タックの庭仕事 -黄昏人生残日録-

≪ 落日の人と落日に向かう人 ≫

P1030698 どのようなスポーツ人であれ、いずれ来る日ではあるが、この人の現役引退表明には一際感慨深いものがある。平成2年にドラフト一位で近鉄入団。敢えて記すまでもないが、一年目に18勝、パ・リーグMVP、新人王と沢村賞獲得。平成6年オフに、鈴木監督との確執が原因で任意引退選手となり、翌年、ドジャースに入団した。
 7月18日付『讀賣新聞』第27面〈スポーツ〉(写真を転写)は、メジャーで123勝、日米通算201勝を挙げた野茂英雄投手を、「日米両球界で数々の偉業を達成し、どんな困難にも立ち向かった偉大なエース。まさに、真っ向勝負の野球人生だった」と讃えている。野茂は選手としては落日を迎えたが、今後、球界で何らかの形で活躍する機会が訪れるだろう。P1030699是非活躍してもらいたい。
 こちらは、これから落日を迎える人。大相撲の横綱・朝青龍は、名古屋場所五日目に栃乃洋と対戦し、両まわしを引きながら攻め切れず、押し倒しで土俵外に飛ばされた。
 左肘靱帯損傷の診断で六日目から休場。診断書などどうにでもなる。要するに稽古不足のツケが表面に出たということだ。
 北の湖理事長は、これまで我が儘し放題の朝青龍びいきから一変して、「力は落ち始めているだろう。優勝を重ねた時の速い相撲が取れなくなった。これから成績を上げていくのは大変。そんなに甘くはない」(7月19日付『北海道新聞』第21面〈スポーツ〉、写真を転写)と突き放した。
 力が落ちて、横綱としての対面を保てないにもかかわらず、引退を渋り、横綱審議会から「往生際が悪い」と酷評された、己の横綱晩年の不名誉を思い出しての発言だろう。「そんなに甘くはない」のなら、親方任せにしないで、早くから朝青龍に対して厳しい態度を取るべきだったのだ。もはや手遅れである。

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