北海道の日本海側、石狩湾では一月十日からニシン刺し網漁が始まり、「2月半ばまでの累計水揚げ量は『おおむね500㌧近くまで』達し」(2月22日付『釧路新聞』第10面)、順調な水揚げが続いている。二月二十日の朝、小樽市の沿岸では、十五日に続いて今季二度目の「群来」(「くき」写真上段は、2月20日付『北海道新聞』夕刊・第1面から転写。同社ヘリから西村昌晃氏が撮影)が確認された。
ニシンは、昭和二十年代末まで春告魚と称され三~五月に「北海道サハリン系」が大量に漁獲されたが、昭和二十九年の群来を最後に完全に絶えた。現在、石狩湾近辺で漁獲されているニシンは一~三月が漁期の別系統である。
道では、この石狩湾系ニシンに注目し、「石狩市厚田区で採取した卵をふ化させた16万匹で96年、放流を始めた。その後、日本海沿岸の9漁協でつくる委員会が継承、厚田産の稚魚200万匹を毎春放流している」(1月25日付・同新聞・第30面)という。
ニシンは、道東で厚岸湾系・根室湾系・オホーツク海系も漁獲されるが、魚体が小さく、漁獲量も多くはない。鮮魚店では大振りな石狩湾産が圧倒的に多い。刺身用としては鮮度のよい近海物が圧倒的に有利だが、道東産は小型で身に厚みがないのが難点で、店頭に出ることは少ない。あるいは調理が面倒なため、購入する客が少ないせいもあるかもしれない。厚岸湾産や根室湾産ニシンが 刺身用としてもっと店頭に出回ることを期待したい。