画像<下・左> 7月29日付『讀賣新聞』第8面から転載
画像<下・右> 『ウィキペディア』から転載
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ニュースソースがちと古いが、5月12日に出そろった電機大手七社の2014年3月期決算(「時事ドットコム」2014年5月12日を参照)は、ソニーを除く六社が純損益黒字、唯一赤字を計上したソニーの一人負けとなっている。ソニーが決算に資産売却益を上乗せしていることは夙に知られているが、そのような玉手箱を利用した上での赤字計上だから、台所事情は逼迫していると知れる。
なに、資産売却で急場を凌ぐのはソニーに限らない。窮して売るものがあればどこもやる。しかし、やっても業績は盛時に戻らないから惨めである。
山本夏彦(故人)は、デパート・大日本帝國・ヨーロッパの一流新聞を例えとし、「一栄一落これ春秋」「おごるもの久しからず」「満つれば欠くる」と書いている(『やぶから棒ー夏彦の写真コラムー』新潮社)。戦前、日本中の麻生産の過半を占め我が世の春を謳歌した帝國製麻株式會社(日本橋たもとの旧本社ビル=画像下段は、夏彦・前掲書から転載)は、戦後、帝國陸海軍の需要を失い合成繊維に需要を奪われ、窮して不動産を切り売りした。昭和25年にGHQの財閥解体で會社は解散したが、社名を変え、今も帝国繊維株式会社として細々と余命を保っている。東証1部上場、年商150億円、大日本帝國の國運隆盛に寄与した昔日と較ぶべくもないが、消滅を免れたのは目出度いというべきか。
トリニトロンだウォークマンだの一世を風靡したソニーのブランドは今はない。3月期決算の売上高7兆7673億円はパナソニックを308億円上回ったが、前期純損益で大幅な赤字を計上したパナソニックが1204億円の黒字転換を果たしたのに対して、ソニーは1284億円の赤字だった。コスト高の体質を克服できるか。経営陣の鼎の軽重が問われる正念場を迎えて打つ手があるか。夏彦存命中なら、相次ぐ業績予想の下方修正を興味津々と眺めることだろう。
山本夏彦(故人)は、デパート・大日本帝國・ヨーロッパの一流新聞を例えとし、「一栄一落これ春秋」「おごるもの久しからず」「満つれば欠くる」と書いている(『やぶから棒ー夏彦の写真コラムー』新潮社)。戦前、日本中の麻生産の過半を占め我が世の春を謳歌した帝國製麻株式會社(日本橋たもとの旧本社ビル=画像下段は、夏彦・前掲書から転載)は、戦後、帝國陸海軍の需要を失い合成繊維に需要を奪われ、窮して不動産を切り売りした。昭和25年にGHQの財閥解体で會社は解散したが、社名を変え、今も帝国繊維株式会社として細々と余命を保っている。東証1部上場、年商150億円、大日本帝國の國運隆盛に寄与した昔日と較ぶべくもないが、消滅を免れたのは目出度いというべきか。
トリニトロンだウォークマンだの一世を風靡したソニーのブランドは今はない。3月期決算の売上高7兆7673億円はパナソニックを308億円上回ったが、前期純損益で大幅な赤字を計上したパナソニックが1204億円の黒字転換を果たしたのに対して、ソニーは1284億円の赤字だった。コスト高の体質を克服できるか。経営陣の鼎の軽重が問われる正念場を迎えて打つ手があるか。夏彦存命中なら、相次ぐ業績予想の下方修正を興味津々と眺めることだろう。