永崎士道の建設業徒然なるままに、時々国防とグルメも

主に建設業の話題を書きたい。
私自身建設会社の社長だったので、
業者贔屓の発言も大目に見てください。

談合(カルテル)ブレーンストーミング(その7)

2012-06-07 | 談合

自由経済の理論では、人間の幸せを以下のように考える。
人間は便益と苦痛の二つを秤にかけて、『便益マイナス苦痛』(以下、純便益と呼ぶ)が最大化された時がもっとも幸福である。
たとえば、給料をもらうのは便益だが、労働は苦痛である。そこで、給料が一定であれば、労働を最小に。労働が一定であれば、給料を最大化できるよう考え行動する(経済理論では、労働が趣味という人は考えられていない)。
また、市場に商品はあふれかえっている。しかし、消費者一人の所得は有限だから、自分の便益をもっとも高くしてくれる商品を選ばなければならない。
大好きでしかも必要性の高いものは買うだろうが、大好きでも必要性の低いものは買わないかもしれない。一方、あまり好きではないが必要性の高いものは買うかもしれない。消費者の取捨選択の結果、需要の低いものが市場から消えていく。

企業も売上と費用の二つを秤にかけて、『売上マイナス費用』(以下、利潤と呼ぶ)を最大化するように行動する。利潤がマイナス、つまり赤字になる商品は販売しない。
消費者は、純便益を最大化するように買い物をするから、赤字商品は純便益最大化に貢献できなかったことになる。
よって、自由市場で生き残るのは、消費者の純便益を最大化できる、つまり消費者を最も幸福にできる商品(企業)だけである。

自由経済信奉者に言わせると、現在の地球環境問題(古くは公害問題)が発生したのも、これらを市場の外側に置き去りにしてしまったからである。
公害問題では、有害廃棄物の処理費用を企業に強制負担させた(違反企業には罰則を科した)。処理費用は商品にも転嫁されたが、消費者意識の高まりもあって、公害問題に真剣に取り組んでいる企業の商品を高くても買うようになった。そして、脱硫装置などの技術革新も生まれ、多くの有害廃棄物を無害化できるようになった。

地球環境問題も、市場メカニズムに組み込めば、消費者の純便益を最大化して解決できると彼らは考えた。
だが、私は無理だと思う。
公害は実体経済の枠で解決したが、排出権取引はマネー経済の枠だからである。
もし、公害排出権などという金融商品を作っていたら、脱硫措置などの新技術は生まれなかっただろう。


今回はここまでにしておきます。おやすみなさい。

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