDamien Williamsが左サイドを駆け上がり、SFに2ポゼッション差をつけるTDを決めました。このプレイによって、WilliamsはSuper Bowlで100ヤード以上のRushingをして、しかもRushingとReceivingの両方でTDを挙げた初めての選手となったそうです。
 
Damien Williams Turns on the Afterburners to Extend Chiefs Lead | Super Bowl LIV
 
しかしよく考えると、その時点でSFのTime Outは残り2つでした。First Downを取ったあとにゴールラインの手前でWilliamsがTDせずにスライディングするなりしてDownしていれば、この瞬間にSFはTime Outを一つ使わざるを得なくなります(時計を止めないと40秒を消費されてしまう)。この時点で1分12秒が残ったとしても、KCは次のFirst DownでRunを使ってさらにSFに時計を止めさせられます(仮に1分10秒で止まったとしましょう)。
 
Second DownではSFにTime Outがなくなっていますから。1分10秒は2回のKneel Downで消費完了。SFに攻撃のチャンスを与えないまま、Andy ReidはGatorade Showerを浴びていたはずです。
 
つまり次のSFの攻撃でKendall Fullerのインターセプトもないまま、Patrick Mahomesがカニ歩きをして後ずさってからDownするという芸を2回も見せることもなく、24-20でKCの勝ちとなっています。日テレG+の解説の有馬さんもこのTDの後に、「私ならRBに走り抜けないように注意する」と言っていました。
 
長々と書きましたが、筆者はWilliamsを責めるつもりはありません。これで2ポゼッションにしたんだから間違っていたわけじゃないでしょ(MCの近藤さんも有馬さんのコメントにそうフォローしていました)。
 
そういえばTEN@NEのDivisional Playoffの終盤で、残り15秒でTom BradyのPassをInterceptしたLogan RyanがそのままTDしたときも(14-13だった試合が20-13になった)、TDはしない方がよかったという声もありました(Kneel Downして終わりだから)。しかしこういうときって、分かっちゃいるけどやめられない状態ですよね。かつてNEに在籍したRyanとしても、ここは止まれなかったんでしょう。
 
さてWilliamsに話を戻して2018年シーズンからKCに加入したDamien Williamsは、(KCのRBにDarrel Williamsがいる関係で以下では「Dam Williams」と表記します)、2018年は16試合に出場し3試合に先発したものの、2019年は11試合の出場で6試合の先発にとどまっています。
 
2019年シーズン開幕時はエースRBの座を手に入れていたはずですが、前半の欠場は膝、後半の欠場は脇腹(rib)の故障と病気(illness)が理由でお休み。エースRBがこの状況では、代わりのRBを確保しなくてはなりません。
 
Week03にDam Williamsに代わって先発RBとなったのは、シーズン直前にBUFから加入していたLeSean McCoyでした。McCoyをサポートしているのがDam Williamsと名前が似ているDar Williamsと新人のDarwin Thompsonでした。
 
McCoyはBUFからリリースされた8月末日にKCに加入しました。実はこの同じ日にKCはKarlos HydeをHOUにトレードに出しています。McCoy加入とHyde放出のどちらの発表が先かは覚えていませんが、どちらも8月末日に決まっているので、McCoy獲得のめどがついたからHyde放出に踏み切ったというのが筋でしょう。
 
Week03と04を欠場したDam WilliamsですがWeek05には復帰。Week10と11には先発を務めるところまで復帰しました。しかしBye Week明けのWeek13から3週間のお休みになります。
 
しかもそのWeek13にDar Williamsがハムストリングの怪我でIR入りします(つまりシーズンエンド)。さすがにMcCoyとThompsonだけでは荷が重いということで、KCはかつてチームに在籍し、シーズン始めにINDを解雇されていたSpencer Wareを呼び寄せました。
 
WareはWeek14から16まで出場し、Week16は先発を務めました。しかしWeek16の試合で肩を痛めIR入りします(これまたシーズンエンド)。Week16ではDam Williamsが試合に復帰していましたが、McCoyが病気を理由で欠場していました。
 
McCoyはその後、Playoffで1回だけスナップに参加しましたがそのときもRushingすることはなく、Super Bowl LIVでもInactiveでした。
 
KCの5人のRBの出席表をまとめたのが下の表です。見て分かりますように、それまでのKCはRB3人体制(多いときは4人)でしたが、Week17からはDam WilliamsとThompsonの2人体制で試合を戦っています(Pro Football ReferenceのWeek16と17のデータは2人のWilliamsを混同したのか、誤ってDar Williamsも出場したことになっています)。
 
Sは先発、SCはスナップ数、RはRushing回数、Yはヤード数、TDはTD数。各集計結果の下のパーセンテージ背は5人の中でのシーズンシェア。例えばMaCoyは16試合中9試合に先発したので、先発シェアは56%となる。
 
しかしここからDam Williamsが爆発します。Week17はRBとして先発し、Rushingで2回のTDを奪います。Super Bowlを含むPlayoff3試合では、Rushingで4回、Receivingで2回の計6回のTDを挙げます(表が複雑になるのでReceivingについては省略しました)。スナップ数にして9割、Rushing Yardにして97%をDam Williamsが占めています。
 
Dam Williamsは2016年のMIA時代にもPlayoffに1試合の出場経験があり、そのときはReceivingで1回のTDを挙げています。2018年はKCで2試合に出場しRushingで2回、Receivingで2回の計4回のTDを挙げました。Playoffで都合11回のTDは、現役選手としてはMarshawn Lynchの12回に次ぐ回数とのことでした(Super Bowlの中継の字幕にでました)。しかも6試合で11回ですから、これは効率が高いといえるでしょう(Lynchは13試合で12回)。
 
Patrick Mahomesの勝負強さが話題になりましたが、Dam Williamsの勝負強さもなかなかのもの。しかもRushingだけでなくReceivingでもTDが奪えるという長所も持っています。
 
ただFantasy Teamのオーナーとしては、Dam Williamsがコンスタントな成績を残していないことが心配です。2019年の Rushingで498ヤード5TD、Receivingで213ヤード2TDというのがキャリアハイ。ぜひ1年しっかりコンスタントな成績を残せる選手となって、Fantasyで心置きなく指名できるような選手になってほしいものです。
 
最後に、「KCのRBはよく代わるなあ」「Dam Williamsはよく休むなあ」などと漠然と思っていましたが、裏を見ると5人のRBを使い回して自転車操業をしていたことが分かりました。今だから言えますが、もしDam WillamsがPlayoffのどこかの試合で怪我を負って出場が困難になったていたら、KCはどうなっていたのでしょう。WRのMecole Hardmanなどをつかったジェットストリームを増やしていたのかもしれませんが、それでもDarwin Thompson一枚では薄すぎます。
 
よく考えるとKCの攻撃陣の主力で全試合に出場していたのはTravis Kelceくらいで、MahomesもTyreek HillもSammy Watkinsもレギュラーシーズン中にお休みがありました。RBはギリギリながらもうまくやりくりをつけて、Super BowlにピークをもってこられたのがKCの勝因の一つだったのかもしれません。

2015年シーズンからアメリカンフットボールのFANTASY FOOTBALL を楽しんでいるトーマスといいます。NFLだけでなく、MLBやNBAについても語ります。

AFC東 BUF バッファロー・ビルズ NFC東 DAL ダラス・カウボーイズ
MIA マイアミ・ドルフィンズ NYG ニューヨーク・ジャイアンツ
NE ニューイングランド・ペイトリオッツ PHI フィラデルフィア・イーグルス
NYJ ニューヨーク・ジェッツ WAS ワシントン・レッドスキンズ
AFC北 BAL ボルティモア・レイブンズ NFC北 CHI シカゴ・ベアーズ
CIN シンシナティ・ベンガルズ DET デトロイト・ライオンズ
CLE クリーブランド・ブラウンズ GB グリーンベイ・パッカーズ
PIT ピッツバーグ・スティーラーズ MIN ミネソタ・バイキングス
AFC南 HOU ヒューストン・テキサンズ NFC南 ATL アトランタ・ファルコンズ
IND インディアナポリス・コルツ CAR カロライナ・パンサーズ
JAX ジャクソンビル・ジャガーズ NO ニューオリンズ・セインツ
TEN テネシー・タイタンズ TB タンパベイ・バッカニアーズ
AFC西 DEN デンバー・ブロンコス NFC西 ARI アリゾナ・カーディナルス
KC カンザスシティ・チーフス LAR ロサンゼルス・ラムズ
OAK オークランド・レイダース SF サンフランシスコ・49ers
LAC ロサンゼルス・チャージャース SEA シアトル・シーホークス

フッター

2015年シーズンからアメリカンフットボールのFANTASY FOOTBALL を楽しんでいるトーマスといいます。NFLだけでなく、MLBやNBAについても語ります。

AFC東 BUF バッファロー・ビルズ NFC東 DAL ダラス・カウボーイズ
MIA マイアミ・ドルフィンズ NYG ニューヨーク・ジャイアンツ
NE ニューイングランド・ペイトリオッツ PHI フィラデルフィア・イーグルス
NYJ ニューヨーク・ジェッツ WAS ワシントン・フットボール・チーム
AFC北 BAL ボルティモア・レイブンズ NFC北 CHI シカゴ・ベアーズ
CIN シンシナティ・ベンガルズ DET デトロイト・ライオンズ
CLE クリーブランド・ブラウンズ GB グリーンベイ・パッカーズ
PIT ピッツバーグ・スティーラーズ MIN ミネソタ・バイキングス
AFC南 HOU ヒューストン・テキサンズ NFC南 ATL アトランタ・ファルコンズ
IND インディアナポリス・コルツ CAR カロライナ・パンサーズ
JAX ジャクソンビル・ジャガーズ NO ニューオリンズ・セインツ
TEN テネシー・タイタンズ TB タンパベイ・バッカニアーズ
AFC西 DEN デンバー・ブロンコス NFC西 ARI アリゾナ・カーディナルス
KC カンザスシティ・チーフス LAR ロサンゼルス・ラムズ
LAC ロサンゼルス・チャージャース SF サンフランシスコ・49ers
LV ラスベガス・レイダース SEA シアトル・シーホークス