Fantasy Football(ファンタジーフットボール)戦記

NFLのFantasy Football(ファンタジーフットボール)のほかMLBやNBAについて語ります

今こそEli Manningを評価しよう、OBJ加入でINT激減

2016年03月21日 00時10分00秒 | Stats

あなたが応援するチームに、10年以上休まずに先発を務めてくれて2回Super Bowl MVPを獲ってくれるQB、欲しくありませんか。

今回は、EliことElisha Nelson Manningについて考察します。人によって好き嫌いが大きく分かれる選手ですが、擁護の論調で書きますのでよろしくお願いします。別に炎上商法ではありませんが。

この原稿を書くきっかけになったのは、Super Bowl 50の4Qのあのシーン。C.J.Andersonが試合を決定付けるTDを決めた直後の、Eliの呆然とした表情が話題になりました。その後、Eli自身がコメントを求められ米国で放映されたテレビショー(Peytonがゲスト)でもネタにされたほど。Eliに対する米国世論の(ちょっと辛めの)視線を感じたのでした。

Eliは元NOの人気QBだったArchie Manningの三男坊で、長男Cooperの7歳下、Peytonの5歳下にあたります。本来のファーストネームは、「Elisha」という女性に多い名前です。機動戦士Zガンダムのカミーユ・ビダンの設定を思い出しますね。

実はこの名前、お父さんから受け継いだものでした(Archie Manning の「正式名称」はElisha Archibald Manning IIIといいます)。なぜ長男ではなく三男がこの名を受け継いだかについては、Archieに教えてもらわないとわかりません(ご存知の方、教えてください)。

偉大な父と兄への評価もあって、2004年のドラフトで1位指名が有力視されていたEliは、指名権を持っていたSDに行きたくないと主張してひと悶着を起こします。日本のプロ野球でいうところの江川事件に匹敵する社会問題になりました(江川問題に触れた「すすめ!パイレーツ」の写真を掲載します)。江川は後に巨人の主力として大活躍しますが、入団時の経緯があったため、巨人ファンなんだけど好きになれないという人が少なからずいました。Eliについても似た思いを抱いている人がいることでしょう。

いろいろ話題を振りまいてようやく入団したNYGで、EliはルーキーシーズンのWeek11に先発昇格します。以来、2015年シーズン終了までの194試合(RSが183試合でPlayoffが11試合)で連続先発を継続しています。同じNYを本拠とするNYJをはじめ、先発QBを固定できないほかのチームからすると、これだけでもありがたい存在ではないかと思います。

連続先発記録1位のFavreは321(297+24)試合なので届かないでしょうが、2位の兄Peytonの227(208+19)試合には、届く可能性があります。そのためには、あと2年無事に先発を務めて1回はPlayoffに出ないといけません。

さてEliの成績を見て思うのは、INTが多いことです。前回取り上げたFitzpatrickのINT率は3.3%でしたが、Eliもそれに劣らぬ3.2%という高確率。こうなると、パッサーレーティングの計算上ポイントは上がりません。通算で83.5という数値はあまりほめられたものとは言えないでしょう。

全試合に先発している分、試投回数も多くなります。このため、これまで3シーズンでインターセプト王を獲得しています。

実働12シーズン(185試合、以下はRSの成績)で積み上げたINT数は199と、1試合1回を上回るペースとなっています。Peytonが実働17シーズン(266試合)で251INTであることを考えれば、非常に多いですね。Peytonが引退会見で、「(Eliがルーキーシーズンに)全16試合に先発出場していたら、(Peyton自身が作ったルーキーシーズンの)インターセプト記録を破ったはず、とEliに言っている」と話していましたね。ちなみにBradyは実働14シーズン(225試合)で150INT、Rodgersは実働8シーズン(126試合)で65INTです。

そんなEliですが、Playoffに入った途端に覚醒することがあります。あえて微妙な表現にしたのは、変貌しないシーズン(2005、2006、2008)も3回あったからで、その時はPlayoff初戦で敗退していました。2008年はRSで12勝4敗の好成績を収めながら2INT、レーティング40.7で初戦敗退しています。

Super BowlのMVP2回獲得の年はどちらもすごかったですね。2年とも4試合でINTを1回ずつしか許しません。2007年レギュラーシーズンは20INTで最初のインターセプト王になり、パッサーレーティングは73.9でした。そのEliがPlayoffではINT率は1/119=0.8%で、レーティングは95.7を達成。いったん乗り出すと止まらない、爆発力を持っているといえるでしょう。

そしてその爆発が1度だけでなく、2度目もあったことが評価できます。2度ともに相手になったBradyは、どちらかに勝てていればSuper Bowl優勝回数で単独首位になれているわけですから、最大の被害者といえるでしょう。

筆者は2015年シーズン前に、2007年と2011年の4年周期を受け、3度目があるかもと期待してTシャツまで準備しました(笑)。しかしチームはRS途中で失速。代わりに兄のPeytonがSuper Bowlに進出し、2つ目のリングを獲りました。

Manning兄弟はこの10年で6回Super Bowlに進出し、4勝2敗の成績を残しています。最初にPeytonが勝った2006年を除くと、奇数年シーズン(Super Bowlそのものが開催されるのは偶数年。つまり夏または冬のオリンピックがある年)は必ずどちらかが進出しているんですね。

2006年 兄○−Chi
2007年 Ne−○弟(2008年2月)→北京オリンピック
2008年 PIt−Ari
2009年 兄●−NO(2010年2月)→バンクーバーオリンピック
2010年 PIt−GB
2011年 Ne−○ 弟(2012年2月)→ロンドンオリンピック
2012年 Bal-SF
2013年 兄●−Sea(2014年2月)→ソチオリンピック
2014年 Ne−Sea
2015年 兄○-Car(2016年2月)→リオデジャネイロオリンピック

じゃあこれでManning兄弟の栄光の歴史が終わりかというと、そうとも言えません。この原稿を書いて初めて気づきましたが、Eliはパッサーレーティングで2015年シーズンにキャリア最高をたたき出していたのです。2014年シーズンからは2年連続で4400ヤードを投げ、INT率は2013年シーズンの半分になっています。

2014年にはNYGに、WRとしてOdel Beckam Jr(OBJ)が加入しています。もちろんそれだけが要因ではありませんが、加入後2シーズンで2755ヤードをキャッチし25TDを上げたOBJの存在は、Eliの成績にプラスに働いたことは間違いないでしょう。

若いと思っていたEliもこの1月に35歳になりました。35歳といえば兄のPeytonが首の手術で全休した年齢じゃないですか。つまりはキャリア終盤に差し掛かっているわけです。

奇数年である2017年シーズン(2018年はピョンチャンオリンピックですね)まで待つ必要はありません。2016シーズンでもよいので、もう一花咲かせてほしいものです。

 



コメントを投稿