平成15年5月1日施行の健康増進法では、第25条で、多数の者が利用する施設の管理者に、受動喫煙防止のための措置をとる努力義務を課している。
最近は、施設内だけでなく敷地内全面禁煙とするところがふえているが、敷地内全面禁煙の表示を目の前にしてタバコを吸う不心得者が後を絶たない。
3月5日付『釧路新聞』第15面によると、道教委が学校敷地内全面禁煙を定めているにもかかわらず、北海道阿寒高等学校の教職員二人が、同校敷地内で喫煙をしているとの、外部からの指摘があり、学校長はこの事実を認めたという。二人が一年前に注意を受けた後も、ほぼ毎日喫煙を続けていたことを同僚は皆知っていたに違いない。
教育に携わる者が、生徒の受動喫煙の被害に対して何も配慮しないことに、驚かざるを得ない。以前なら「他人の嗜好に口を差し挟むな」と凄まれると、返答に窮したが、喫煙者自身の健康被害より、受動喫煙の被害の方が大きいことが医学的に証明されているので、今は状況が異なる。
学校よりも、釧路市内の総合病院の方が、不特定多数の患者が訪れるうえに、入院患者の喫煙があり、受動喫煙の実状は深刻である。それに、広い駐車場は、手が回らず、完全に無法地帯である。
健康増進法は単に努力義務を示すだけで、罰則がないから、施設管理者も、敷地内全面禁煙の表示を立てたり、放送を流したりして注意を喚起するだけである。患者の中にはすぐ熱くなる手合いもいるだろうから、うっかり注意もできない。
阿寒高等学校の校長も、職場での教職員の融和を考えると、あまりきつい注意はできなかったのだろう。しかし、そのような生ぬるい学校運営では、教育者として「生徒・保護者や地域の期待に応え」られないのではなかろうか。
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