札幌市内の耳鼻咽喉科医師の診断書による聴覚障害の身体障害者手帳不正取得疑惑で、事態を重く見た厚生労働省は、三月二十四日、全国の都道府県・政令指定都市・中核市に、虚偽の診断書を作成した医師・手帳取得者・仲介者を刑事告発するよう求める通知(3月26日付『讀賣新聞』第31面参照)を出している。
疑惑の前田幸昱医師は、札幌市から5月26日付で指定医を取り消され、道社会保険事務局は三十日、前田医師の診断に基づく障害年金受給者に対する支給停止措置(5月31日付『北海道新聞』第33面)を発表した。
この事件が発覚して半年、今回は、札幌市内の特定の民間病院が診断書を作成し、労災休業補償を申請した多数のじん肺患者が、北海道労働局の鑑別診断(再検査)の結果、休業補償不支給と判定される事態(5月23日付『北海道新聞』第31面参照)が生じていることが明らかになった。
しかも、この申請に、聴覚障害の身体障害者手帳不正取得疑惑の申請代行を行った社会保険労務士が関与し、他に、元労組幹部の仲介が存在することも判明(5月24日付『北海道新聞』第35面参照)しているという。
上の写真は、振動障害による労災保険給付決定のために、釧路労災病院外科医師が平成二年に作成した診断書である。休業補償給付の請求には、毎年一回、「傷病の状態等に関する報告書・診断書・移送費算定内訳書」を労働基準監督署に提出することが求められ、問題がなければ給付決定の通知が来る。
上記の振動障害患者が労災休業補償を申請した昭和五十五年当時、全山労が勧める特定の民間病院が診断書を作成した申請者の多くが、北海道労働局の鑑別診断(再検査)により休業補償不支給と判定された、と聞いている。その当時から不正申請が行われていた可能性が高い。全山労とは真に労働者の味方だったのか?
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