新大関・日馬富士が、初日から四連敗(写真は、1月15日付『北海道新聞』第17面〈スポーツ〉から転写)で、昭和以降の新大関ワースト記録となった。十六日の六日目まで一勝五敗、六日目は因縁の豪栄道に一方的に攻め込まれあっさり土俵を割った。原因は、まだ大関としての安定した地力に欠けることに尽きる。
平成十九年秋場所に新入幕の豪栄道が、十一日目まで十勝一敗の大活躍をしたとき、十二日目に小結・安馬(八勝三敗)と対戦し、<送り吊り落とし>という豪快な技で土俵にたたきつけられた。いくら新入幕とはいえ、豪栄道はこの日の屈辱を忘れることがないだろう。 安馬は、「三役の意地を見せたかった。やっぱり三役は違いますから。そういうのを見せられてよかった」(月刊誌『相撲』第56巻第10号〈ベースボール・マガジン社〉、<送り吊り落とし>の写真を転写)と語っているが、たかが小結で新入幕力士に対して「三役の意地」とはおこがましい。それは横綱・大関の台詞である。勝負の世界に情けは無用だが、あの一番は<送り出し>で十分けりがつく相撲だ。土俵にたたきつける必要はなかった。
昨年の九州場所での十三勝は、横綱・朝青龍の休場、横綱・白鵬の油断、四大関の不甲斐なさに助けられて、たまたま気運が盛り上がっただけで、真の実力ではない。大関らしい相撲を取りたい気持ちは分からぬでもないが、まだしばらくは地力を蓄える「意地」を見せてもらいたい。
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