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今日の筆洗

2024年01月04日 | Weblog

 宇宙飛行士の若田光一さんが地上管制局でスペースシャトルの作業を支援していたときの話だそうだ。シャトルが貨物室から天体観測衛星を放出したものの、衛星の姿勢制御が始まらない▼シャトルのクルーが姿勢制御のコマンドをコンピューターに入力するはずだったが、その手順が行われたかどうかの確認があやふやになったのが原因という。クルーと地上の双方が手順は正しく行われているはずと過信していた。事故の経験から、若田さんは心に決めた。危険なのは「理解したつもり」。疑問はそのままにしない。恥ずかしくても納得するまで質問をし続ける▼この事故にも原因となる、あやふやさがなかったか。日航機と海上保安庁機が羽田空港の滑走路上で衝突し、炎上した事故である▼避難誘導で日航機の乗員乗客全員が脱出できたのは幸いながら海保機の5人が亡くなった。能登半島の地震を受け、食料や水を運ぶところだったと聞けば胸が痛い。地震さえなければと、詮ないことを考えてしまう▼滑走路で航空機同士が衝突するという事故の異常さ。両機と管制との間に確認不足や「理解したつもり」の魔物が潜んでいなかったかをよく調べる必要があるだろう▼地震に続く、新年早々の不幸を嘆きたくもなるが、確認で避けることができた事故だったとすれば、それは地震とは異なり、人災と呼ばなければなるまい。