私の母は昨年三月に九十二歳で亡くなった。年が明けてしばらくすると、一年目の法要プラン案内が送られて来るようになり、結局、十種類余りのプランが集まった。
宛名はすべて、母に続いて六月に九十六歳で亡くなった父である。現世の者と幽明境を異にした父への郵便物をどのように処理すべきか、法的な扱い方を知らないが、取り敢えず、相続人たる私がすべて開封し内容を確認した。
どれも当たり障りのない内容だったが、一つだけ、母の御霊を蔑ろにするものがあったので、送付者の冨田 勝・釧路全日空ホテル総支配人に抗議したい。 送られてきた文面の問題の箇所は、「さて、ご尊家におかれましては三回忌の法要も近づき何かとお心遣いのことと存じます」である。
我が家の信教は神道であり、両親ともに、厳島神社の神職に祭司をお願いして、神葬祭を執り行った。「法要」とは仏式の儀式であり、神道では「霊祭」という用語を使う。
仏式の「戒名」が記された位牌はなく、<故○○□□媼命之霊璽>と<故○○□□翁命之霊璽>(○○と□□は生前の姓名)が我が家の御霊舎に収まっている。
昨年三月に帰幽した母、故○○□□媼命の御霊に対して、「三回忌の法要」とは、いくらダイレクトメールによる商売とはいえ無神経ではないか。
新聞の死亡広告欄を切り抜いて保存し、時期が近づくと担当のスタッフが送付するのだろうが、このようなホテルで霊祭(一年祭)を執り行う気にはならない。
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