野村HD(本社の写真は、『ウィキペディア』から転載)が、四月二十五日に発表した平成二十年三月期の六百七十八億円の赤字決算(税引き後利益の推移表は、4月26日付『讀賣新聞』第11面〈経済〉から転写)は、サブプライムローン関係の損失を厳格に処理し、早期に業績を回復したい野村の積極的な企業マインドの表れだった。
しかし、二十二日に社員が逮捕されたインサイダー事件の影響が癒えないところに、米国発の世界的な金融市場の混乱が重なり、四半期で一~三月期から三期連続赤字、九月中間連結決算は千四百九十四億円の赤字となった。今後の業績について、沖田CFOは、自力では如何ともしがたく、「マーケット(市場)次第だ」(10月29日付、前掲新聞・第9面〈経済〉)と答えている。
≪1~3月期以降のマイナス要因≫
● 金融保証会社モノラインの経営危機に関連する損失
● 米証券会社リーマン・ブラザーズの経営破綻に関連する損失
≪9~10月期以降の不安要因≫
● リーマン関連の金融商品が残っている
● アイスランドの銀行債(リーマンによる損失補償は困難)
● 出資先会社の株価下落による含み損
● リーマンのアジア・欧州部門買収費用
月刊雑誌『文藝春秋』第86巻第13号の<丸の内コンフィデンシャル>は、「リーマンに関してはコンプライアンス(法令遵守)の意識が薄く、人材のレベルは低い、との辛口の評価が以前からあった」と記している。ま、世界の野村がやることだから、リーマン二部門買収を第三者が危惧する必要はない。しくじっても野村の自己責任だ。
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