なんとも皮肉な新聞見出しではないか。
ロンドンでもパリでも激しい抗議活動が行われた北京五輪の聖火リレーに対して、4月9日付『北海道新聞』第30面〈第2社会〉は、「中国火消し躍起」と大見出しを掲げた。
途中で消してはならない聖火なのに、開催国の中華人民共和国が火消しに躍起とは、『北海道新聞』もジョークがうまいじゃないか。
「間違って、本物の火消しちまったら、どうなる?」
「胡さん、首だよ、そりゃ」
「パリで消えたんじゃないの?」
「火種、あったんだよ」
「マッチの火種だろが」
「ま、そんなとこか」
もちろん、「火消し」の対象は、五大陸を駆け廻る聖火リレーを利用した中共政府批判だが、パリの聖火ランナーが、沿道の抗議者の群れを不安そうに見つめる(4月8日付『讀賣新聞』第7面〈国際〉から転写)ようでは、胡錦濤も心中穏やかであるまい。
そもそも、国家主席である胡錦濤が、自国内の天安門広場での聖火到着歓迎式典を、厳戒態勢で行わなければならない国家とは、どのような国家なのか。庭先に暴漢でも入り込むというのか?
国家の威信をかけて、政府への抗議活動を警戒しなければならない国家に、オリンピックを開催する資格はない。強圧的少数民族支配を屁理屈でごまかし、国威発揚に利用されるだけの政治的聖火リレーは、途中でかまわないから中止すべきである。聖火は、オリンピアからまっすぐ開催国に運ばれるのが本来の姿だったはずだ。「胡さん、遠慮せんで火消してや」
<胡錦濤の写真は、4月6日付『北海道新聞』第3面〈総合〉から転写>
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