十月二十一日にブリュッセルで開かれた「ユーロ圏17カ国財務相会合は、金融不安の発端となったギリシャの債務返済を可能にするため、民間銀行に債権放棄の上積みを求める声明を採択」(10月22日付『北海道新聞』夕刊・第3面)し閉会。国際通貨基金は、民間の債権放棄の規模を試算し、必要なカットを国債元本の60%までと呈示した。 財務相会合では、金融不安への包括的対策の骨格を打ち出すことができず、十月二十五日、英国紙フィナンシャル・タイムズが、欧州連合は「最大80%の損失負担を求める方向で調整に入った」(10月26日付・同新聞・第3面)と報道するなど情報が錯綜した。すべてが揃った包括案が二十六日までに用意できないのではないかとの憶測が飛び交う中で、ユーロ圏十七か国は、二十六日夜(日本時間二十七日未明)に開いた首脳会議でようやく、債務・金融危機の抜本的解決に向けた「包括戦略」の具体策(欧州危機対策の「包括戦略」=写真下段は、10月28日付『釧路新聞』第5面から転写)を含む合意の発表(現地時間の二十七日早朝の記者会見=写真上段は、10月28日付『讀賣新聞』第3面から転写)にこぎつけた。
しかし、この包括戦略の成果が問われるのはこれからで、金融市場はなお不安定な状況にあり、欧州各国が包括戦略に基づいて行動することが求められる。ギリシャの債務は半分をチャラにしてもらっても、債務残高の国内総生産に対する比率は1.45倍に達し、「同様に財務危機に陥ってEUなどの支援を受けているアイルランド(0.95倍)やポルトガル(0.93倍)と比べて」(同新聞)かなり厳しい状況にあり、財政再建は容易なことではない。骨身を削る覚悟が必要だろう。
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