撮影作業終了後、現場の担当者から、もしも、途中で操縦が出来なくなったら・・・どうなるの?・・と言う、
質問があった。
そこで私は、もしも、その様な状態に陥った場合でも、離陸地点の上空30mの位置に帰還・待機する旨の説明を行なった。
すると・・・空かさず、着陸はしないのか?・・・と言う質問が、矢継ぎ早に飛んできた・・・
その様に調整する事も可能だ・・・と、説明するが・・・本当にそんな事が出来るのか??・・・と言う思いが、
その怪訝そうな表情から見て取れるし、ヒシヒシと伝わって来た。
仕方が無いので、百聞は一見にしかず・・・実際にその様子を御覧になりますか?・・・と、言う事になった。
そんな訳で、作業機でそれを行う事はリスクが大きいので、たまたま持参していたマルチローターで
実演する事になった。
思いがけなくマルチローター(Hex)の、デモフライトを行なう機会を得たのである。
すると、その現場で作業していた全ての人が(チョッと大げさ?)、デモの話を聞きつけて見学に来た。
そこで、事前にどの様な事を実演するのか?の、説明を行なってからデモフライトを行なった。
演目は・・・勿論・・・Go-Home&Landing・・・である。
徐に幅1.5m程の農道から離陸させた・・・と、言うか、離陸させてしまった・・・のだが・・・本当に、
ここに着陸するのだろうか・・・???・・・風もそこそこ吹いているし・・少し不安が・・・過ぎった。
しかし・・安全にこの場所に着陸すると説明してしまったし、言ってしまった以上、見栄もあって、
後には引けない状況であった。
取り合えず100m程フル加速で前進させ、50m程高度を取った所で、Auto-Hoverをさせながら、
実際にプロポのメインスイッチを切って見せた・・どよめきが起こった・・と、同時に、
見学していた現場の人達に協力して頂き、10カウントしてもらった・・・のだが、
何か期待しているのか・・・??
その声は・・・妙に、元気がいい・・・と言うか、変な期待をしている様で・・・気合が入っている。
Hexは、まるで、それが終わるのを待っていたかの様に、10カウントが終わるや否やHexは着陸地点へ向けて
移動を開始した。
その様子を見て、私は、万が一の状態に備えて、プロポの電源を入れて待機した。
決して、操縦をしていた訳では無い・・・それは、安全の為に・・・。
往々にして、実機の世界でも、航空ショー等のデモフライト時に事故が発生する。
これは、その性能を誇示する為に、ギリギリの処でフライトさせているからに他ならないのだが・・・
そのバックアップは無い。
しかし、勿論今回のデモフライトでも、事故など出来ないし、もしも、大幅に着陸地点がズレてしまった場合を
想定して、準備を行なっていたのである。
そんな訳で、何時でも操縦を切り替えて、その危険を回避できる体制を整えていた・・と言う訳だ。
暫くすると、着陸ポイントの上空にHexが戻って来た・・・そのポイントから、最終的に自動で着陸させても
良いのか?・・の判断を行なう・・・今回もその位置から判断して大丈夫そう・・・である。
そのままHexに全てを委ねて、その様子を見守った・・・すると、1mほどのズレはあったモノの、
ほぼ農道の中央付近に、無事着陸したのである。
空かさず、3秒後にはモーターの回転も自動で停止する旨の説明を行なった・・・と、同時に、
ドンピシャのタイミングでモーターが停止。
その光景を目の当たりにした見学者の人達は、流石に各種喝采であったが・・・空かさずHexに
群がる様に寄って来て・・・一斉に質問攻めにあった・・・それには流石に・・・閉口・・した。
しかし、100%自信は有っても、一抹の不安もある。
その上、突然降って沸いた様な、今回のデモフライトである。
準備も何もない状況の中で・・・それは行なわれた。
成功して・・・良かった~・・・正直な気持ちである。
今回は、その場の成り行きでデモを行い、たまたま成功した。
しかし、今後はこの様な行為は慎まなければならない・・・と、考えている。
あくまでも今回実演した機能は、万が一の場合に事故を回避する為の、最終的な安全機能であり滑り止めなのだ。
従って、通常は使用しないその機能を、作動させる事自体ナンセンスなのだと考えている。
そんな事を前面に出してどうする・・・あれ・・・このフレーズ・・・何処かで・・・