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今日の筆洗

2024年01月05日 | Weblog

能登半島は「日本最古のおにぎり」が出土した地とされる。1987年、石川県鹿西町(現・中能登町)にある杉谷チャノバタケ遺跡の弥生時代の竪穴住居跡で「粽(ちまき)状炭化米」の塊が発見された。おにぎりのように調理加工された米としては日本最古らしい▼底辺約5センチ、他の2辺が約8センチの二等辺三角形で厚さ約3・5センチ。もち米を使って蒸した後に焼いてあった。今の粽に近いよう。町は「おにぎりの里」として売り出し、イベントも開かれている▼おにぎりは災害時の非常食でもあるが、能登半島地震の被災地で食料が不足している。石川県能登地方の道路は各地で寸断され、支援が届いていない▼珠洲市では人々が壊れた家から米や水を持ち寄り自ら炊き出しをしていると伝えられた。七尾市には食料や水が県外から届いたが、市内の拠点に運ぶ人手が足りないようだ。七尾の隣の中能登町でも避難所に身を寄せている人がいる。能登全体でおなかをすかせた人はどれほどいるのだろう▼東日本大震災のある被災者は避難所で被災後初めておにぎりを食べた時、おいしさで涙があふれそうになったと数年前の新聞紙上で語っていた。能登にも早く届けねばなるまい▼出土した粽状炭化米は霊的なものへの供え物だった可能性があるという。何かを祈るための品か。災害時のおにぎりも、人の思いが込められている点で似ている。